土地の売買にはどんな瑕疵担保責任が隠れてる?

土地の売買の場合にも瑕疵担保責任というのは発生します。

建物の場合の瑕疵担保責任はわかりやすいですよね。

雨漏りとか排水管の漏水とか物理的に目に見える問題です。

(目で見てもわかりにくい雨漏りとか漏水もありますが)

一方、土地の場合は更地になってしまえば表面的には瑕疵があるかどうかがわかりません。

ここでは、土地の売買にはどんな隠れた瑕疵があるのかについてお話します。

産業廃棄物(ガラ)が埋められていないか?

まず1つめは、地下に産業廃棄物が埋められていないかどうかです。

産業廃棄物のことを「ガラ」と呼んだりします。

例えば、古家を建て壊したときに残った基礎コンクリートの破片が地中に埋められていることがあります。

石や木片が埋められている可能性だってあります。

産業廃棄物を廃棄するのにはお金がかかりますから地中に埋めてしまうということが行われることがあります。

屋根材として使われる石綿入りのスレート板が地中に埋まっていることだってあります。

石綿というのはアスベストのことです。

石綿入りのスレート板であればアスベストが飛散することはほとんどないのですが、アスベストの除去というのは産業廃棄物を廃棄するよりもより多くのお金がかかります。

そのほかに意外なものとしては、浄化槽や古井戸が埋まっていることがあります。

浄化槽というのは下水道が通っていない地域で使われるものです。

その名の通り下水を浄化するための槽です。

今でも別荘地や地方などではよく使われています。

新築した当初は浄化槽を使っていたけれども、その後、下水道が整備されて浄化槽を使わなくなったというのはよくある話です。

そういった場合、古家を取り壊すときに浄化槽を取り出し忘れることがあります。

また、古井戸が埋まっているということもあります。

昔は井戸水を使っていたけれども、上水道が整備されてから井戸枠ごと土で埋めてしまったという可能性があるんです。

軟弱地盤ではないか?

2つめは軟弱地盤です。

軟弱地盤というのはその名の通り地面が軟弱なことをいいます。

家というのは土地の上に建てます。

土地が軟弱な場合は、家の重みで土地が沈んでしまい家が傾いてしまう可能性があります。

すぐには傾かないにしても、大地震が起こったときに土地が液状化しやすいのも軟弱地盤です。

水気が多い地域に多いです。

東京で言えば、隅田川や中川や荒川などの大きな川が通っている東側に軟弱地盤なところが多いです。

軟弱地盤に家を建てる場合、地盤がしっかりしている地下深くにまで杭を打つ必要があったりします。

そうすれば家の重みで家が傾くということはなくなりますが、地盤改良費として100万円〜200万円ほどのお金がかかります。

お隣の家の水道管がこちらに入り込んでいないか?

3つめは水道管です。

お隣の水道管がこちらの土地にまで入り込んでいることがあります。

使われなくなった廃材としての水道管ではなく、現役で今使っている水道管がこちらの土地の地下に入り込んでいることがあります。

「なんでそんなことが起こるのか?」と思うかもしれません。

実は、広い土地が分筆されて少しずつ分譲された土地でよく起こります。

広い一つの土地の場合、どこの家を建てて、どんなルートで道路から水道管を引き込んだっていいですよね。

自分の土地なんですから。

でも、そのことを忘れて土地の1/3を分筆して土地を売るということがあります。

相続税を支払うために土地の一部を売却するということはよくある話です。

そのときに、分筆した土地の地下に水道管が通っていることがあるんです。

分筆された土地を購入した人からすれば「他人の家の水道管が自分の土地の地下に入り込んでいる」という状態です。

土地を売却する場合には、そういう可能性がないか調べてから売却するようにしましょう。

擁壁に問題はないか?

4つめは擁壁(ようへき)です。

土地内で段差がある場合には、地面が崩れないようにブロックなどで支えていることがあります。

そういった構築物を擁壁といいます。

この擁壁に問題があった場合には瑕疵になります。

必要な強度がでていなくて、大雨が降ったり、地震が起きると崩れてしまいそうな擁壁だったりですね。

擁壁の強度が十分かどうかというのは判断が難しいのですが、あきらかに擁壁のコンクリートにヒビが入っていたり、積石やブロックにズレが生じている場合には問題になる可能性があります。

近所の環境(騒音や振動)に問題はないか?

