農業振興地域に農家住宅を建てることは可能でしょうか?

市街化調整区域の中には、特に農業に特化させた場所である「農業振興地域」という地域があります。

 

農業振興地域は、市街化調整区域に比べて規制が厳しいということが言われますが、農業振興地域に農家住宅を建てるということはできるんでしょうか?

 

農家住宅を建てることは「可能」です

結論から言えば、農家住宅を建てることは可能です。

 

職場と住居は近いほうがいいですよね。

職場と住居が近いほうが幸福度が高いということがテレビでやっていましたが本当でしょうか?

 

でも、確かにそうかもしれません。

 

農家の場合だってそうですよね。

住む場所は、職場である農地に近いほうがいいのではないでしょうか?

 

そうなると、所有する農地の一部に農家住宅を建てることになるのですが、農業振興地域に指定されている場合には、一般の市街化調整区域よりも規制が厳しかったりします。

 

ですが、農業振興地域でも農家住宅を建てることは可能です。

 

ただし、「農用地区域」ではない必要があります

農業振興地域でも家を建てることは可能なのですが、「農用地区域」に指定されていない必要はあります。

 

農用地区域というのは市区町村によって決められた「農業に特化させていく区域」のことを言います。

規制がかなり厳しくて、農家であっても農家住宅を建てることができません。

 

家を建てるとなると、なんだかんだで産業廃棄物がでてしまいます。

家を建てるためにはコンクリートや木材、塗料、金属など色々と必要になります。

 

農業に特化させていくのであれば、できれば無いほうがいいですよね。

 

なので、農用地区域では農家が家を建てるということも規制されています。

 

「農業振興地域」と「農用地区域」は違う?

ここで、疑問に思う人もいるかもしれません。

農用地区域というのは農業振興地域とは違うものなんでしょうか?

 

同じもののようでいて、実は結構違います。

 

農業振興地域の中に農用地区域があります。

農用地区域は農業振興地域の一部ということですね。

 

そして、規制が厳しいのは農用地区域だけです。

 

これには理由があります。

農業振興地域というのは市区町村ではなくて、都道府県が指定します。

 

「このあたりの地域を農業に特化した地域にしていきましょう」という感じです。

しっかりと細かく決めているというわけではなくて、ザックリとした目安として決めているんです。

 

そして、都道府県が指定した農業振興地域をもとに、市区町村が農用地区域を決めるという流れです。

 

なので、実質的に農業に特化した場所として運用されるのは農用地区域だけなんです。

 

「白地」であれば農家住宅を建てられます

農業振興地域として指定されているけれども、農用地区域ではない場所は「白地」と呼ばれています。

ちなみに、農用地区域は「青地」と呼ばれます。

 

「青地+白地=農業振興地域」です。

 

白地の場合には農業振興地域に指定はされていますが、実際には一般の市街化調整区域と同じような扱いになります。

 

なので、白地の場合には農家でさえあれば農家住宅を建てることができるんです。

 

農家ではない一般人は、農業振興地域はもとより市街化調整区域であっても家を建てることは難しいですけどね。

 

農用地区域に指定されている場合には「農振除外」が必要です

白地であれば家を建てることができるのですが、所有している土地のすべてが農用地区域に指定されている場合はどうなるんでしょうか?

家を建てることはできないんでしょうか?

 

所有する土地が農用地区域に指定されている限り、家を建てることは難しいのですが、農用地区域から除外してもらうということはできます。

できるというか申請をだすことはできます。

 

必ずしも除外してもらえるわけではないので注意は必要ですけどね。

 

市区町村に「農振除外」の申請をします。

農振除外には農業委員会や都道府県の同意も必要になります。

 

ちなみに、農振除外というと、農業振興地域から除外されることなんじゃないかと思うんじゃないでしょうか?

実は、ちょっと違います。

 

ここでいう農振というのは市区町村の「農業振興地域整備計画」のことになるんです。

 

市区町村は農業振興地域整備計画をもとに農用地区域を指定します。

つまりは、農振除外というのは農用地区域から除外してもらうということを指すんですね。

 

紛らわしいですけどね。

 

農振除外によって農用地区域から除外してもらうことができれば、白地として家を建てることができるようになります。

 

まとめ

というわけで、農業振興地域に農家住宅を建てることはできるのかというお話をしました。

 

建てることは出来ます。

ただ、農用地区域として指定されている場合には、そのままでは家を建てることはできません。

 

もし、農用地区域として指定されている場合には「農振除外」をする必要があります。

 

農用地区域から除外してもらって白地にしてもらうということです。

白地というのは農業振興地域の農用地区域以外の地域のことです。

 

白地であれば市街化調整区域と同じような扱いになるので、農家であれば家を建てることができるようになります。

 

関連記事:「農業振興地域」と「農用地区域」にはどんな違いがあるんでしょうか?

関連記事:「青地」と「白地」にはどんな違いがあるんでしょうか?

関連記事:「農振除外」は農業振興地域から除外されること?

 

投稿者プロフィール

山河直純
山河直純住宅不動産研究家
一級建築士受験資格保有。建築家が設計した住宅、築40年以上のヴィンテージマンション、ハウスメーカーの住宅などなど、住宅全般をこよなく愛しています。特に狭小住宅好き。

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