不動産会社は「接客サービス」で選ばないほうがいい?
家を売るとなると、不動産会社に仲介をお願いすることになります。
いくつかの不動産会社に家の査定をお願いして、その中の1社か2社かにお願いすることになります。
その時に、対応の丁寧な「接客サービス」の良い不動産会社を選びたくなるかもしれません。
でも、ちょっと注意も必要です。
丁寧な接客の目的は?
不動産会社の丁寧な接客には目的があります。
不動産仲介も商売ですからね。
不動産仲介業にとっての利益というのは仲介手数料です。
売主と媒介契約を結んで、家が売れたら仲介手数料が得られます。
なので、なにはともあれ媒介契約を結びたいんです。
基本的には、そのために丁寧な接客をおこないます。
まあ、最初からぶっきらぼうな対応をする不動産会社もありますけどね。
専任媒介契約を結びたいんです
媒介契約の中でも、特に「専任媒介契約」を結ぶことを不動産会社は望みます。
専任媒介契約というのは1社としか結ぶことができません。
売主からすると、その1社にすべてを任せるという契約です。
不動産会社からしてみると、家が売れたら必ず仲介手数料が得られる契約です。
一方、「一般媒介契約」というのもあります。
こちらは複数の不動産会社と契約を結ぶことができます。
不動産会社からしてみれば、家が売れたとしても仲介手数料が得られるとは限らない契約です。
他社で売れてしまったら仲介手数料は得られません。
なので、丁寧な接客をおこなうことによって、できれば専任媒介契約を結びたいと思うんですね。
担当者が宅建士の資格をもっているとは限りません
意外に知られていないかもしれませんが、不動産会社の担当者が宅建士の資格を持っているとは限らないんです。
不動産会社の人は全員が宅建士の資格を持っていると思っていませんか?
実はそうじゃないんですね。
5人に1人が宅建士の資格を持っていれば不動産会社として営業してもいいことになっています。
つまりは、担当者が宅建士の資格をもっている確率は20%かもしれないということです。
営業力はあっても、不動産売買についての専門知識はイマイチということもあるんですね。
大事なのはきちんと家が売れるかどうか
大事なのはきちんと家が売れるかどうかです。
接客が良いからといって、きちんと家が売れるとは限りません。
家が売れるためには、適切な価格設定と、適切な露出が必要です。
露出というのは広告活動などですね。
できるだけ多くの人に家が売りにでていることを知ってもらうことです。
そのためには、不動産に対する専門知識が必要になってきます。
相場よりも安く売られては困りますよね?
家を売るならできるだけ高く売りたいですよね。
でも、結果的に相場よりも安く売らなければいけなくなることがあります。
接客サービスだけで不動産会社を選ぶとそうなる可能性もあります。
というのも、不動産会社によっては、専任媒介契約を結びたいがためにわざと高い査定額を提示してくることがあるからです。
買主からしたら明らかに割高な価格です。
当然のことながら売れません。
となると、値下げをせざるを得なくなったりします。
「このところ相場が下がってきていて値下げをしないと売れないかもしれません」と不動産会社の担当者が言ってくるかもしれません。
ここらへんには「囲い込み」と呼ばれる不動産業界の闇が隠されているのですが、結果として相場よりも安く売ることになってしまうことがあります。
査定額の根拠が納得できるかどうかも大事です
接客ももちろん大事です。
対応の悪い不動産会社には仲介をお願いしたくないですからね。
でも、それ以外の実務的なこと、査定額の根拠だったり、広告方法の方針だったりもとても大事になってきます。
「この人はなんか良い人そうだから専任媒介契約で任せようかな」ではなく、査定額についての根拠についてもしっかりと聞いてみましょう。
「実際に売れそうな価格なのか?」「売り出した後に値下げをすることはないのか?」など聞いてみるといいと思います。
まとめ
というわけで、不動産会社を「接客サービス」で選ぶのはどうなのかというお話をしました。
接客が良いというだけで選ぶのはちょっと危険です。
丁寧な接客の目的はなんでしょうか?不動産会社は専任媒介契約を結びたいんです。
そうすれば、家が売れたら必ず仲介手数料が得られますからね。
なので、媒介契約を結ぶまでは接客が良い不動産会社というのは結構多いです。
そして、不動産会社の担当者が宅建士の資格を持っているとは限りません。
営業力はあるんだけれども、不動産についての専門知識が不足しているということもあるんですね。
大事なのは家がちゃんと売れるかどうかです。
相場よりも安く売られてしまっては困りますよね。
なので、不動産会社を選ぶときは接客だけを見るのではなく、査定額の根拠や、どうやって広告をしていくのかということも納得いくまで聞くのがいいです。
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投稿者プロフィール
- 一級建築士受験資格保有。建築家が設計した住宅、築40年以上のヴィンテージマンション、ハウスメーカーの住宅などなど、住宅全般をこよなく愛しています。特に狭小住宅好き。
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