防火材として使うなら「石膏ボード」と「ケイカル板」どちらがいい?
防火地域や準防火地域では、火事を起こりにくくするために、防火材を使わなければいけなかったりします。
防火材としてよく使われるものに「石膏ボード」と「ケイカル板」があります。
一体、どっちのほうを使えばいいんでしょうか?
使い分けるポイントは「湿気」です
石膏ボードとケイカル板は、どちらの方がいいということはありません。
どちらもかなり似ています。
というのも、使われている主原料が似ているんです。
石膏ボードの主原料は「硫酸カルシウム」です。
一方、ケイカル板の主原料は「ケイ酸カルシウム」です。
略してケイカル板なんですね。
どちらも、カルシウムで鉱物からとれるものです。
ここではお話しませんが、石灰の主原料は「炭酸カルシウム」です。
石灰は石灰石や大理石からとれます。
セメントの原料となるものですね。
石灰を水と混ぜて放置するとセメントとして固まります。
それと似たような感じで作られるのが石膏ボードやケイカル板です。
軽いセメントという感じでしょうか。
なので燃えにくくなっているんですね。
そんな石膏ボードとケイカル板なのですが、湿気に弱いという性質を持っています。
特に、石膏ボードは湿気にとても弱いです。
石膏ボードの主原料は豆腐の凝固剤としても使われます
実は、石膏ボードの主原料である「硫酸カルシウム」というのは豆腐の凝固剤として使われることがあります。
「豆腐を固めるのはにがりなんじゃないの?」って思うかもしれません。
確かににがりもそうなのですが、硫酸カルシウムが使われることもあるんです。
そのほうが安く豆腐を作ることができます。
実は「硫酸カルシウム」というのは食品添加物として認められています。
水に溶けやすいということ
硫酸カルシウムが豆腐の凝固剤として使われるということは、水に溶けやすいということです。
にがりの代わりに使われるということは塩に似た性質を持っていると考えてもいいかもしれません。
セメントの場合には石を使うので水にも強いですが、石膏ボードの場合には塩に似たものが主原料として使われるということです。
なんとなく、湿気に弱そうなのもイメージできるのではないでしょうか?
水回りや軒裏にはケイカル板の方が向いています
家の中でも水回りや軒裏というのは湿気が多い場所です。
やかんでお湯を沸かせば水蒸気があがって湿気が高まりますよね。
お風呂場の脱衣所も湿気が強くなります。
また、雨が降ると軒裏や外壁の湿気も高まります。
そういった場所には石膏ボードというのはあまり向いていません。
湿気で石膏ボードがボロボロになってしまう可能性があるんですね。
なので、そういった場所にはケイカル板のほうが向いています。
ケイカル板も決して湿気に強いというわけではありません。
直接水が当たるような場所には使えません。
でも、多少湿気が多いという場所になら使うことができます。
水回りや軒裏などですね。
ちなみに、ケイ酸カルシウムというのも食品添加物として認められている成分です。
塩が固まってしまうのを防ぐために使われることがあります。
塩って湿気が強い場所においておくと固形化してしまいますよね。
それを防ぐために塩に混ぜられることがあります。
また、ケイ酸カルシウムは肥料としても使われます。
結構意外じゃないですか?
建材の主成分が肥料として使われることがあるなんて。
外壁の下地として使うならダイライトやモイスなどの選択肢もあります
ケイカル板は外壁の下地として使われることもあります。
ケイカル板の上に、木材やサイディングボードなどを貼り付けます。
とはいえ、ケイカル板というのは決して水に強いというわけではありません。
もし、雨が下地にまで染み込んできてしまった場合、ケイカル板はボロボロになってしまいます。
まあ、石膏ボードを使うよりはいいですけどね。
そんな時は、石膏ボードやケイカル板ではなく、耐力板としても使えるダイライトやモイスなどの製品を使うという選択肢もあります。
費用は4倍ほどに上がってしまうのですが、防火性能も高く、ケイカル板よりも耐水性もあり、耐力板として使えるぐらいの強度もあります。
まあ、構造用合板に比べてら弱いですけどね。
でも、防火材として使いたいというのであれば、検討してみるといい建材だと思います。
まとめ
というわけで、防火材として使うなら「石膏ボード」と「ケイカル板」はどちらがいいのかというお話をしました。
どちらがいいということもありません。
適材適所です。
石膏ボードは価格も安くて扱いやすいのですが、湿気に弱いという性質を持っています。
なので、水回りや軒裏にはケイカル板を使うのがいいです。
ケイカル板は石膏ボードに比べると多少価格が高くなります。
また、外壁の下地として使うという場合には、ケイカル板でもいいのですが、耐力板としても使えるダイライトやモイスなどの製品を検討するのもいいと思います。
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投稿者プロフィール
- 一級建築士受験資格保有。建築家が設計した住宅、築40年以上のヴィンテージマンション、ハウスメーカーの住宅などなど、住宅全般をこよなく愛しています。特に狭小住宅好き。
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