抵当権抹消登記は自分でできる?
住宅ローンを完済すると金融機関から書類一式が届きます。
「住宅ローンが完済されましたのでご自分で抵当権を抹消してください」という書類一式です。
金融機関の方では抵当権抹消してくれないんですね。
住宅ローンを完済したあとの抵当権抹消登記というのは自分でできるんでしょうか?
自分でできます
結論から言えば、自分で簡単にできます。
不動産登記には「所有権保存登記」や「所有権移転登記」や「建物滅失登記」などいろいろとありますが、「抵当権抹消登記」は比較的カンタンなので自分でおこなうことが十分に可能です。
必要な書類のほとんどは金融機関が揃えてくれています
抵当権抹消の登記をおこなうにはいくつかの書類を用意しないといけないのですが、ほとんどの書類は金融機関の方で用意してくれます。
住宅ローンの返済が完了すると送られてくる書類一式がそうです。
「抵当権設定契約証書(抵当権の登記済証)」
「弁済or解除証書(登記原因証明情報)」
「委任状(代理権限証明情報)」
「代表者事項証明書(資格証明情報)」
などが入っています。
場合によっては金融機関の印鑑証明書が入っていたり、代表者事項証明書は入っていなかったりします。
ともあれ、必ず必要になるのは次の3つです。
「抵当権の登記済証」「弁済or解除証書」「委任状」金融機関から送られてきた書類一式の中に3つの書類が入っているか確認してみましょう。
自分で用意するべき書類は1つだけです
自分で用意しなければいけない書類は1つだけです。
抵当権抹消のための登記申請書です。
登記申請書だけは自分で用意する必要があります。
とはいえ、登記申請書を用意するのは簡単です。
法務局の公式Webサイトに登記申請書のテンプレートと記載サンプルが用意されているのでそれを利用します。
データの形式は「一太郎」「Word」「PDF」の3つから選ぶことができます。
記入例についてもしっかりと用意してあるので参考にして登記申請書を作ってみてください。
外部サイト:抵当権抹消登記申請書|法務局
家にある「所有権の登記済証」は基本的には不要です
抵当権抹消登記のためには登記済証が必要です。
ここで勘違いしやすいのが「家」にある登記済証です。
家を購入したときに所有権保存登記または所有権移転登記をしているはずです。
そのときに司法書士から登記済証を渡されているはずです。
引っ越しのドタバタとかさなるので登記済証の存在は忘れがちなのですが家のどこかに登記済証があるはずです。
ちなみに登記済証というのは権利証とも登記識別情報とも呼ばれています。
2005年当たり前まで使われていたのが登記済証(権利証)です。
それ以降は登記識別情報が使われるようになりましたが今でも便宜的に登記済証とか権利証とか呼ばれています。
そんな登記済証。
家にある登記済証は抵当権抹消登記には基本的に不要です。
なので、抵当権抹消の登記申請のときに添付資料として家にある登記済証は添付しなくても大丈夫です。
家のも金融機関のもどちらも登記済証ですが、家にあるのは所有権に対する登記済証で、金融機関から送られてくるのは抵当権に対する登記済証です。
同じ名前なのですが違うものなんですね。
申請書を作る際の2つの注意点
登記申請書を作る際の注意事項としては2つあります。
ひとつめ。
登記申請書には「原因」という欄があります。
抵当権が消滅した日付を記入するのですが、最後に弁済or解除と記入します。
「原因 平成30年11月30日弁済」などですね。
これは弁済でも解除でもどちらでもいいというわけではありません。
必ず金融機関から送られてきた書類に合わせます。
弁済証書が送られてきたのであれば「弁済」、解除証書がおくられてきたのであれば「解除」です。
これを間違えると法務局に指摘されて再申請しなければいけなくなるかもしれないので要注意です。
ふたつめ。
法務局で用意されている登記申請書のテンプレートでは「代表者事項証明書(資格証明情報)」は添付しなくてもいい書式になっています。
そのかわりに「会社法人等番号」を記載する書式になっています。
最近は会社法人等番号を記載するのがスタンダードになってきています。
金融機関から送られてくる書類一式の中に代表者事項証明書が入っていないことも増えています。
それでも、添付資料として代表者事項証明書を使いたいという場合には、「添付情報」の欄の「会社法人等番号」を削除して「資格証明情報」と記載しましょう。
あとは認印と登録免許税のための数千円を持って法務局へ
法務局の登記申請書記入例のサンプルを参考に申請書を作成したら、あとは法務局に行くだけです。
認印と登録免許税のための数千円を持っていきます。
抵当権設定登記の場合には実印が必要ですが、抵当権抹消登記の場合には認印で大丈夫です。※
登録免許税がいくらになるのかは不動産の数によります。
一般的な戸建ての家であれば、土地と建物の2つで2000円になります。
法務局に着いたらいきなり申請書を提出するのではなくて、必ず相談窓口に立ち寄ってください。
用意した書類を相談員の方に確認してもらいましょう。
登録免許税にいくら必要かも相談員の方が計算してくれるはずです。
土地が広かったり、いくつかの建物が建っている場合、登録免許税がいくらなのか分かりにくいこともあります。
そんなときは申請書の登録免許税の欄は空欄にしておいて法務局の相談員の方に確認してから記入したほうがいいかもしれません。
また、申請書を提出するときは書類をひとまとめにして契印を押すことになります。
これも相談員の方に任せてしまったほうがいいです。
そのためにも認印を忘れずに持って法務局に行きましょう。
住所変更登記も合わせて必要になるかもしれません
人によっては抵当権抹消登記の前に、
住所変更登記をおこなう必要があるかもしれません。
登記事項証明書(登記簿謄本)を見てみると、
権利部(甲区)に、所有者の住所が記載されています。
この住所、今住んでいる住所と一致しているでしょうか?
