「家なき子の特例」って一体なんなんでしょうか?

「家なき子の特例」というものがあります。相続税にかかわる言葉なのですが、なぜ、家なき子なんでしょうか?「家なき子の特例」って一体なんなんでしょうか?

相続税が安く、もしくはタダになる特例です。

「家なき子の特例」というのは通称です。相続の相談のときに、「家なき子の特例についてなんですけど・・・」と話してもおそらく通じるとは思いますが、正式には「小規模宅地等の特例」です。家なき子の特例というのは、「小規模宅地等の特例」の中の、ひとつのパターンみたいなものです。

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土地の課税評価額が80%オフになります。

家なき子の特例が適用されると、相続する土地の課税評価額が80%オフになります。これはかなり大きいです。

例えば、課税評価額が1億円の土地を相続するとします。そんな土地は都心ではザラにあります。そんな土地に、家なき子の特例が適用されると、課税評価額が2000万円にまで軽減されるんですね。これってかなり大きいです。

課税評価額が2000万円であれば、相続税は0円ということになります。相続税には、最低でも3600万円の基礎控除があるからです。つまりは、1億8000万円までの土地であれば、家なき子の特例が適用されれば、相続税はかからないということなんです。

もし、土地を相続するのであれば、絶対に適用させたい特例ですよね。

条件は、3年以上賃貸暮らしをしていること。

でも、それには条件があります。相続人が、配偶者か、同居している相続人か、3年以上賃貸暮らしをしている相続人である必要があります。この、「3年以上賃貸暮らしをしている相続人」のことを、「家なき子」と呼ぶんですね。

ちなみに、すでに持ち家を所有している場合には、適用になりません。特例を受けたいあまり、すでに持ち家を所有していにも関わらず、3年以上賃貸暮らしをしてもだめなんです。親と同居してもだめなんです。本当に、「家なき子」でなければいけません。

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資産家は適用させるのが難しい?

資産家は「家なき子の特例」を適用させることが難しいかもしれません。「小規模宅地等の特例」は節税効果が素晴らしいです。なんといっても、課税評価額を80%オフにすることができます。なので、当然のことながら、資産家の人たちも「小規模宅地等の特例」を利用しようとします。

でも、すでに配偶者が亡くなっていたり、子供が同居しているわけではない場合、小規模宅地等の特例を適用させるために、子どもを「家なき子」にさせようとするかもしれません。

親が大家の賃貸だったり、法人所有の賃貸の場合には適用されません。

資産家の場合、投資用の賃貸不動産を所有していることが多いです。そうなると、当然、子どもがその賃貸物件に入居している可能性があります。

実は、親が所有している賃貸物件や、親が経営している法人所有の賃貸物件の場合には、家なき子の特例は適用されないんですね。3年以上賃貸暮らしであっても、その賃貸物件が親名義や親が経営している法人名義になっていると、だめなわけです。

リースバックでも適用されません。

また、リースバックの場合でも適用されません。

例えば、すでに子どもが持ち家を所有してしまっている場合、小規模宅地等の特例は使えません。そこで、リースバックを利用すればいいのではないかと考えるかもしれません。

リースバックというのは、家を売却しても、その家にそのまま住み続けることができる仕組みです。家を売却したら、その後は、買主に家賃を支払うことによって、そのまま住み続けることができるわけです。それは、賃貸とも言えます。

でも、親にリースバックしてもらう場合、それは、家なき子とは認められません。家なき子の特例が適用できると思っていたのに、実際にはできなかったという場合、非常に大きなショックになります。なんといっても、相続税の額が大きく変わってきます。数千万円とか億とか変わってくる可能性があります。

なので、家なき子の特例を使って節税したいと考えた場合には、事前に、弁護士や税理士に確認するようにしましょう。

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まとめ

というわけで、「家なき子の特例」についてお話しました。

「家なき子の特例」は通称です。「小規模宅地等の特例」の中のひとつのパターンです。相続税の課税評価額を80%オフにすることができます。

小規模宅地等の特例を受けるには条件があります。そのひとつに、3年以上賃貸ぐらしの相続人というのがあります。だから「家なき子」と呼ばれているんですね。

ちなみに、賃貸暮らしと言っても、親所有の賃貸物件とか、親の法人所有の賃貸物件に入居している場合には、家なき子とは認められません。また、親が買い取ることによるリースバックの場合にも、家なき子とは認められません。

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投稿者プロフィール

山河直純
山河直純住宅不動産研究家
一級建築士受験資格保有。建築家が設計した住宅、築40年以上のヴィンテージマンション、ハウスメーカーの住宅などなど、住宅全般をこよなく愛しています。特に狭小住宅好き。

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