準防火地域で外壁にガルバリウム鋼板を使うなら下地は何がいい?
準防火地域に家を建てようとすると、準耐火建築物や防火構造として家を建てなければいけません。
外壁にガルバリウム鋼板を使いたい場合、防火性のある下地を使わなければいけないこともあります。
ガルバリウム鋼板の下地としては何を使うのがいいんでしょうか?
「モイス」か「ダイライト」か「防水石膏ボード」か?
選択肢としては3つです。
「モイス」
「ダイライト」
「防水石膏ボード」
の中から選ぶことになると思います。
モイスとダイライトは、一般的にはケイカル板と呼ばれるものです。
石が原材料になっていて、ケイ素とカルシウムが主成分です。
ある程度の強度も持ち合わせているので、外壁に使うための耐力板として使われます。
そして、防火性も持ち合わせています。
一方、防水石膏ボードは、本来は室内に使われることが多いものです。
室内の壁はすべて石膏ボードで覆ったりしますよね。
でも、普通の石膏ボードを外壁の下地として使うのは耐水性に問題があります。
普通の石膏ボードは水分に弱いんです。
なので、ガルバリウム鋼板の下地として使いたい場合には、防水石膏ボードを使うことになります。
もっとも防火性が高いのは「モイス」です
防火性がもっとも高いのは「モイス」です。
モイスというのは三菱商事建材が作っている製品です。
不燃材としての防火認定を受けています。
不燃材として認められるには火にさらされても20分は燃えないことが求められます。
一方、大建工業の製品である「ダイライト」の場合には、準不燃材としての防火認定になっています。
準不燃材の場合には、10分は燃えないことが求められます。
なので、ガルバリウム鋼板の防火性を抜きにすると、下地単体としてはモイスの方が防火性は優れているということですね。
ちなみに、吉野石膏の製品である「防水石膏ボード」でも不燃材として防火認定されているものがありますが、板が厚くなってしまいます。
モイスもダイライトも防水石膏ボードも厚みは約9ミリほどなのですが、不燃材として認定されている「不燃防水石膏ボード」の厚みは12.5ミリになります。
「準耐火建築物」として建てるならモイスがいいかも
もし、準耐火建築物として外壁にガルバリウム鋼板を使いたいのであれば、下地にはモイスを使うのがいいのではないかと思います。
準耐火建築物では火にさらされても45分は燃えないことが求められます。
モイスの場合は不燃材なので、モイスだけでも20分は燃えない性能があります。
ガルバリウム鋼板も不燃材を使えば、それで45分をクリアできる可能性が高くなります。
ダイライトの場合には準不燃材なので、燃えないでいられるのは10分です。
ガルバリウム鋼板が不燃材であっても、45分の基準を満たすのは少し難しくなります。
防火構造として家を建てるのであれば、モイスでもダイライトでもいいと思いますけどね。
流通量が多くちょっと安いのが「ダイライト」です
防火性はモイスの方が高いですが、流通量が多くて手に入りやすいのはダイライトの方です。
(2019年1月現在、原材料が手に入りにくくなっているため、一時生産中止している模様ですが)
流通量が多いためか、モイスよりも値段も安くなっています。
まあ、大きくは変わりませんけどね。
防火構造でなるべく安く仕上げたいといのであればダイライトがいいかもしれません。
価格が圧倒的に安いのは「防水石膏ボード」です
ガルバリウム鋼板の下地として防水石膏ボードを使うこともできます。
防火性も、準不燃材としての認定は受けているので、防火構造の下地としては使うことができます。
でも、モイスやダイライトと比べるとどうしても板としての強度が落ちてしまいます。
防火性というよりも、耐震性が少し落ちてしまうんですね。
なので、ガルバリウム鋼板の下地としてはモイスかダイライトがいいとは思います。
でも、防水石膏ボードにはとても魅力的な部分もあります。
それは価格です。
モイスやダイライトと比べると4倍以上も値段が安いんじゃないでしょうか。
安く家を建てたいと思うならとても魅力的ですよね。
多少強度が落ちるとはいっても、建築基準法の耐震基準は満たすことになります。
でなければ確認申請が通らないですからね。
なので、防水石膏ボードをガルバリウム鋼板の下地に使うという選択肢もありだとは思います。
まとめ
というわけで、準防火地域で外壁にガルバリウム鋼板を使いたい場合、下地には何を使うのがいいのかというお話をしました。
防火性を最優先に考えるなら三菱商事建材の「モイス」を使うのがいいのではないかなと思います。
モイス単独でも不燃材として認定を受けているので、準耐火建築物として家を建てるときにも45分の基準を満たしやすくなります。
少しでも安くしたいなら「ダイライト」や「防水石膏ボード」もありだと思います。
特に、防水石膏ボードの場合には、モイスやダイライトに比べると約4倍ほども価格が安くなるはずです。
外部リンク:https://moiss.jp/moiss-tm/
外部リンク:https://www.daiken.jp/product/contents/dailite/product/dailite_ms.html
外部リンク:http://www.yoshino-gypsum.com/product/kabe/kabe05.html
関連記事:準耐火建築物のサッシには網入りガラスを使わないといけない?
関連記事:防火材として使うなら「石膏ボード」と「ケイカル板」どちらがいい?
関連記事:ガルバリウム鋼板屋根は本当にメンテナンスフリーなのか?
投稿者プロフィール
- 一級建築士受験資格保有。建築家が設計した住宅、築40年以上のヴィンテージマンション、ハウスメーカーの住宅などなど、住宅全般をこよなく愛しています。特に狭小住宅好き。
最新の投稿
- 2019.12.09税金・相続・法律「相続登記」と「所有権移転登記」の違いは何なんでしょうか?
- 2019.12.06住宅性能・住宅診断家は住まないと劣化するというのは本当なんでしょうか?
- 2019.12.06登記「表題登記(表示登記)」と「権利登記」はどう違う?
- 2019.12.06税金・相続・法律相続した不動産が未登記だった場合にはどうするのがいいんでしょうか?
家を高く売りたいなら知っておきたいこと
これだけは知っておいたほうがいいかもしれません。