5つめは騒音や振動です。実際に住んでみないと気づきにくいところです。

例えば、お隣さんが夜中までパーティーをしていてうるさかったり、近所に工場があって、重機の振動が微かに家まで伝わってくるなどです。

少し内覧した程度ではなかなか気づきにくいです。

近くに電車が通っていたり、幹線道路沿いの立地の場合であれば、明らかに騒音や振動がありそうなことに気づくのですが、閑静な住宅街の中でも、場所によっては騒音や振動の問題がある可能性もあります。

その土地で自殺や殺人はなかったか?

6つめは自殺や殺人です。

自分の家で自殺や殺人があったということは極めて稀だとは思いますが、まったくないとは言えません。

事実、そういう家は少ないながら存在します。

自殺や殺人があった不動産については、「心理的瑕疵」として買主に伝える義務があります。

不動産の詳細に「告知事項あり」との記載があれば、十中八九、そういった心理的瑕疵がある不動産です。

ちなみに、心理的瑕疵がある不動産をまとめたWebサイトがあります。

直接リンクはあまりしたくないので、検索エンジンで「大島てる」と検索してみてください。

地図上で心理的瑕疵のある不動産を確認することができます。

瑕疵を隠すことなく明らかにしてから買主に売ること

土地の売買でありえる6つの瑕疵についてお話しました。

圧倒的に多いのは地中になにかが埋められている可能性と、軟弱地盤である可能性です。

土地を売却するときには必ず瑕疵を隠すことなく明らかにしてから買主に売るようにしましょう。

それは仲介業者の仕事でもありますが、売主自身が申告しないことには気づかない瑕疵だってあります。

例えば、近所の環境などはそうですね。

仲介業者自身が近所に住んでいれば知っている可能性もありますが、少し離れたところに住んでいるのであれば気づかない可能性だってあります。

自殺や殺人があった場合にも、それがかなり昔の話だったとしても伝えたほうが無難です。

心理的瑕疵については実は告知義務のルールが曖昧だったりします。

都心のワンルームマンションの場合、事件があってから2年以上経っていれば告知しなくても問題ないという裁判所判断がなされたこともあります。

必ず告知しなければいけないというわけではなくて、判断は裁判所の判断によります。

ただ、自殺や他殺があった場合、近所の人がなにかしらウワサをする可能性があります。

土地を購入した人が、後から近隣の人からのウワサでその事実を知ったとしたらどう思うでしょうか?

心理的瑕疵として訴えられる可能性はとても高いはずです。

借地権の場合は売主に瑕疵担保責任はありません

もし、あなたが借地権の土地を売却したい場合には、話が少し変わってきます。

実は、借地権の場合には売主に瑕疵担保責任はありません。

瑕疵担保責任は地主である底地権を所有している人に発生します。

とはいえ、意図的に土地の瑕疵を隠して売却することは後々のトラブルの元になるので、必ず瑕疵は明確に伝えるようにしましょう。

「借地権って一体なに?」と思う人もいると思います。

簡単に言えば、「借地権+底地権=所有権」です。

詳しく知りたい人は「借地権の上に建っている家は売却できるんでしょうか?」という記事も読んでみてください。

まとめ

というわけで土地の売買にはどんな瑕疵担保責任が隠れているのかについてお話しました。

建物が建っていない更地の場合でも6つの瑕疵担保責任が発生する可能性があります。

1つめは産業廃棄物が地中に埋まっていないか?

2つめは、軟弱地盤ではないか?

3つめは、お隣の水道管がこちらの地中を通っていないか?

4つめは、擁壁に問題はないか?

5つめは、近所に騒音や振動はないか?

6つめは、自殺や殺人はなかったか?

の6つです。

特に多いのは地中に何かが埋まっている可能性です。

売主自身が気づかないものが埋まっている可能性もありますが、土地を更地にするときには余計なものが地中に埋まっていないかしっかりと調べてもらいましょう。

また、軟弱地盤かどうかもしっかりと買主に伝えましょう。

地盤改良に100万円〜200万円かかる可能性もあるので、買主にはその可能性を伝えておいたほうが後々のトラブルを防ぐことができます。

投稿者プロフィール

山河直純
山河直純住宅不動産研究家
一級建築士受験資格保有。建築家が設計した住宅、築40年以上のヴィンテージマンション、ハウスメーカーの住宅などなど、住宅全般をこよなく愛しています。特に狭小住宅好き。