「小規模住宅用地」と「小規模宅地等」の特例はどう違う?

不動産に関する言葉の中に「小規模住宅用地」と「小規模宅地等」というものがあります。似ていますよね。場合によっては、「言葉がちょっと違うだけで、同じ意味なんじゃないの?」と思う人もいるかもしれません。

似てるけど、全くの別物です。

言葉は似ていますが、「小規模住宅用地」と「小規模宅地等」は別物です。

小規模住宅用地は「固定資産税」に関するものです。

小規模住宅用地というのは固定資産税に関わる言葉です。小規模住宅用地の特例が適用されると、その土地の固定資産税が安くなります。

土地の固定資産税が1/6になります。

土地の固定資産税が1/6に減額されます。1/6ですよ?かなりの減額なのではないでしょうか。

ただし、土地の広さが200平米以下である必要はあります。一般的な住宅地のサイズは100平米ほどです。2つの住宅地を購入して合筆したとしても200平米です。ほとんどの住宅地で、「小規模住宅用地の特例」というのは適用されます。

また、仮に200平米を超えていたとしても、200平米までの部分に対しては1/6の減額が適用されますし、200平米以上の部分に対しても、1/3の減額が適用されます。人が住むための住宅が建っている土地は、それほどに優遇されているということです。

もし仮に、小規模住宅用地の特例が無かったのだとしたら、おそらく、多くの人が東京の都心には住めなくなります。土地の固定資産税が6倍に跳ね上がるからです。

東京の都心は地価が高いです。100平米の土地であっても1億を超えることはザラでしょう。仮に、土地の課税評価額が1億円の場合、固定資産税は140万円もかかります。月額にすると11万円ちょっとです。賃貸に住めてしまうレベルです。多くの人は、都心には住めなくなってしまうでしょう。

それが、小規模住宅用地の特例が適用されると、23万円ほどに減額されます。

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小規模宅地等は「相続税」に関するものです。

小規模宅地等というのは相続税に関する言葉です。小規模宅地等の特例が適用されると、相続税が安くなります。ちなみに、なぜ「宅地」という言葉が使われているのかというと、適用される条件が住宅用地に限らないからです。事業用地も含まれます。

例えば、親が事業をやっていた場合、事業をするために使われる土地であれば、その事業を継続することを条件に、相続税を安くしてもらうことができるんですね。

土地の課税評価額が80%オフになります。

どれくらい安くなるのかというと、土地の課税評価額が80%オフになります。小規模住宅用地の特例の1/6(約83%)には少し及びませんが、80%オフというのはかなりの減額です。

ただ、小規模宅地等の特例の場合には、その対象が相続税です。相続税の場合、支払うことになる税金の額の桁が違います。場合によっては、1000万円単位での支払いになる可能性だってあります。土地の課税評価額が5700万円ぐらいを超えてくると、税金の支払いが1000万円を超えてきます。

それが、小規模宅地等の特例が適用されるなら、税金がタダになるかもしれないんです。これは大きいでしょう。

例えば、評価額が1億円の土地を相続するとします。この土地に小規模宅地等の特例が適用されるのであれば、課税評価額は2000万円になります。相続税の場合、最低でも3600万円の基礎控除があるので、相続税は0円になることになります。

これがもし、小規模宅地等の特例が適用されない場合、相続税がかかることになります。どれくらいかかると思いますか?相続人が1人だけと仮定すると、支払わなければならない税額は1220万円になります。大きな差がでますね。土地を相続する場合には、ぜひ、小規模宅地等の特例を適用したいところです。

ただ、それには条件があります。相続人が、配偶者か、同居している相続人か、3年以上賃貸ぐらしの相続人である必要があります。そして、相続人がすでに自宅を所有している場合、小規模宅地等の特例は適用できなくなってしまいます。

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まとめ

というわけで、「小規模住宅用地」と「小規模宅地等」の違いについてお話しました。同じ意味ではありません。「小規模住宅用地」は固定資産税に関わる言葉です。一方、「小規模宅地等」は相続税に関わる言葉です。

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投稿者プロフィール

山河直純
山河直純住宅不動産研究家
一級建築士受験資格保有。建築家が設計した住宅、築40年以上のヴィンテージマンション、ハウスメーカーの住宅などなど、住宅全般をこよなく愛しています。特に狭小住宅好き。

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