買付証明書には法的な効力・拘束力はあるのか?

買付証明書には法的な効力や拘束力はあるんでしょうか?

「買付証明書って提出してしまったらもうキャンセルはできないのかな?購入するかどうかの判断にもうちょっと時間がかかりそうなんだけどどうしよう?」

「買付証明書を作りたいんだけれどもテンプレートみたいなものがあるのかな?どんなことを記入すればいいんだろう?」

「手付金を要求されたんだけれども、買付証明書を提出するのに手付金って必要だったっけ?」

そう思うなら、ぜひ最後まで読んでみてください。

買付証明書とは?

買付証明書とは一体どんなものなんでしょうか?

売主との交渉の権利を得るために提出するもの

買付証明書というのは、売主との交渉の権利を得るために提出する書類です。

買付証明書を提出するということは「あなたの家を買いたい」という表明なのですが、それで実際に売買が成立するわけではありません。実際に売買を成立させるまでには、売主との細かい調整が必要になってきます。売買価格はいくらにするのか、いつに家を引き渡すのか、支払い方法はなんなのか、などなどを決めなけれないけません。

そう考えると、買付証明書というのは売主との交渉に入るためのひとつのステップと言えるかもしれません。値引き交渉などをおこなうのも買付証明書を提出してからです。

購入申込書とも言います

あなたの家を買いたいと表明するための書類として「購入申込書」というものもあります。

名前が違うので買付証明書と違うものなのかと思うかもしれません。でも、同じものです。買付証明書を提出するということは、購入申込書を提出するということと同じです。

法的な効力や拘束力はあるんでしょうか?

買付証明書には法的な効力や拘束力はあるんでしょうか?

法的な効力はありません

買付証明書には法的な効力はありません。

買付証明書を提出してしまったら家を買わなければならなくなるのではないかと、心配している人もいるかもしれません。安心してください。買付証明書を提出したからといって、家を買わなければいけないということにはなりません。

撤回したりキャンセルしたりすることができます。

買付証明書は、あくまでも売主との交渉にはいるための書類です。

承諾の返事があっても法的な効力はありません

買付証明書を提出すると、売主から”売渡許諾書”が送られてくることもあるかもしれません。

売渡許諾書というのは「あなたにこの家を売ります。この家を購入することを許諾します。」ということを表明するための書類です。

言ってみれば、買付証明書に対する「YES」という答えが売渡許諾書です。

買主と売主どちらも合意するわけですから、この時点で売買が成立したと考えることもできます。でも、不動産売買の場合は、これでも売買が成立したことにはならないんです。

法的な効力を持つのは売買契約書です

たとえば、コンビニでポテトチップスを買う場合。140円のポテトチップスをレジに持っていき、140円を支払って売買が成立します。売買契約書を書く必要なんてありません。

洋服を買うときだってそうです。「この服いくらですか?」と聞いて、その値段に納得したのであれば、お金を支払って洋服を受け取ります。売買契約書を書く必要はありません。レシートが売買契約書代わりみたいになります。

でも、不動産の場合は話が変わってきます。売買契約が結ばれてはじめて売買が成立したと認められるんです。というのも、不動産はポテトチップスや洋服みたいに簡単に引渡すことができないからです。高額でもあります。

売買契約を結ばすに3000万円の家を購入したとします。引渡しの段階になって「やっぱり4000万円にしますので、残りの1000万円も支払ってください。」と言われたらどうなるでしょうか?

トラブルになることは目にみえています。そんなこともあって、不動産の場合には売買契約が結ばれないかぎり売買が成立したとは認められないんです。

売買契約前ならいつでも撤回できます

買付証明書は売買契約前であればいつでも撤回することができます。

「やっぱり買うのを辞めます」と言うことができます。

買付証明書を提出して売主からの許諾も得られると、家を購入しなければいけないんじゃないかと思うかもしれませんが、まだキャンセルすることはできます。

キャンセルが難しくなるのは売買契約を結んでからです。

買付証明書を提出すると、仲介の不動産会社によっては売買を早く成立させようとあなたを急かしてくるかもしれません。買付証明書を提出したということは購入するのが当然というように誘導してくるかもしれません。

でも、キャンセルはできます。仲介の不動産会社の誘導には注意が必要です。

ただし、キャンセルできるからといって購入する気もないのに買付証明書を提出するのはやめたほうがいいかもしれません。売主にも仲介の不動産会社にも迷惑をかけることになってしまうからです。

手付金は必要なんでしょうか?

