非農地証明があれば農地法5条許可がなくても農地を売買できる?
農地なんだけれども、実際には資材置き場などの農地以外として使われている土地の場合、「非農地証明」を得ることができます。
非農地証明があれば、農地の地目を「田」や「畑」から「宅地」などに変更することができます。
ということは、非農地証明があれば、農地法5条許可がなくても農地の売買ができるということでしょうか?
5条許可がなくても農地の売買が可能になります
結論から言うと、非農地証明があれば、農地法の5条許可がなくても、農地を売買することが可能になります。
というのも、非農地証明を使って地目を雑種地などに変更してしまえば、農地法の適用範囲外になるからです。
農地ではない土地に農地法は適用されません。
5条許可はもちろん、4条許可や3条許可も必要なくなるということですね。
その土地が市街化調整区域にある場合には、その土地の購入者は、家を建てるために都市計画法の開発許可や建築許可が必要になります。
市街化調整区域では農家以外の人が家を建てることは難しいです。
でも、土地の売買そのものにはなんの許可も不要になります。
ただ、非農地証明を得るのはそれほど簡単なことではないです
地目を農地以外に変更すれば、5条許可がなくても自由に土地の売買ができるようになります。
でも、地目を変更するために「非農地証明」を得るのはそれほど簡単なことではありません。
ただ単に、農地が農地以外として使われていたという既成事実があればいいというわけじゃないんです。
もし、それで非農地証明が得られるのであれば、意図的に農地を農地以外として使い始める農家の人もでてくるかもしれません。
「ちょっとこの農地を売ってしまいたいから、わざと資材置き場にでもしておくか」という人がでてくるかもしれません。
でも、実際のところは単なる既成事実があるだけでは非農地証明は得られません。
10年以上農地以外として使われていた証拠が必要です
農地法が施行されたのは1952年(昭和27年)です。
農地法が施行される前から農地以外として使われている農地であれば、問題なく非農地証明を得ることができます。
農地法の施行前は、地目が「田」や「畑」だからといって今のような規制はありませんでした。
なので、その土地を農地以外として使っていたとしても、地目を農地のままにしていた可能性もあります。
農地法が施行されて、「突然、農地を売買したり用途変更するのには許可が必要と言われても。。」という人もいたはずです。
そんなわけで、農地法の施工前から農地以外として使われている農地には問題なく非農地証明が発行されます。
でも、1952年ってもう67年も前の話です。
なので、実際のところは10年以上前から農地以外として使われていたかが問われることが多いです。
「10年以上農地以外として実際に使っていたのであれば、農地ではないということを認めてあげましょう」ということですね。
なぜ、農地を勝手に他の用途に使っていたのかも問われます
10年以上農地以外として使っていたという事実もそうですが、そもそも、なぜ、農地を勝手に農地以外として使い始めたのかということも問われます。
農地は農地法によって守られています。
農地を勝手に農地以外として使うためには、本来であれば農地法の4条許可が必要です。
農地転用許可ですね。
そこで納得のいく理由がなければ、非農地証明は発行されないかもしれません。
「その土地は本来は農地なんですから、今からでも農地として使い始めてください」と言われるかもしれません。
ただ、農地法によって、農家であれば所有している土地のうちの2アール(200平米)は農業用施設として使っていいということになっています。
農業用施設というのは、倉庫とか肥料などの資材置き場とか駐車場ですね。
10年以上そいういった農業用施設として使っていた土地であれば、非農地証明が発行される可能性が高いです。
それでも、5条許可をもらうよりは簡単?
非農地証明を得るのにもそれなりに条件があります。
とはいえ、5条許可をもらうよりは簡単かもしれません。
5条許可をもらうには、農業委員会の同意の他に、都道府県知事や市区町村長の許可が必要になってきます。
そして、農地法の目的は、農地を守ることです。
実際に農地として耕作されている土地を、宅地にして家を建てたいと言っても、なかなか許可されないことも多いです。
市街化調整区域の場合、農家であれば仕方がないから許可しましょうというスタンスです。
一般人が市街化調整区域の農地を購入して家を建てるのはかなり難しいです。
その農地の立地次第と言えます。
もし、その農地が駅や役所の近くに立地しているのであれば、許可される可能性がありますが、駅や役所などからも遠い場合には、基本的には許可されないと思っておいたほうがいいかもしれません。
それに比べれば、10年以上農地以外として使っているという事実があれば、非農地証明を得るほうが簡単です。
まとめ
というわけで、非農地証明があれば、農地法の5条許可がなくても農地を売買できるかというお話をしました。
5条許可がなくても農地を売買できるようになります。
というよりも、非農地証明を使って農地の地目を「田」や「畑」から「雑種地」に変更すれば、その土地は農地ではなくなります。
農地ではない土地は農地法の適用範囲外になります。
なので、5条許可は不要になるんですね。
とはいえ、非農地証明を得るのはそれほど簡単ではありません。
農地以外として使っていればすぐに得られるというものではなくて、10年以上、実際に農地以外として使われていた事実が必要になります。
また、農地をなぜ、農地以外として使っていたのかの理由も問われることになります。
関連記事:農地を売却するのは難しい?
投稿者プロフィール
- 一級建築士受験資格保有。建築家が設計した住宅、築40年以上のヴィンテージマンション、ハウスメーカーの住宅などなど、住宅全般をこよなく愛しています。特に狭小住宅好き。
最新の投稿
- 2019.12.09税金・相続・法律「相続登記」と「所有権移転登記」の違いは何なんでしょうか?
- 2019.12.06住宅性能・住宅診断家は住まないと劣化するというのは本当なんでしょうか?
- 2019.12.06登記「表題登記(表示登記)」と「権利登記」はどう違う?
- 2019.12.06税金・相続・法律相続した不動産が未登記だった場合にはどうするのがいいんでしょうか?
家を高く売りたいなら知っておきたいこと
これだけは知っておいたほうがいいかもしれません。