登記識別情報(権利証・登記済証)を紛失してしまったらどうする?

不動産を売却するには登記識別情報が必要になります。

不動産の所有権を買主に移転するときに必要になります。

 

登記識別情報というのは2005年以降から使われている12桁の英数字のことです。

2005年以前は12桁の英数字ではなくて権利証(登記済証)という書類が使われていました。

 

登記識別情報・権利証・登記済証というのは同じものだと考えて問題ありません。

 

そんな登記識別情報。

紛失してしまったらどうなるんでしょうか?

不動産を売却できなくなるんでしょうか?

 

紛失しても問題ありません

結論から言えば、登記識別情報を紛失しても問題はありません。

問題なく不動産を売却することが可能です。

 

実際のところ、登記識別情報を紛失してしまう人って少なくないようです。

5%〜10%ほどの人が紛失してしまっているようです。

 

それでも問題なく不動産を売却することはできます。

 

「再発行してもらえばいいの?」と思うかもしれませんが、登記識別情報は再発行はされません。

法務局に「登記識別情報を紛失してしまったので再発行をお願いします」と言っても再発行はしてもらえません。

 

これには理由があります。

 

もし、悪意をもった第3者があなたになりすまして登記識別情報が再発行されてしまったらトラブルになる可能性があるからです。

場合によってはあなたが知らない間に家の所有者が変わっていたということも可能性はゼロではありません。

 

そんなわけで、登記識別情報の再発行は不可になっています。

 

ちなみに、親からの不動産の相続であれば所有者移転登記のために登記識別情報は必要ありません。

親が登記識別情報を紛失してしまっていても大丈夫です。

 

移転登記するための3つの方法があります

登記識別情報なしで不動産の売買をおこなうには3つの方法があります。

 

  1. 司法書士に「本人確認情報」を作成してもらう
  2. 公証役場にて本人確認してもらう
  3. 事前通知制度を利用する

 

の3つです。

 

司法書士に「本人確認情報」を作成してもらう

もっともよく行われるのは、司法書士に「本人確認情報」という書類を作成してもらうことです。

この「本人確認情報」というのが所有者移転登記のときに登記識別情報の代わりとなります。

 

「この人がこの不動産の所有者で間違いありません」ということを証明する書類です。

 

司法書士としては責任重大です。

だって、もし所有者でない人に対して本人確認情報の書類を作成してしまったら大問題になります。

 

第3者が勝手にあなたの不動産を売却してしまう可能性がでてきます。

 

実際のところ、そういう事件はゼロではありません。

 

そんなわけで司法書士が本人確認情報の書類を作成するときは慎重におこなわれます。

費用も5万円〜10万円ほどかかるのが相場になっています。

 

公証役場にて本人確認してもらう

公証役場にて本人確認してもらうという方法もあります。

 

費用が数千円で済むなどのメリットもあるのですが、実際のところはあまり利用されない方法です。

というのも、公証役場は平日しか営業していないので平日に行く必要があります。

 

平日になかなか休むことが難しい仕事についている場合にはなかなか利用することができません。

 

公証役場にて本人確認してもらう場合には、公証人の面前で登記申請のための委任状に署名押印します。

そして、公証人に認証文を作成してもらいます。

 

委任状と認証文のセットが登記識別情報の代わりとなります。

 

事前通知制度を利用する

事前通知制度を利用するという方法もあります。

 

この方法もあまり利用されません。

どういう方法かというと、あえて登記識別情報なしで所有者移転登記申請をおこなうという方法です。

 

司法書士が登記識別情報なしで法務局に所有者移転登記申請をおこないます。

 

そうするとどうなるのかというと、あなた宛に法務局からハガキが届きます。

本人限定受取郵便でです。

 

「所有者移転登記申請がされているんだけど登記識別情報が添付されていません。本当にあなたは所有者移転に同意していますか?」というようなことを確認するためのハガキです。

 

そのハガキに同意の署名押印をして返送すれば登記識別情報の代わりになります。

 

ただ、ハガキが発送されてから2週間以内に返送しなければならないという条件があります。

2週間を超えてしまうと所有者移転登記申請がなかったことにされてしまいます。

 

そんなわけで、買主側からすれば所有者移転の時期が遅れるし心配が多い方法ということで事前通知制度というのはほとんど利用されません。

 

もし、あなたが「やっぱり売りたくない」と思った場合は意図的にハガキを返送しないということもできてしまいますし。

 

不動産売買契約書を締結しているので手付金の2倍の違約金を支払うことにはなりますが、やっぱり売らないという選択ができてしまうわけです。

 

紛失した登記識別情報は悪用はされないか?

