「私道」と「位置指定道路」にはどんな違いがあるんでしょうか?

所有権が個人にある道として「私道」と「位置指定道路」というものがあります。

 

個人が所有する道に接した土地に家を建てようとするとき、その道が「私道」なのか「位置指定道路」なのかで家を建てるための進め方が変わってきます。

 

一体、「私道」と「位置指定道路」にはどんな違いがあるんでしょうか?

 

公共の道路と同じ品質だと認められた「私道」が「位置指定道路」です

簡単に言えば、公共の道路と同じ品質だと国(特定行政庁)に認められた「私道」というのが「位置指定道路」になります。

 

私道と位置指定道路というのは別物ではないということです。

私道の中の一部に位置指定道路になっているものがあるという感じでしょうか。

 

ちなみに、建築基準法上は幅が4m以上ある道のことを「道路」と呼びます。

 

なので、私道の中には「道路」ではないものも含まれるんですね。

幅が4m以下の道の場合は建築基準法上は道路とは呼びません。

 

とはいえ、所有権が個人にあるのであれば、それは私道になります。

私道には3つのパターンがあるということになります。

 

ひとつめは、道路と認められていない私道。

幅が4m以下の私道ですね。

 

ふたつめは、道路と認められている私道。

幅が4m以上の私道です。

 

みっつめは、位置指定道路として認められている私道。

幅が4m以上ある上に、公共の道路と同じ品質をもっている私道です。

 

「自動車」が問題なく通行できるかどうかが大事

公共の道路と同じ品質というのは、つまりは建築基準法を満たした道路ということなのですが、もっと分かりやすい考え方があります。

それは、自動車が問題なく通行できるかどうかという考え方です。

 

道路の幅は4m以上と決められているのも、実のところ自動車が関係しています。

車がすれ違える最低限の幅が4mなんですね。

 

横幅が小さい軽自動車とかなら道幅が3.5mとかでもすれ違えるかもしれませんが、やっぱり最低限4mは欲しいところです。

 

また、車は直角に曲がるということができません。

必ず、内側を巻き込むようにして曲がりますよね。

 

直角になった曲がり角の壁には車がこすったような跡が付いていることが多いです。

 

そんなこともあって、道路の曲がり角というのは丸く切り取られていることがほとんどです。

車が曲がりやすいようにですね。

 

位置指定道路にも、当然のことながらそういった処理が求められます。

道路の角を車が曲がりやすく切り取ることを「隅切り」というのですが、私道を位置指定道路として認めてもらうには、自動車が通行しやすいようにきちんと隅切りしてある必要があります。

 

大きな土地を分割して宅地開発をするときに「位置指定道路」が作られます

位置指定道路というのは、基本的には行き止まりになっていることが多いです。

というのも、位置指定道路というのは住宅メーカーによる宅地開発のときに作られることが多いからです。

 

行き止まりになった道路を取り囲むように、同じような家が建っているところを見たことはありませんか?

そういった道路は、たいていが位置指定道路です。

 

大きな敷地を仕入れた住宅メーカーが、その敷地を分割して複数の戸建住宅を作ります。

敷地の奥のほうに建つ住宅にアクセスするには道路を作る必要があります。

 

その道路が、位置指定道路として作られるんですね。

 

ちなみに、行き止まりになった位置指定道路を作るときには、道路の長さに気をつけなければいけません。

基本的には、行き止まりの場合には道路の長さは35mまでという制限があります。

 

もし、35mを超える場合には、車がUターンできるように切り返しスペースを設けなければいけないことになっています。

行き止まりになっていることを知らずに車が進入してきた場合、35m以上バックで戻らなければいけないことになるからですね。

 

「位置指定道路」に2m以上接道していれば家を建てることができます

家を建てるには、道路に2m以上接道していなければいけないという条件があります。

建築基準法で決められています。

 

住宅メーカーによる宅地開発のときも、もちろん同じです。

 

大きな敷地の奥のほうにある住宅も、道路に2m以上接道していなければいけません。

そもそも、道路がなければアクセスできないというのもそうですが、その条件を満たすためという理由もあって、位置指定道路が作られるんですね。

 

位置指定道路というのは基本的には私道です。

住宅メーカーが仕入れた敷地の中に道路を作るんですから。

 

でも、その私道が位置指定道路として認められた場合には、その私道は建築基準法上は公的な道路として扱われることになります。

公的な道路に2m以上接道していれば問題なく家を建てることができます。

 

「私道」の場合には家を建てるには「通行許可証」が必要になります

もし、その私道が位置指定道路として認められなければどうなるでしょうか?

 

敷地の奥にある住宅は「私道」に接道していることになります。

接道しているのが私道であっても、家を建てるということはできるのですが、条件があります。

 

私道の所有者に「通行許可証」をもらっている必要がでてくるんです。

その私道を通らなければ家にアクセスできないのであれば「通行許可証」をもらうというのは必須ですよね。

 

住宅メーカーが宅地開発をおこなうときは、家を建てる側と、私道を所有している側が同じになるので、通行許可証が発行されないということはありません。

 

でも、住宅メーカーの目的は家を販売することです。

そして、もっと言えば、その私道の部分の土地も売ってしまうことが一般的です。

 

その私道を使う人たちの共有物として売ってしまうんですね。

家を買う人は、「家」と「私道の一部」を買うことになります。

 

そして、私道が共有物になるのであれば、通行許可証を発行するのに、共有者全員の許可が必要になってしまうんですね。

家の所有者が変わるたびに、私道の共有者全員の許可が必要になるわけです。

 

結構面倒なことになると思います。

 

その点、位置指定道路として認められていれば、通行許可証は必要ありません。

住宅メーカーによって宅地開発されるときには、位置指定道路が作られるのはそういった理由もあったりします。

 

まとめ

というわけで、「私道」と「位置指定道路」の違いについてお話しました。

 

位置指定道路というのは、公共の道路と同じ品質だと認められた私道です。

私道と位置指定道路は別々の何かというわけではなくて、私道の中の一部に位置指定道路として認められているものがあるという感じです。

 

ちなみに、位置指定道路は住宅メーカーが宅地開発をおこなう際に作られることが多いです。

 

大きな敷地を仕入れて、位置指定道路を作って、その道路を取り囲むようにして複数の戸建てを建てていきます。

位置指定道路ではなくて、私道のままだと「通行許可証」が必要になったりして面倒になるからですね。

 

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投稿者プロフィール

山河直純
山河直純住宅不動産研究家
一級建築士受験資格保有。建築家が設計した住宅、築40年以上のヴィンテージマンション、ハウスメーカーの住宅などなど、住宅全般をこよなく愛しています。特に狭小住宅好き。