旧既存宅地を購入して建て替えることは今でも可能でしょうか?

市街化調整区域ができる前(線引き前)から建っている家のことを「旧既存宅地」と呼んだりします。

 

旧既存宅地は、市街化調整区域にもかかわらず、2001年までは許可なく建物を建て替えることができました。

 

今では既存宅地制度は廃止されていますが、旧既存宅地を購入して建て替えるということは今でも可能なんでしょうか?

 

同じような家に建て替えるなら許可される可能性は高いです

結論から言えば、今建っている家と同じような構造と広さであれば、建て替えることができる可能性は高いです。

 

例えば、今建っている家が木造2階建てで延床面積100平米だとしたら、建て替えるときも木造2階建てで延床面積100平米ほどにします。

そうすると、建築許可が下りる可能性が高いです。

 

これが、コンクリート造で延床面積は100平米になるとかだと建て替えは難しくなります。

木造2階建てだけど延床面積は2倍の200平米というときにも建て替えは難しくなります。

 

今建っている家と同じような構造で、同じような延床面積ということが大事です。

 

2001年以前との違いは「許可」が必要になったということ

今でも建て替えられるのであれば、「2001年以前と何が違うのか?」と思うのではないでしょうか。

違いは「許可」が必要になったという点です。

 

市街化調整区域というのは、建物を建てたり建て替えるのに基本的に「許可」が必要になってきます。

開発許可や建築許可が必要になってくるんですね。

 

その許可が下りて初めて、建築確認申請をすることができます。

 

でも、市街化調整区域として指定される前から建っていた家の建て替えの場合には、例外的に許可不要にしましょうというのが既存宅地制度でした。

言ってみれば、市街化区域と同じような感覚で建て替えができたわけです。

 

でも、この制度を利用して宅地以外の建物が建てられるということが数多くおこりました。

市街化調整区域にそぐわない建物が合法的に市街化調整区域に建てられていったわけです。

 

既存宅地制度は用途変更をする場合も許可不要だったんです。

それが問題視されて、2001年に既存宅地制度は廃止されました。

 

そして、それ以降は既存宅地であっても許可が必要になったんですね。

 

市街化調整区域でも同じ用途としての建て替えなら許可されます

市街化調整区域というのは、基本的には建物を建てることはできない区域です。

建物を建てるには色々と条件があります。

 

例えば、農家でなければ家を建てられないとか、特定の立地でなければ家を建てられないなどですね。

 

そして、基本的には同じ用途として建て替えるのであれば許可されます。

農家が農家住宅を農家住宅として建て替えるのであれば許可されます。

 

特定の立地の場合にはちょっと注意が必要ですけどね。

 

市街化調整区域でもある程度建物が密集している地域であれば家の建築が許可されます。

駅の近くとか役所の近くとかですね。

 

でも、建て替えるときに駅が無くなっていた場合には、建て替えが許可されない可能性もあります。

 

一方、旧既存宅地の場合には、そういった条件というのがありません。

 

農家だったから家が建てられたわけでもないし、特定の立地だったから家が建てられたわけでもありません。

市街化調整区域に指定されたときにはすでに建っていたんです。

 

なので、誰が旧既存住宅を購入したとしても、同じような構造で同じような広さであれば建て替えが許可される可能性が高いんですね。

 

農家住宅を購入しての建て替えには注意が必要です

市街化調整区域では旧既存宅地の他に、農家住宅が売られていることもあります。

もし、農家住宅を購入して建て替えることを計画しているのであればちょっと注意が必要です。

 

さきほど、市街化調整区域でも同じ用途としての建て替えなら許可されると言いました。

実は、農家住宅というのは一般人が住む住居とは用途が違います。

 

農家住宅というのは農家が住むということが条件で建築を許可されます。

なので、一般人が農家住宅を購入する場合、建て替える時に問題が発生します。

 

建て替えるためには、住む人が農家である必要があるからです。

でなければ建て替えが許可されません。

 

なので、実際のところは農家住宅が一般人に売られるときには、用途を農家住宅から一般住宅に変更することが一般的です。

でも、用途変更されずに売られる農家住宅というのも少なくないので気をつけましょう。

 

再建築不可として農家住宅が売られている場合には、何らかの理由で用途変更ができない農家住宅ということです。

 

まとめ

というわけで、旧既存宅地を購入して建て替えることは今でもできるかというお話をしました。

 

今でも旧既存宅地を建て替えることは可能です。

ただし、2001年以前みたいに違う構造にしたり広さを変えたり用途まで変えてしまうということはできません。

 

同じ構造で同じような広さで建て替えるのであれば許可される可能性が高いです。

 

関連記事:市街化調整区域の場合、家を建て替えることも難しいんでしょうか?

関連記事:市街化調整区域の家や土地を購入することのデメリットとは?

関連記事:非線引き区域に家を建てるのは難しいでしょうか?

関連記事:「建築許可申請」と「建築確認申請」にはどんな違いがあるんでしょうか?

 

投稿者プロフィール

山河直純
山河直純住宅不動産研究家
一級建築士受験資格保有。建築家が設計した住宅、築40年以上のヴィンテージマンション、ハウスメーカーの住宅などなど、住宅全般をこよなく愛しています。特に狭小住宅好き。

家を高く売りたいなら知っておきたいこと

もし、あなたが家を高く売りたいと思っているのであれば、
これだけは知っておいたほうがいいかもしれません。