紛失した登記識別情報を悪用されないか心配になる人もいると思います。

結論から言えば、悪用される可能性はゼロではありませんが極めて低いと言えると思います。

 

というのも、所有者移転登記申請には登記識別情報だけではなくて、印鑑証明書と実印も必要になるからです。

 

もし、あなたが紛失したのが登記識別情報・印鑑証明書・実印の3点セットであれば心配したほうがいいかもしれません。

でも、そんなことが起こるのは極めて稀です。

 

意図的に地面師に狙われないかぎりは大丈夫だと思います。

 

地面師というのは、他人が所有する不動産を、自分が所有しているかのように偽装して第3者に売却してしまう詐欺師のことを言います。

地面師の場合には3点とも偽造してしまう(司法書士を騙して本人確認情報を作成してしまう)ので、あなたが登記識別情報を紛失していようがいまいがあまり関係ありません。

 

心配なら2つの方法があります

それでも、登記識別情報の紛失を心配するのであれば2つの対応策があります。

 

  1. 不正登記防止申出をおこなう
  2. 登記識別情報の失効申出をおこなう

 

の2つです。

 

不正登記防止申出をおこなう

不正登記防止申出をおこなうという方法があります。

そうすると、第3者によってあなたの不動産の所有者移転登記申請がおこなわれた場合には、法務局があなたにその事実を知らせてくれます。

 

「第3者から所有者移転登記申請がされていますよ」と知らせてくれます。

それによって、第3者によって勝手に所有者移転されてしまうことを防ぐことができます。

 

ただし、この不正登記防止申出の有効期限は3ヶ月です。

3ヶ月以上たつと法務局から知らせを受けることはできなくなってしまいます。

 

3ヶ月毎に再申出する必要があります。

 

登記識別情報の失効申出をおこなう

登記識別情報の失効申出をおこなうという方法もあります。

不正登記防止申出よりも根本的な対策と言えます。

 

第3者があなたの登記識別情報を使って所有者移転登記申請をおこなっても、無効化されてしまうわけですから。

 

ただし、この方法も完全ではありません。

登記識別情報がなくても所有者移転登記申請をする方法を3つお話しました。

 

  1. 司法書士に本人確認情報を作成してもらう方法
  2. 公証役場で本人確認してもらう方法
  3. 事前通知制度を利用する方法

 

の3つです。

 

悪意をもった第3者もこの方法を利用することができるんです。

本人になりすまして司法書士に本人確認情報を作成してもらうことも不可能ではないわけです。

 

そして、例え、紛失したはずの登記識別情報が見つかったとしても、もう、あなた自身もその登記識別情報は使うことができません。

 

3つの方法のうちのどれかを利用する必要があります。

 

まとめ

というわけで、登記識別情報を紛失してしまったらどうするのかというお話をしました。

 

登記識別情報を紛失してしまっても、問題なく不動産を売却することはできます。

登記識別情報は再発行することはできないので、その他の3つの方法のうちのどれかを利用します。

 

ひとつめは、司法書士に本人確認情報の書類を作成してもらう方法。

ふたつめは、公証役場で公証人に本人確認してもらう方法。

みっつめは、事前通知制度を利用するという方法です。

 

ほとんどの場合は司法書士に本人確認情報の書類を作成してもらうという方法がとられます。

 

また、紛失した登記識別情報が悪用されないか心配になるかもしれませんが、意図的に地面師に狙われない限りはそれほど心配する必要はないかと思います。

 

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投稿者プロフィール

山河直純
山河直純住宅不動産研究家
一級建築士受験資格保有。建築家が設計した住宅、築40年以上のヴィンテージマンション、ハウスメーカーの住宅などなど、住宅全般をこよなく愛しています。特に狭小住宅好き。