地主にとって賃借権を登記するメリットってあるんでしょうか?
土地には借地権というものがあります。地主の土地を借りて、その上に家を建てて住むことができる権利ですね。
借地権にも地上権と賃借権の2種類があるのですが、地上権は地主にとってかなり不利なため、借地権というと賃借権のことを指すことが多いです。そんな賃借権なのですが登記されていないことがほとんどです。
地主にとって、賃借権を登記するメリットというのはあるんでしょうか?
ありません。
メリットはありません。だからこそ、賃借権は登記されていないことがほとんどなんです。登記するのにも登記費用がかかりますからね。むしろ、登記することにはデメリットがあると言ってもいいのかもしれません。
強いて言えば、地代を明記できること?
でも、強いて言えば、登記しておけば、地代を明確にしておくことができるというメリットはあるかもしれません。賃借権では、地主は土地を貸す代わりに、地代と呼ばれるお金を受け取ります。土地の家賃みたいなものですね。月額1万円とか2万円とかそんな金額です。
賃借権を登記するのであれば、地代の額も明記することになります。場合によっては、地主と借地人の間で、地代の額をめぐって言い争いが起こる可能性もあります。口約束だけだと言った言わないの言い争いもありますよね。
そんなときに、地代がきちんと登記されていれば、そんな問題は起こりません。
建物が登記されれば賃借権の代わりになります。
賃借権が登記されない最も大きな理由は、土地の上の建物が登記されれば、それで賃借権の代わりになるからです。土地の所有者は地主だけれども、その土地の上に建つ建物の所有者が他人の場合、それは賃借権のやりとりがあったとみなされます。
確かにそれはそうでしょう。地主の許可なく、勝手にその土地の上に建物は建てられません。
ただし、建物登記がされていない場合には要注意。
ただし、借地人によっては、建物を建てても所有権を登記しないことがあります。未登記物件として、ずっと住み続けているという場合があります。こんなときには、要注意なんです。
地主と借地人の間で共通の認識があれば、それで問題ないかもしれません。建物が登記されていないからといって、「賃借権は存在しない!」とか言い出すこともないでしょう。
第3者に底地権を売った場合、借地人が追い出される可能性があります。
ただ、地主が第3者に底地権(借地の所有権のことをそう呼びます)を売った場合、建物が登記されていない場合、借地人が追い出される可能性がでてきます。旧地主との間では、暗黙の了解で賃借権が機能していたとしても、新地主にとっては関係がないことです。
賃借権が登記されておらず、かつ、その上に建つ建物も借地人による登記がなされていない場合、法律上は賃借権は存在していないことになります。借地人は新地主に対して賃借権を主張することができません。裁判になっても負ける可能性が高いです。
なので、もし、あなたが地主であって、借地人が建物の登記をしていない場合には、第3者に底地権を売る前に、借地人に確認してみてください。
「建物の登記はしなくていいのか?」って。
まとめ
というわけで、地主が賃借権を登記するメリットはあるのかというお話をしました。
メリットはありません。反対に、登記すると登記費用がかかるのでデメリットしかないとも言えます。強いてメリットがあるとすれば、地代を記載しておけることぐらいです。賃借権というのは、借地人が建物を登記するだけであっても認められます。
でも、借地人が建物を登記していない場合にはちょっと注意が必要です。地主が第3者に底地権を売却した場合、賃借権は存在しないものとして扱われることがあります。
関連記事:借地権の上に建っている家は売却できるんでしょうか?
投稿者プロフィール
- 一級建築士受験資格保有。建築家が設計した住宅、築40年以上のヴィンテージマンション、ハウスメーカーの住宅などなど、住宅全般をこよなく愛しています。特に狭小住宅好き。
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