相続登記の登録免許税がタダになる(免税される)条件とは?
2018年4月1日から2021年3月31日までの3年間は、相続税の登録免許税がタダになるという免税措置が設けられました。
相続登記の登録免許税は土地の評価額に対して0.4%です。
例えば、1000万円の土地であれば4万円、3000万円であれば12万円、5000万円であれば20万円です。
それがタダになるというのですから結構大きいです。
でも、注意点があります。
相続登記を1回「飛ばしている」ことが条件です
免税を受けるには相続登記を1回「飛ばしている」必要があるんです。
相続登記するべきだったのだけれども、そのまま放置してしまったことがあるということです。
土地の所有権をめぐって特に問題がおこらない場合、相続登記をしなくても特に困ったことは起こりにくいです。
「この土地は私のもの!」という第3者がいないですから。
仮に、相続争いが起こった場合などには土地の所有権を明確にするためにも確実に相続登記をおこないます。
「この土地は私のもの!」ということを明確にしておくためです。
例えば、母が相続登記をし忘れた場合
4人家族を例にお話します。
「父」「母」「あなた(長男)」「弟」の4人家族だとします。
父が亡くなると、相続人はその配偶者(母)とその子どもたち(あなたと弟)になります。
母が1/2、子どもたちがそれぞれ1/4ずつの遺産配分になります。
家はそのまま母へと相続されることがほとんどなのではないでしょうか。
父が亡くなっても母はそのままその家に住み続けますからね。
子どもたちにも異論がない場合には特に家の所有権が誰にあるのかなんて気にしないかもしれません。
そんな時に相続登記が「飛ばされる」ということがおこります。
本当は母が相続登記をおこなうべきなんですね。
でも、特に相続登記をおこなわなくても問題がおこらないのでそのまま放置してしまうんです。
そして母が亡くなると、相続人はあなたと弟の2人になります。
家があるのであればどちらが家を相続するのかで多少問題が起こるかもしれません。
もし、あなたが家を相続することになったのであれば、その所有権を明確にしておくために相続登記をおこなうのではないでしょうか。
あなたのではなく、母の分の登録免許税がタダになります
2018年から3年間は相続登記の登録免許税がタダになると言われているのですが、ちょっと注意が必要です。
「そういえば2018年から3年間は相続登記の登録免許税がタダになるんだ、ラッキー!(全額タダになるんだ!)」なんて思っているとガックリしてしまうかもしれません。
実は、あなたの相続登記の登録免許税はタダにはなりません。
タダになるのは本当は相続登記するべきだった母の分の登録免許税だけなんです。
なので登録免許税が0円で済むとうことはありません。
土地の評価額が3000万円だったとしたら12万円の登録免許税がきちんとかかります。
2回分を支払うべきところが1回分に免税されるということ
言ってみれば、2回分を支払うべきところが1回分に免税されるということですね。
この免税措置がない場合には、飛ばしてしまった母の分の登録免許税も支払う必要があるんです。
土地の評価額が3000万円だとしたら2回分の登録免許税は24万円です。
結構大きいですね。
それが12万円になるということなんです。
法務局は相続登記されずに放置されることを阻止したい
なんだかお得なのか損をしているのかわからないようなこの免税措置なのですが、不動産登記を管理する法務局としては相続登記されずに放置されることを阻止したいという思惑があります。
場合によっては子どもすら相続登記をしない可能性だってあるからです。
さきほどは4人家族を例にお話しましたが、子どもが1人の3人家族だったとしたらどうでしょうか?
母からあなたに家が相続されるときに相続争いはなにもおこりません。
相続登記する必要性を感じないかもしれません。
ましてや、母の分の相続登記の登録免許税まで支払わなければならないとなると相続登記せずに放置したままにしたくなるのではないでしょうか?
実際のところ、そういった事例は多いのだと思います。
建物には適用されずに土地だけに有効です
ちなみに、今回のこの免税措置は建物には適用されません。
土地だけに有効な免税措置です。
まあ、木造住宅の場合は法定耐用年数が22年です。
22年経つと価値がほとんど0になるということなので、22年以上住んだ家を相続する場合には建物分の登録免許税はほぼ0に近いことになります。
あまり人が住まないような土地や評価額が10万円以下の土地も免税になります
ちなみに、今回の免税措置は1次相続(母が父の家を相続するとき)が免税になるというだけではなくて、あまり人が住まないような土地(市街化区域外)や評価額が10万円以下の土地に対しても適用されます。
あまり人が住まないような場所の土地は無条件で相続の登録免許税は免除しますよということです。
例えば、山林などですね。
そういった山林などは相続登記するメリットがほとんどありませんからね。
最近は負動産とも呼ばれたりします。
そういった土地であってもキッチリ相続登記して欲しいというのが今回の免税措置の目的だと思います。
まとめ
というわけで、相続登記で登録免許税がタダになる条件についてお話しました。
その条件とは相続登記を1回「飛ばしている」ことです。
例えば、母が父の家の相続登記をおこなわなかったなどですね。
その後に、あなたが母の家を相続登記しようと思うとき(2次相続)に、母の分の登録免許税がタダになるということです。
あなたの分の登録免許税はタダにはなりません。
人があまり住まないような市街化区域外の土地や評価額が10万円以下の土地を相続するときは無条件で登録免許税がタダになります。
参考サイト:http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/page7_000017.html(法務局)
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- 一級建築士受験資格保有。建築家が設計した住宅、築40年以上のヴィンテージマンション、ハウスメーカーの住宅などなど、住宅全般をこよなく愛しています。特に狭小住宅好き。
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