「建物状況調査」と「住宅診断(ホームインスペクション)」は何が違う?
日本でも中古住宅の売買がおこなわれることが多くなってきました。
でも、中古で気になるのは
「この家は買っても本当に大丈夫なのか?」というところですよね。
その確認のための方法として、
「建物状況調査」と「住宅診断(ホームインスペクション)」というものがあります。
この2つは何が違うんでしょうか?
診断する「範囲」が違います。
診断する「範囲」が違います。
建物状況調査と住宅診断では、
住宅をチェックするための診断範囲がちょっと違ってくるんです。
建物状況調査では、床下と天井裏への「進入調査」はおこないません。
床下と天井裏の診断方法が違います。
建物状況調査の場合、
実際に床下や天井裏には入りません。
体ごと進入して、隅々までチェックするということはしません。
点検口からの目視にとどまるということ。
点検口を開けて、
そこから見える部分だけチェックするんですね。
「それってどうなの?」と思うかもしれませんが、
それでOKということになっているのが、建物状況調査です。
見えない部分がどうなっているのかは分かりません。
点検口から見える部分というのは、
本当に限られています。
特に床下。
大抵の場合、点検口というのはキッチンの下につけられていることが多いです。
もしくは、洗面台の下とかでしょうか。
その点検口から床下を目視してみても、
その部屋の床下しかチェックできないんですね。
基礎のコンクリートで遮られて、
他の部屋の床下はチェックすることができません。
天井裏は全体を目視できるかもしれませんが、
どうしても隠れていて見えない部分がでてくるので、
すべてをチェックするということはできません。
一方、住宅診断では進入調査もおこないます。
一方、住宅診断では、
床下や天井裏への進入調査もおこないます。
体ごと進入して、
隅々まで写真や動画を撮りながらチェックするということですね。
この方法であれば、
床下や天井裏のすべての部分をチェックすることができます。
床下にシロアリが発生していないか?
排水管や給水管から水が漏れている部分はないか?
土台の木材の劣化具合はどうか?
などが詳細に分かります。
天井裏も同じですね。
隠れたところに雨漏りがないかなども分かります。
場合によっては小動物が進入していることもありますしね。
そういったことも分かります。
万全を期すなら、建物状況調査よりも住宅診断を受けるのがいいです。
なので、万全を期すなら、
建物状況調査よりも住宅診断を受けるほうがいいです。
木造住宅で1番大切なのは、
なによりも床下です。
床下の土台部分に問題があるのに、
その上に建っている家をキレイにリフォームやリノベーションしても、
あまり意味がありません。
建物の寿命がすぐにやってきてしまいます。
ただし、業者によって診断内容が違うので気をつけましょう。
ここまで話しておいてなんですが、
実のところ「建物状況調査」と「住宅診断」は別物ではありません。
住宅診断の中に、建物状況調査が含まれる感じでしょうか。
建物状況調査というのは、
国土交通省が仕様を指定した住宅診断のことです。
国土交通省の商標登録みたいなものです。
国土交通省に認定された建築士しか、
建物状況調査というのはおこなうことができません。
一方、住宅診断というのは、
民間の業者によって仕様がバラバラです。
場合によっては、建物状況調査のように、
床下や天井裏のチェックは目視にとどまるという場合もあります。
でも、民間での住宅診断の場合、
床下や天井裏への進入調査を売りにして宣伝していることが多いです。
「進入調査をおこなわない建物状況調査よりも、進入調査もおこなう、うちの住宅診断のほうがいいですよ!」
という感じです。
まとめ
というわけで、「建物状況調査」と「住宅診断」は何が違うのかというお話をしました。
診断する範囲が違います。
建物状況調査の場合、床下と天井裏への進入調査はおこないません。
点検口からの目視にとどまります。
なので、進入しないとチェックできない部分については、
分からないままなんですね。
もしかしたら、見えない部分でシロアリが発生しているかもしれません。
でも、それでOKになっているのが建物状況調査です。
一方、住宅診断の場合、床下と天井裏への進入調査をおこないます。
隅々までチェックします。
なので、万全を期すなら建物状況調査よりも住宅診断を受けるのがいいです。
ただし、業者によって診断内容が違ったりもするので気をつけましょう。
大事なのは進入調査の有無です。
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投稿者プロフィール
- 一級建築士受験資格保有。建築家が設計した住宅、築40年以上のヴィンテージマンション、ハウスメーカーの住宅などなど、住宅全般をこよなく愛しています。特に狭小住宅好き。
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