登録免許税を安く(減税)することができる「住宅用家屋証明書」とは?

住宅を購入すると、

所有権保存登記や所有権移転登記をおこなうときに、

登録免許税という税金がかかります。

 

住宅の価格や新築か中古によって違うのですが、

10万円以上はかかることがほとんどです。

 

ですが、住宅用家屋証明書という書類があれば、

その登録免許税をかなり安くすることができます。

 

一体、住宅用家屋証明書というのはどんなものなんでしょうか?

 

自宅として使うなら登録免許税が1/3以下になります

結論から言うと、住宅用家屋証明書というのは購入した住宅を「自宅」として使いますということを証明するものです。

 

租税特別措置法という法律によって、購入した住宅を自宅として使うのであれば登録免許税を減税すると定められています。

有効期限は2019年3月31日までになっていますが延長される可能性は高いのではないかと思います。

 

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【追記】延期されました。2年延長で令和3年3月31日までになりました。

外部リンク:平成31年4月1日以降の登録免許税に関するお知らせ|法務局

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所有権の登記をおこなう際に添付書類として提出すれば登録免許税を減税してもらうことができます。

 

ちなみに、住宅用家屋証明書によってどれくらい登録免許税は安くなるんでしょうか?

これについては新築か中古かによって違ってきます。

 

新築の場合、通常であれば住宅価格の4/1000の登録免許税がかかります。

住宅の価格が1000万円なら4万円ということですね。

 

それが、住宅用家屋証明書を添付すれば1.5/1000に減税されます。

4万円かかるところが1.5万円で済むということですね。

 

抵当権設定登記の登録免許税も減税されます

ちなみに、住宅を購入するときは住宅ローンを組むという人も多いのではないでしょうか?

 

住宅ローンを組むときには抵当権設定登記もおこなうことになります。

抵当権設定登記にも登録免許税がかかるのですが、こちらも住宅用家屋証明書によって減税することができます。

 

抵当権の設定には住宅価格の4/1000の登録免許税がかかります。

それが1/1000に減税されます。

 

住宅価格が1000万円であれば4万円の登録免許税がかかるところが1万円で済むということです。

 

所有権保存登記と抵当権設定登記を合わせると、8万円かかるところが2.5万円で済むということですね。

登録免許税を1/3以下にすることができます。

 

中古住宅の場合は1/6以下にまで安くなります

中古住宅の場合には新築よりもさらに減税率が高くなります。

 

中古住宅の購入による所有権移転登記の場合、通常であれば20/1000の登録免許税がかかります。

新築に比べるとかなり割高ですね。

 

それが、住宅用家屋証明書があれば3/1000になります。

住宅価格が1000万円であれば、20万円かかるはずの登録免許税が3万円になるということですね。

 

かなり安くなります。

 

抵当権設定登記と合わせると、24万円かかるところが4万円で済むということですね。

登録免許税を1/6にすることができます。

 

投資用の住宅や、相続・贈与によって住宅を得る場合には適用外です

登録免許税を減税してもらうためには、購入した住宅を「自宅」として使う必要があります。

賃貸として貸すための投資用の場合、減税してもらうことはできません。

 

また、投資用でなくても相続や贈与によって住宅を得た場合には減税してもらうことはできません。

売買によって取得した自宅用の住宅でなければいけないんですね。

 

ちなみに、競売によって取得した住宅でも自宅として使うのであれば減税してもらうことができます。

競売といっても売買であることには変わりはありませんからね。

 

中古で築20〜25年以上経っている場合には新耐震基準を満たしていること

自宅用として使うということが条件なのですが、それ以外にも細かい条件というものがあります。

 

その1つが耐震性です。

新築の場合には特に問題はないのですが、築古の中古住宅の場合には問題になることがあります。

 

築20〜25年以上経っている中古住宅の場合には新耐震基準を満たしている必要があります。

 

耐火建築物かそうでないかで年数が変わってきます。

コンクリート造などの耐火建築物の場合には築25年以上、普通の木造(木造でも耐火建築物の場合もあります)の場合には築20年以上です。

 

例えば、築22年経った中古の木造住宅を購入した場合には、そのままでは住宅用家屋証明書を取得することができません。

建築士などに住宅を診断してもらって耐震基準適合証明書を取得して添付する必要があるんですね。

 

もし、耐震基準を満たしていない場合には、減税をあきらめるか耐震工事をおこなう必要があります。

中古住宅を購入する際には気をつけておきたいポイントです。

 

事務所などとの併用住宅の場合はどうなる?

自宅の一部を事務所として使いたいという人もいるのではないでしょうか。

 

そういった住宅を併用住宅と呼びますが、併用住宅でも自宅部分が90%以上であれば減税を受けることができます。

延床面積が100平米の住宅であれば、事務所部分が10平米までであれば減税が認められるということですね。

 

10平米というと6畳部屋ですね。

意外にハードル高めかもしれません。

 

マンションなどの区分所有でも適用される?

戸建てではなくマンションなどの区分所有の住宅でも減税は適用されます。

 

ただ、1つ条件があります。

それは、50平米以上の住宅であるということです。

 

戸建ての場合には50平米以下の住宅はほとんどないと思うのですが、マンションの場合には1LDKなどの場合には50平米を切る住宅も結構あります。

単身世帯をターゲットにしたマンションには多いかもしれませんね。

 

なので、単身用のマンションを購入するときには要注意です。

 

ちなみに、50平米以下のマンションの場合は住宅用家屋証明書による減税を受けられないばかりではなく、住宅ローン減税も受けられないので気をつけましょう。

 

そして、マンションの場合には「内法面積」と「壁芯面積」の違いについても注意が必要です。

チラシには50平米以上と記載されていても、登記上の面積は50平米以下ということも大いにありえるんです。

 

減税の条件として使われるのは登記上の面積の方です。

 

関連記事:「内法面積」と「壁芯面積」はどう違うんでしょうか?

