現金一括ではなくて、あえて住宅ローンを利用することのメリットとは?
不動産の購入は、
住宅ローンを利用したほうがお得だと言われることがあります。
現金一括で購入できるとしても、
住宅ローンを利用したほうがいいということですね。
住宅ローンを利用するメリットがそこにあるからです。
どんなメリットなんでしょうか?
住宅ローン減税じゃないです。
よく言われるのは、
住宅ローン減税ですね。
住宅ローンを利用して不動産を購入すると、
10年間は住宅ローン減税を受けることができます。
住宅ローン残債の1%が、
支払った所得税と住民税から返ってきます。
細かい話は端折りますが、
住宅ローン残債が3000万円だった場合、
1年間に30万円の税金が返ってくることになります。
簡単に言えば、
住宅ローン残債の1%をもらうことができる感じですね。
お得のようにも感じますが、
忘れてはいけないのが住宅ローンの利子です。
例えば、年利1%の住宅ローンなら、
残債が3000万円なら利子が30万円かかります。
減税される額と利子の額がどっこいどっこいになります。
これはお得だと言えるんでしょうか?
年利1%以下ならお得になるとも言えるかもしれません。
でも、住宅ローン減税が使えるのは10年間だけですし、
今後、金利が1%以上になると言えなくもありません。
どちらにしても、現金一括で買うよりも、
住宅ローンを利用したほうがお得とは簡単には言えません。
金融機関に物件をチェックしてもらえるということ。
それでも、
あえて住宅ローンを利用することのメリット。
それは、金融機関に物件をチェックしてもらえるということです。
住宅ローンを利用するときは、
金融機関に物件の詳細な資料を提出します。
売買契約書だったり、重要事項説明書だったり、設計図面とかです。
そして、金融機関は、
物件に問題がないかチェックします。
なんで、そんなことをするのかというと、
融資する物件に、担保としての価値があるかを確認するためです。
もし、借主がローンを返済できなくなるような事態になった場合、
金融機関は物件を差し押さえて競売にかけます。
そして、融資した資金を回収します。
このとき、物件に問題がある場合、
安くしか売れないことになってしまいます。
回収できる資金が少なくなる可能性があります。
なので、そんなことがないように物件のチェックをするんですね。
違反建築や既存不適格にも気がつくことができます。
世の中には、
結構な数の違反建築や既存不適格な物件があります。
建築基準法を満たしていない建物のことですね。
例えば、容積率をオーバーしていて、
建て替えるとなると今よりも小さな建物しか建てられないというようなものです。
住宅ローンを利用すると、
買いたいと思っている物件が違反建築や既存不適格だった場合に、
気がつくことができます。
というよりも、融資してもらえません。
というよりも、融資してもらえません。
金融機関は、基本的に、
違反建築や既存不適格な物件に融資しません。
リスクが高いからです。
仮に、ローンの返済が滞ったときに、
資金回収できる額が少なくなってしまう可能性があるからです。
現金一括の場合には、気がつかずに購入してしまう可能性も。
「違反建築や既存不適格かなんて、住宅ローンを利用しなくても気がつけるんじゃないの?」
と思うかもしれません。
確かにそのとおりです。
基本的に、仲介の不動産会社の人が教えてくれるはずです。
「この物件は違反建築です」
とか
「この物件は既存不適格です」
とかですね。
でも、それだと売れにくくなるので、巧妙に隠す不動産会社もあるんです。
口頭では伝えずに、
重要事項説明書にひっそりと記載しておくだけとか。
そんな場合、現金一括の場合には、
違反建築や既存不適格と知らずに購入してしまう可能性があります。
実際に、そういった事例は結構あります。
建て替えようとしたときに、
初めてその事実に気がつくとかですね。
まあ、もちろん、
自分でも違反建築や既存不適格でないか調べることも大事になってきます。
でも、住宅ローンを利用することで、
金融機関にチェックしてもらうということもできるんですね。
まとめ
というわけで、現金一括ではなくて、
あえて住宅ローンを利用することのメリットについてお話しました。
こういう場合、だいたいは住宅ローン減税の話になることが多いです。
でも、住宅ローン減税を利用できたとしても、
現金一括よりもお得とはなかなか断言しにくいのが現実です。
金利の変動などの影響もありますし。
そうではなく、住宅ローンには、
金融機関に物件をチェックしてもらえるというメリットがあります。
違反建築や既存不適格な物件だった場合、
気がつくことができます。
というのも、そういった物件には融資してもらえないからです。
現金一括の場合には、
気がつかずに購入してしまう可能性もあります。
関連記事:既存不適格なマンションって実は結構あるんでしょうか?
関連記事:既存不適格の物件、住宅ローンを融資してもらうのは難しい?
投稿者プロフィール
- 一級建築士受験資格保有。建築家が設計した住宅、築40年以上のヴィンテージマンション、ハウスメーカーの住宅などなど、住宅全般をこよなく愛しています。特に狭小住宅好き。
最新の投稿
- 2019.12.09税金・相続・法律「相続登記」と「所有権移転登記」の違いは何なんでしょうか?
- 2019.12.06住宅性能・住宅診断家は住まないと劣化するというのは本当なんでしょうか?
- 2019.12.06登記「表題登記(表示登記)」と「権利登記」はどう違う?
- 2019.12.06税金・相続・法律相続した不動産が未登記だった場合にはどうするのがいいんでしょうか?
家を高く売りたいなら知っておきたいこと
これだけは知っておいたほうがいいかもしれません。