実は、抵当権抹消登記をおこなうには、
今住んでいる住所と、甲区に記載されている所有者の住所が一致している必要があるんです。
この所有者の住所が、
新居に入居する前の旧住所のままになっている人が実は結構多いんです。
本来であれば、新居に入居したときに住所変更登記をおこなわなければいけないんですが、特に問題になることもないため、数十年そのままになっていることも少なくありません。
そんな場合には、抵当権抹消登記の前に、住所変更登記をおこなう必要がでてきます。
とはいえ、この2つの登記は同時に申請することができます。
住所変更登記が反映されるのを待ってから抵当権抹消登記をおこなわなければいけないということはありません。
もし、権利部(甲部)の所有者の住所が今の住所と違う場合には、
住所変更登記申請書も用意して法務局に行きましょう。
こちらの申請書も法務局の公式サイトにPDFなどのデータが用意されています。
記載例もありますので、そちらを参考に作成してみてください。
必要な添付書類は「住民票」になります。
添付情報に「登記原因証明情報」と記載されていますが「住民票」のことです。
ちなみに住所変更登記にも登録免許税がかかります。
1点につき1000円です。
土地と建物の2点なら2000円ですね。
住所変更登記も必要な場合には、
抵当権抹消登記と合わせて4000円の登録免許税が必要になります。
外部サイト:登記名義人住所変更登記申請書|法務局
その日に登記済証は発行されません
法務局に行って申請書を提出すれば、
すぐに登記済証が発行されると思うかもしれません。
でも、その日には発行されません。
1週間後以降に添付した資料と登記済証を受け取りに、
もう1度法務局に足を運ぶ必要があります。
合計2回、法務局に行く必要があるということですね。
郵送による申請もできます
抵当権抹消登記申請は郵送によってもできます。
封筒の表に「不動産登記申請書在中」と書いて管轄の法務局宛に郵送します。
簡易書留か書留郵便で送ります。
もしくはレターパック510でもOKです。
封筒の中に入れるのは次の3点です。
「登記申請に必要な書類一式」
「返送用の封筒(必要な簡易書留分の切手を貼ったもの)orレターパック510」
「登録免許税のための収入印紙」
抵当権抹消登記が終わると、添付資料の「抵当権設定契約証書」と「代表者事項証明書」は返してもらうことができます。
また、「登記完了証」が送られてきます。
返信用の封筒やレターパック510はそのときに使われることになります。
収入印紙は近くの郵便局で購入しましょう。
ちなみに、抵当権抹消登記申請はインターネットを使ったオンラインでも行うことはできるのですが、結局は添付資料を郵送しなければいけないので最初から郵送での申請のほうが楽かと思います。
対応OSもウインドウズのみ対応でMACには対応していません。
まとめ
というわけで、抵当権抹消登記は自分でできるのかということについてお話しました。
十分に自分でおこなうことができます。
というのも必要な書類のほとんどは金融機関のほうで揃えてくれます。
「登記済証」
「登記原因証明情報」
「委任状」
「資格証明情報」
など一式にして郵送してくれます。
自分で用意するのは登記申請書だけです。
登記申請書のテンプレートも法務局の公式Webサイトに用意されていますし、記入サンプルもきちんと用意されています。
法務局に行けば相談窓口もありますし十分に自分でおこなうことができます。
ただ、それでも難しそうとか面倒だと思う場合には司法書士にお任せするのがいいと思います。
抵当権抹消登記であればかかる費用も1万円から2万円程度と所有権保存登記などに比べればかなり安くなっています。
(それだけ簡単だということですね)
※この記事を執筆するのに、まつもと様より情報提供いただきました。ありがとうございます!
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投稿者プロフィール
- 一級建築士受験資格保有。建築家が設計した住宅、築40年以上のヴィンテージマンション、ハウスメーカーの住宅などなど、住宅全般をこよなく愛しています。特に狭小住宅好き。
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