木材に不燃塗料を塗って不燃材として認めてもらうことはできるのか?

塗料の中には不燃材として認められているものがあります。

火にさらされても20分以上は燃えないでいられるというのが不燃材です。

 

塗料は木材に塗ったりしますよね。

ということは、天然の木材に不燃塗料を塗れば、不燃材として認めてもらえるということなんでしょうか?

 

不燃材として認めてもらえません

結論から言えば、天然木材の上に不燃塗料を塗っても、その木材を不燃材として認めてもらうことはできません。

そう思ってしまうのも無理ないですけどね。

 

実際のところ、不燃塗料のメーカーにはそういった問い合わせが多いそうです。

 

透明な不燃塗料に「モーエンアクア」という製品があります。

透明なので木材の上に塗れば木目を活かすことができます。

 

そうなると、当然のことながら「天然の木材の上からモーエンアクアを塗れば木材そのものを不燃材として使えるのでは?」と思ってしまいますよね。

でも、不燃材としては使えません。

 

不燃塗料は防水テープのようなものです

不燃塗料というのは、レインコートの防水テープのようなものだと思います。

 

レインコートで有名なのはマッキントッシュです。

2枚のコットン生地の間に薄く伸ばしたゴムを挟み込んで、防水性を獲得したレインコートです。

 

服というのは、ひとつのパーツでできているわけではありません。

複数のパーツを組み合わせて作ります。

 

レインコートの場合、パーツとパーツの間の処理がとても大事になってきます。

 

例えば、肩から腕にかけてパーツをつなぎ合わせますが、そのつなぎ目もしっかりと防水されていないと、雨がコートの中に入ってきてしまいます。

そこで、パーツとパーツの間には防水テープが使われます。

 

つなぎ目もしっかりとゴムでコーティングするんですね。

 

生地そのものが防水じゃないと意味がありません

不燃塗料は防水テープのようなものだと言いましたが、そもそもレインコートに使われる生地自体に防水性がなければ意味がありません。

 

もし、防水性のない普通のコットン生地が使われていた場合、パーツとパーツのつなぎ目に防水テープを使ったとしても、あまり意味がありません。

コットン生地に雨がしみてきてしまいます。

 

レインコートとしての機能を果たせなくなってしまいます。

実のところ、不燃塗料と天然の木材の関係ってこれに似ています。

 

木材そのものが不燃材でなければ不燃塗料である意味は半減します

例えば、外壁に木材を使うとします。

 

準防火地域に木造住宅を建てる場合、外壁には防火構造が求められます。

お隣が火事になって、外壁が火にさらされても30分は燃えないことが求められます。

 

天然の木材に不燃塗料を塗っただけでは、防火構造としては認められません。

 

防火構造として認められるには、木材そのものが不燃材であることが求められます。

レインコートで言えば、生地そのものに防水性が求められるのと似ています。

 

重要ですよね。

その上で、不燃塗料を塗るのであれば、問題なく防火構造として認められます。

 

まあ、外壁の場合には不燃塗料ではなくて、普通の塗料を使っても防火構造として認められますけどね。

塗料は燃えますが、その下に不燃材の木材があるので大丈夫という考え方です。

 

レインコートでいえば、防水テープじゃないとパーツとパーツのつなぎ目から雨がしみるかもしれないけれど、それほど問題ではないだろうというような感じでしょうか。

 

無垢材を不燃材に加工することは可能です

無垢材に不燃塗料を塗って不燃材として使うことはできませんが、無垢材を不燃材に加工するということはできます。

 

無垢材をカラカラに乾燥させて、そこにホウ酸塩などの薬剤を染み込ませます。

すると、火にさらされても木材の表面がガラス化して燃えにくくなるんですね。

 

最近は、不燃材として加工された木材もかなり増えているのではないでしょうか。

 

ただ、ひとつだけ注意点があります。

不燃材として加工された木材の上に、不燃塗料を塗ると、白く濁ることがあるということです。

 

木材に染み込んだホウ酸塩などが不燃塗料に溶け込んで結晶化してしまうとそうなります。

 

まとめ

というわけで、木材に不燃塗料を塗って不燃材として認めてもらうことはできるのかというお話をしました。

 

認めてもらうことはできません。

 

不燃塗料というのは、レインコートでいう防水テープのようなものです。

生地そのものに防水性がなければレインコートとしての機能は果たせませんよね。

 

なので、不燃塗料を使うという場合にも、木材そのものが不燃材であることが求められます。

 

ちなみに、不燃塗料を使わなくても、無垢材を不燃材として加工するということはできます。

 

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投稿者プロフィール

山河直純
山河直純住宅不動産研究家
一級建築士受験資格保有。建築家が設計した住宅、築40年以上のヴィンテージマンション、ハウスメーカーの住宅などなど、住宅全般をこよなく愛しています。特に狭小住宅好き。

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