買付証明書を提出するのに手付金は必要なんでしょうか?

手付金の目的は?手付金の金額を決める前に知っておきたいこと(関連記事)

手付金は不要です。

買付証明書を提出するのに手付金は必要ありません。不要です。

のちほどお話しますが、買付証明書に、手付金の額と支払う時期を記入する必要はあります。手付金の額を多くしておけば、売主に対して買う気の本気度をアピールすることができます。

でも、それはあくまでも売買契約が結ばれた後での話になります。買付証明書を提出する段階では手付金を支払う必要はありません。

仲介手数料の前払金として不動産会社が請求してくることも

仲介の不動産会社が手付金という名の前払金を請求してくる可能性はあります。

さきほどもお話しましたが、仲介の不動産会社としては、買付証明書を提出したのならそのまま売買成立してもらいたいんです。売買成立しなければ仲介手数料が得られませんから。

そこで、買付証明書を提出するときに手付金という名の前払金として10万円などを請求する不動産会社があります。その前払金は売買が成立したときの仲介手数料と相殺されます。

ただ、本来であればそういった前払金も必要はありません。疑問に思ったのであればしっかりと仲介の不動産会社に確認しておきましょう。

さらに言えば、前払金を支払うときの注意事項の中に「買付証明書が撤回された場合には没収します」などの記載がある場合には注意が必要です。

買付証明書を撤回させないための材料として使われる可能性があります。

複数の申込があった場合はどうなる?

複数の買付証明書の申込があった場合はどうなるんでしょうか?

早いもの順です

基本的には早く買付証明書を申込んだ人順に売主との交渉権が得られます。

早いもの順です。

人気地域の家やマンションの場合は、売り出したその日に数件の買付証明書の申込がある可能性だってあります。基本的には早いもの順なので、購入したいという人は急いで買付証明書を提出します。

現金で購入してくれそうな順になることも

基本は早いもの順なのですが、違う順番になることもあります。

どんな順番かというと、現金を多く持っている人順です。現金一括で購入できる可能性がある人のほうが優先されます。

というのも、ローンを組むことを条件に売買契約を結ぶ場合はローンがおりない可能性というのがあるからです。ローンがおりなければ家を購入することができないので売買はキャンセルになります。

そうなると仲介の不動産会社は仲介手数料がもらえません。

そこで、ローンを組まなくても購入することができそうな現金を多くもっていそうな人順で買付証明書が受付けられるということもあります。

キャンセルによって損害賠償を請求されることはある?

買付証明書をキャンセルすることによって損害賠償を請求されることってあるんでしょうか?

請求された事例があります

基本的にはありません。買付証明書には法的な効力がないからです。

でも、損害賠償が請求された事例というのがあります。なので、買付証明書をキャンセルしても損害賠償を請求されることはないとは言い切れません。

売買契約することを前提に売主側に費用がかかっていた場合です

なぜ、損害賠償が請求されたんでしょうか?

売買契約をすることを前提に、売主負担で家の改修をおこなっていたからです。

買付証明書を提出してからの売主との交渉次第では、購入する前に家の改修をしておいてもらうということも可能です。たとえば、排水管の改修をしておいてもらうなどです。

普通は買主自身が家を購入後におこなうことです。でも、交渉次第ではそういったことも可能になります。家の売買価格に改修費分を上乗せするという交渉がおこなわれたのかもしれません。

でも、売買契約が結ばれる前に買付証明書が撤回されてしまったんです。

裁判所はこの事例に対して損害賠償を認めています。買主と売主のあいだでの信頼関係が結ばれたあとで裏切り行為がおこった場合には損害賠償が請求される可能性があるということです。

買付証明書の書き方・記入事項

買付証明書はどうやって書くんでしょうか?最低限の記入事項についてお話します。

いくらで購入したいのか?

必ず書かなければいけないのが希望購入価格です。

希望購入価格が書かれていなければ売主としても返事に困ってしまいます。この価格は売出価格よりも低く設定されることが多いです。

たとえば、3000万円で売り出されている家であれば、2700万円の希望購入価格にするなどです。とはいえ、むやみに低い価格にしても門前払いになる可能性があるので、あなたが本当に買いたい価格を書いておきましょう。

手付金としていくら支払う予定か?