関連記事:建築確認と登記事項証明書の床面積が違うのはなぜ?

 

住宅用家屋証明書の申請に必要な書類は?

住宅用家屋証明書は市区町村の役所で申請することができます。

市区町村の公式サイトなどに申請書のテンプレートが用意されていたりするので、役所まで申請書を取りに行くのが面倒という人はぜひチェックしてみましょう。

 

ここでは詳しくお話していない住宅用家屋証明書を取得するための細かい条件も掲載されていたりもするので確認してみてください。

 

それでは、住宅用家屋証明書を取得するために必要な書類についてお話します。

新築と中古で少し変わってくるのですが、新築の場合でも注文住宅と建売住宅で少し変わってきます。

 

注文住宅で必要になる書類は3つ

まずは、注文住宅で必要な書類についてお話します。

必要な書類は3つ(役所によって多少違うよう)です。

 

「住民票の写し」

「登記事項証明書」

「確認済証or検査済証」

 

の3つです。

 

所有権保存登記をおこなう前に、まずは表示登記というものをおこないます。

どんな建物なのかという概要を登記するんですね。

表示登記には登録免許税はかかりません。

 

表示登記をおこなうとそれは登記事項証明書に記載されます。

自分(司法書士を通してでも)で表示登記すると所有者の欄に自分の名前が記載されることになります。

 

確認済証というのは「こんな家を建てようと思うんですがいいでしょうか?(建築確認申請)」ということを役所に確認してもらってOKがでたときに発行される書類です。

検査済証というのは住宅が完成したときに検査してもらってOKがでたら発行される書類です。

 

どちらにしても、注文住宅の場合は名義があなたになっているはずです。

 

登記事項証明書の名義と確認済証か検査済証の名義が同じであれば注文住宅だということが確認できるということですね。

 

建売住宅で必要になる書類は5つ

次は、建売の場合です。

建売の場合には5つの書類が必要になります。

 

「住民票の写し」

「登記事項証明書」

「確認済証or検査済証」

「家屋未使用証明書」

「不動産売買契約書」

 

の5つです。

 

最初の3つは注文住宅のときと同じです。

違うのは後の2つです。

 

建売の場合には登記事項証明書の所有権者が売主になっています。

家が売れると、所有権を売主から買主であるあなたに移転させるというカタチです。

 

そこだけ見れば中古と同じになります。

 

だからこそ、新築であることを証明するために「家屋未使用証明書」が必要になるんですね。

これは売主が発行してくれます。

 

そして、あなたが買主であるということの証明のために「不動産売買契約書」が必要になります。

 

ちなみに、建売の場合でも、家が売れてから買主に表示登記→所有権保存登記してもらうということも多いです。

 

その場合には登記事項証明書の名義は注文住宅と同じく自分ということになりますが、確認済証or検査済証の名義は確実に売主になります。

そういった意味でも家屋未使用証明書と不動産売買契約書は必要になります。

 

関連記事:建売住宅の登記は「所有権保存」でなく「所有権移転」になる?

 

中古住宅で必要になる書類は3つ

次は、中古の場合です。

中古の場合には3つの書類が必要になります。

 

「住民票の写し」

「登記事項証明書」

「不動産売買契約書」

 

の3つです。

 

中古なので「家屋未使用証明書」が不要というかあり得ないことは分かるのですが、「確認済証or検査済証」も不要なのはなぜなんでしょうか?

 

住宅用家屋証明書における確認済証や検査済証の添付の目的は、その所有者を確認するためという意味合いが強いです。

所有者が本人であればそれは注文住宅だということですし、違ったとしても、家屋未使用証明書と不動産売買契約書の名義と同じであればそれは建売住宅だということがわかります。

 

でも、中古の場合にはそれを確認する必要がありません。

 

まとめ

というわけで、登録免許税を安くすることができる「住宅用家屋証明書」とは何なのかについてお話しました。

 

簡単に言えば、購入した家を自宅として使いますよという証明書です。

 

租税特別措置法によって、購入した家を自宅として使うなら登記の際の登録免許税を減税するということが定められています。

今のところその有効期限は2019年3月31日までですが、延長する可能性は高いと思います。

 

【追記】令和3年3月31日までに延期されました。

 

ちなみに、登録免許税がどれくらい安くなるのかというと、新築の場合は約1/3ほどに、中古の場合には1/6ほどに安くなります。

自宅用として家を購入するなら利用しない手はありません。

 

ただし、自宅用以外の目的での購入の場合には適用外になるので注意が必要です。

 

中古で築年数が20年〜25年以上の場合には新耐震基準法を満たしている必要もあります。

事務所などとの併用住宅の場合には自宅部分が90%以上である必要があります。

 

また、50平米以上の住宅である必要があるので単身用マンションを購入する際には注意が必要です。

 

参考にしたサイト:建物表題登記(建物表示登記)をやってきました | anopara

 

関連記事:新築の場合、不動産取得税がかからないというのは本当なんでしょうか?

関連記事:相続登記の登録免許税がタダになる(免税される)条件とは?

関連記事:「表題登記(表示登記)」は自分でやったほうがいい?

 

投稿者プロフィール

山河直純
山河直純住宅不動産研究家
一級建築士受験資格保有。建築家が設計した住宅、築40年以上のヴィンテージマンション、ハウスメーカーの住宅などなど、住宅全般をこよなく愛しています。特に狭小住宅好き。

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