家の親子間売買は贈与とみなされることがある?
家を親と子の間で売買したいと思うことがあるかもしれません。
例えば、相続の前に長男に家を売っておきたいとかですね。
そうすることは可能なのですが、場合によっては贈与とみなされて贈与税がかかることがあります。
あまりにも安く売ったときに贈与とみなされます
結論から言えば、あまりにも安く家を子供に売ったときに贈与とみなされる可能性が高いです。
例えば、1億円の家を1000万円で長男に売ってしまうとかですね。
親子間だからできる破格のお値段です。
「本当は1億円のところを1000万円でいいよ!」とかは親子でなければできないですよね。
赤の他人に同じことは言えないと思います。
そして、実際にその価格で不動産売買契約書を作ることは可能です。
売り手と買い手が納得していればいいんです。
親子間売買であれば、不動産仲介会社を通す必要もないかもしれません。
家を購入した後に不具合があっても特に親にクレームをつけるとかないですよね。
「仕方がないね〜」で済むのではないかと思います。
不動産仲介会社を通す理由というのは、そういった家の不具合について明確にするためというのがあります。重
要事項説明書によって売買の前に明確にしておいて売買後のトラブルを未然に防ぐんですね。
そのかわり、仲介手数料の3%がかかります。
売り手と買い手の両方から3%ずつです。
なので親子の場合には合計6%ですね。
1億円の家なら600万円ということです。
結構大きいですよね。
なので、親子間売買の場合には不動産仲介会社を通さずに司法書士に不動産売買契約書だけ作ってもらうという人も多いです。
相続税を支払ったほうがマシと思うレベルです
1億円の家を1000万円で長男に売るということは可能です。
でも、贈与とみなされる可能性が高いです。
贈与とみなされるとどういうことになるんでしょうか?
家の価格と売値の差額が贈与とみなされます。
この場合では9000万円が差額ですね。
この9000万円に対して贈与税がかかります。
親子の場合、3000万円以上の贈与で55%の贈与税がかかります。
控除額は400万円です。
計算すると、贈与税は4550万円になります。
「えっ、そんなに!?」ってビックリするんじゃないでしょうか。
明らかに相続税を支払ったほうがマシというレベルになります。
相続税の場合には控除額が大きいです。
例えば、子供が2人の場合には合計4800万円が控除されます。
1億の家の場合には5200万円に対して相続税がかかるということですね。
相続税の税率は5000万円以上1億円以下の場合で30%です。
そして700万円の控除があります。
計算すると、相続税は860万円になります。
贈与税の4550万円と比べると大違いです。
なので、親子間売買をするときには、絶対に贈与とみなされてはいけません。
いくらなら贈与とみなされないのか?
贈与とみなされるとものすごい額の贈与税が請求されます。
家を安く子供に売るということ自体はできるのですが、後日、税務署がやってきて贈与税を請求されます。
そんなことにならないためにも、贈与とみなされない額で家の売買をおこなう必要があります。
では、一体いくらなら贈与とみなされないんでしょうか?
実勢価格の8割ほどなら大丈夫?
結論から言えば、実勢価格の約8割ほどなら大丈夫のようです。
というのも、実勢価格の約8割というのは、相続税の計算で使われる路線価と同じだからです。
不動産の相続というのは、現金に比べて少し優遇されています。
1億円の現金の相続よりも、1億円の家の相続の方が相続税の額は少なくなります。
1億円の家というのは、一般的には市場での実勢価格のことを言います。
実際に売買がおこなわれるとしたら1億円ぐらいになるだろうということです。
でも、不動産というのは価格が変動します。
もしかしたら1年後には1.2倍に値上がりしているかもしれません。
その反対に半額になることもないとはいえません。
株価みたいなものですね。
なので、不動産の相続の場合には実勢価格の約8割ほどの評価額に抑えられます。
その価格が路線価として毎年7月に発表されるんですね。
1億円の家を長男に売る場合、その路線価に準じて8000万円ほどで売却するのであれば、贈与とみなされない可能性が高くなります。
「相続税の評価額と同じ価格で売買しているので大丈夫ですよね?」ということです。
実際、裁判では約8割ほどなら贈与にはならないという判決がでています。
親子間売買では住宅ローンが通りづらいです
極端に安くは家を売れないとなると、子供の経済力が問題になってきます。
1000万円なら買えるという場合でも、8000万円となると話が違ってくると思います。
現金一括で買えるという子供はまずいないのではないでしょうか。
そうなると、住宅ローンを利用することになるのですが、親子間売買の場合には、住宅ローンの利用が極端に難しくなります。
基本的には使えないと思っておいたほうがいいかもしれません。
融資してくれる金融機関があったとしても、金利は高く設定されるはずです。
というのも、親子間売買というのは金融機関からすると不自然な行為だからです。
「売買せずとも相続でもいいんじゃないの?」って思うのは当然です。
なので、どうしても親子間売買で住宅ローンを使いたいという場合には、相続ではいけない理由というものが必要になってきます。
まとめ
というわけで、家の親子間売買は贈与とみなされることがあるのかというお話をしました。
贈与とみなされることがあります。
極端に安く家を売買した場合です。
実勢価格との差額が贈与とみなされる可能性が高いです。
例えば、1億円の家を1000万円で売った場合には、その差額の9000万円が贈与とみなされる可能性があります。
9000万円に対する贈与税の額は4550万円になります。
一方、1億円の家に対する相続税の額は860万円です。
相続のほうが全然マシというレベルになります。
なので、親子間売買をする場合には贈与とみなされてはいけません。
贈与としてみなされないためには、路線価と同じレベルである実勢価格の約8割ほどの値段にする必要があります。
1億円の家なら8000万円ということですね。
そうなると、問題になってくるのは子供の経済力です。
親子間売買の場合には、住宅ローンの審査はきびしくなります。
ましてや、8000万円の住宅ローンというのは年収1000万円であっても難しいレベルです。
素直に相続にしておくということを考える必要もあります。
関連記事:親族間売買の場合、住宅ローンの審査がきびしくなるのはなぜなんでしょうか?
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投稿者プロフィール
- 一級建築士受験資格保有。建築家が設計した住宅、築40年以上のヴィンテージマンション、ハウスメーカーの住宅などなど、住宅全般をこよなく愛しています。特に狭小住宅好き。
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