売買契約が結ばれたときに手付金としていくら支払う予定なのかを書きます。

この額はいくらでもOKです。

手付金というのは返金されないお金です。売買契約を結ぶと法的な効力が発生します。むやみに契約を破棄するということはできません。もし、破棄をおこなう場合には、手付金を失うことになります。

たとえば、手付金が300万円であれば、売買契約を破棄するとあなたは300万円を失うことになります。手付金が10万円であれば、あなたは10万円を失うことになります。

つまりは、手付金の額というのはあなたの本気度を表す数字とも言えます。高ければ高いほどに本当に家を購入する意志が硬いということになります。

どんな方法でいつまでに支払う予定か?

支払い方法と時期についても書きます。

たとえば、ローンを組んで購入する予定かどうか、現金一括で購入する予定か、1回で支払うか、2回に分けて支払うか、支払う時期はいつになるのかなどを記入します。

ローンを組む予定の場合は特記事項として”融資特約有り”と記入しておきましょう。融資特約というのは、ローンがおりなかった場合に売買契約をペナルティなしで破棄することができるという特約です。手付金も返金されます。

希望する引渡日はいつか?

いつごろに家を引渡して欲しいのかも記入します。

買付証明書を提出してから、売主との交渉、売買契約が結ばれるまでの期間、ローンを組むのなら審査が通過するまでの期間、引越しをする期間を考慮にいれて記入するといいでしょう。だいたい3ヶ月後あたりに設定するのがいいかもしれません。

有効期限はいつまでか?

忘れがちですが有効期限も記入しておきましょう。

この希望購入価格での買付証明書には有効期限がありますよということを示すためです。あなたの買付証明書を魅力的に感じた売主であれば、有効期限内に返事をかえしてくれるでしょう。

売渡許諾書が送られてくるかもしれません。

そのためにも、有効期限は短めに設定しておくのがいいです。1〜2週間程度でしょうか。

売主がどう感じるかが重要です

買付証明書に最低限記入しておくべき項目についてお話しました。

重要なのは売主がどう感じるかです。

売主としては買う気満々の人から買付証明書を提出して欲しいはずです。そして、実際に購入できるのかどうかも気になるところです。ローンの審査が通過できなくて売買契約が破棄されるということも少なくないからです。

場合によっては、年収を記入しておくのも有効かもしれません。十分に住宅ローンに通りそうな年収であれば売主としても安心して交渉できます。

サンプル・テンプレート・ひな形を使ったほうがいい?

買付証明書はテンプレートを使って作成するのがいいんでしょうか?

自分で1から作ったほうが早いかもしれません

買付証明書というのは、記入するべき項目に決まりがありません。テンプレートによっても記入項目に結構なバラつきがあります。

そう考えると、自分で1から買付証明書を作ったほうが早い可能性もあります。自分好みのテンプレートを探すのにも時間がかかりますし、自分好みのテンプレートが”無い”という可能性もあります。

買付証明書はワードで簡単に作成することができます。

テンプレートやサンプルを参考に自分で作成してしまったほうがいいかもしれません。

まとめ

買付証明書についてお話しました。

買付証明書を提出してしまったらもう引き返せないかもと心配していませんか?でも、買付証明書には法的な効力はありません。

その家を購入したいのであれば、安心して買付証明書を提出してみてください。

関連記事:売渡承諾書には法的な効力はあるんでしょうか?

関連記事:「取り纏め依頼書」と「買付証明書」はどう違う?

投稿者プロフィール

山河直純
山河直純住宅不動産研究家
一級建築士受験資格保有。建築家が設計した住宅、築40年以上のヴィンテージマンション、ハウスメーカーの住宅などなど、住宅全般をこよなく愛しています。特に狭小住宅好き。

不動産屋に行く前に知っておいたほうがいいこととは?

家や土地を売るとなると、まずは不動産屋に足を運ぶと思います。

でも、いきなり行ってしまってもいいんでしょうか?



「不動産のことについて何も知らないからプロの不動産屋に売却を任せるんじゃないか!」と思うかもしれません。



でも、本当にそれでいいんでしょうか?



「無知は高くつく」

とよく言われます。



この言葉は、アメリカの100ドル紙幣に描かれている、

ベンジャミン・フランクリンの名言の一節です。



日本で言うなら福沢諭吉みたいな人でしょうか。



ベンジャミン・フランクリンは、

「教育が高くつくというなら、無知はもっと高くつく」

と言いました。



不動産についても同じです。

不動産の場合は取り扱う額が大きい分とくに高くつく傾向があります。



あなたが足を運ぼうとしている不動産屋は本当にあなたの味方なんでしょうか?



不動産屋に行く前に知っておいたほうがいいことをお教えします。