自分の家を安く子供に売るということはできるんでしょうか?
老後になると、相続が発生する前に、自分の家を安く子供に売ってしまいたいと考える人もいるのではないでしょうか?
子供に安く家を売ることができるのであれば、子供にかかる負担も少ないですし、なによりも相続税を回避することが可能になります。
実際のところ、自分の家を安く子供に売るということはできるんでしょうか?
相続税の代わりに「贈与税」がかかります
自分の家を安く子供に売るということ自体は可能です。
例えば、1億万円の家を1000万円で子供に売るということは可能です。
司法書士に頼めば不動産売買契約書も作ることができます。
子供に家を渡す方法としては「相続」が普通です。
でも、1億万円の家の場合には相続税が必ずかかることになります。
1000万円ほどの相続税がかかる可能性もあります。
遺産のほとんどが家という場合には、子供がその相続税を現金で支払えないという可能性があります。
そうなると、結局、家を売らなければいけません。
もし、そうなるのであれば、生きているうちに安く子供に家を売ってしまいたいと考えるのもムリありません。
「1億の家を子供に1000万円で売れるのであれば相続税も回避できるし一石二鳥なのでは?」という感じですね。
それを実行することは可能ですが、売買後に税務署がやってくる可能性がとても高いです。
贈与税を請求されることになります。
実勢価格との「差額」が贈与として扱われてしまいます
子供に安く家を売るということは可能です。
親子間での合意があれば問題ありません。
でも、税務署が黙ってはいないんですね。
実勢価格とあまりにもかけ離れた価格で家の売買がおこなわれる場合、その差額が贈与として扱われてしまうんですね。
例えば、1億円の家を1000万円で子供に売るのであれば、その差額は9000万円ですね。
その9000万円に対して贈与税がかかることになります。
贈与税って相続税よりも税率が厳しいです。
しかも、ほとんど控除というものがありません。
9000万円に対しての贈与税は税率55%で控除額は400万円です。
4550万円の贈与税を支払う必要があるということですね。
これなら素直に相続税を支払ったほうが全然マシというものです。
相続税の場合には基礎控除額が3600万円ありますし、相続人1人につき600万円が控除されます。
贈与として扱われないためにはいくらで売ればいい?
実勢価格との差額が贈与として扱われるとお話しました。
それでは、「実勢価格」というのは一体いくらぐらいなんでしょうか?
一定の価格が決まっているわけではありませんよね。
株価みたいに変動するものです。
欲しいと思う人が多ければ価格は上がっていくし、欲しい人が少なければ価格は下がっていきます。
1億円の家というのも、今の実勢価格ではいくらになるのかというのはわかりません。
実際に売りにだして売買が成立しないかぎり価格は確定しません。
不動産会社に査定をお願いすれば査定額をだしてくれますが、それは実勢価格ではありません。
あくまでも「これぐらいで売れるんじゃないでしょうか?」という提案です。
それでは、税務署はどうやって実勢価格を決めているんでしょうか?
贈与として扱われないためにはいくらで家を売ればいいんでしょうか?
路線価と同じぐらいなら大丈夫かも
結論から言えば、路線価と同じぐらいであれば贈与として扱われない可能性が高いです。
路線価というのは、相続税や固定資産税の計算をするときに使われるものです。
毎年7月に、その年の1月1日時点での路線価が発表されます。
路線価というのは実勢価格の統計をもとに、その約8割ほどに設定されます。
例えば、実勢価格が1億円の土地であれば、路線価は8000万円に設定されるということです。
土地と建物は違いますが、もし、あなたの家が子供に相続されることになるのであれば、実勢価格1億円であれば8000万円として評価されるということです。
なので、親子間で家の売買をおこなうときも、路線価並みの価格であれば贈与としては扱われない可能性が高いということですね。
実際、そういった裁判がおこなわれています。
実勢価格の約8割ほどまでなら贈与とはならないという判決になっています。
親子間売買の場合には住宅ローンが使えないことが多いです
どうしても相続前に子供に家を売りたいという場合、1億円の家であれば8000万円ほどで子供に売ることになります。
でも、8000万円の家を買える子供はそれほどいないのではないでしょうか?
普通のサラリーマンだとちょっと厳しいですよね。
年収1000万円でも厳しいです。
士業などで独立開業しているか、経営者にでもなっていないと難しいのではないでしょうか。
そして、もっといえば、親子間売買の場合には住宅ローンを使えないことが多いです。
理由はいろいろあると思いますが、でも、やはり、親子間で家の売買をおこなうのは不自然という認識があるのだと思います。
金融機関からしても「なんで相続ではいけないんだろう?何か面倒な理由があるのでは?」って思ってしまうと思います。
実際のところ、子供が住宅ローンを支払えなくなって、親が子供の家を買うとかそういう事例って結構あります。
その逆もまたしかりですね。
なので、親子間売買での住宅ローンの利用はかなり難しくなっています。
まあ、8000万円の場合には親子間というよりも、収入の問題で審査がおりないという可能性が高くなりますけどね。
まとめ
というわけで、自分の家を安く子供に売ることはできるのかというお話をしました。
できます。
ただし、相続税の代わりに贈与税が請求される可能性がとても高いです。
1億円の家を1000万円で子供に売ったのだとしたら、その差額の9000万円に対して贈与税がかかります。
税額4550万円です。
それだったら相続税を支払ったほうが全然マシというものです。
なので、どうしても子供に家を売りたいという場合には、贈与として扱われない額で売るということが大切になってきます。
実勢価格の約8割ほどに設定されている路線価を元に価格を決めるのであれば、贈与として扱われない可能性が高いです。
1億円の家なら8000万円で売れば贈与として扱われない可能性が高いということですね。
ただ、8000万円となると子供がそうそう買うことができないという問題はありますけどね。
親子間売買の場合には住宅ローンも使えないことが多くなっています。
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投稿者プロフィール
- 一級建築士受験資格保有。建築家が設計した住宅、築40年以上のヴィンテージマンション、ハウスメーカーの住宅などなど、住宅全般をこよなく愛しています。特に狭小住宅好き。
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