「質権」と「抵当権」は何が違うんでしょうか?
ごく稀になのですが、
土地や建物に「質権」というものが登記されていることがあります。
権利部の乙区にです。
乙区には「抵当権」が登記されることがほとんどです。
でも、「質権」を登記することもできるんですね。
一体、「質権」と「抵当権」というのは何が違うんでしょうか?
利息をとれるかどうか?
決定的な違いは、
「利息」をとれるかどうかです。
質権の場合、利息を請求することができません。
質権の場合には、
利息というものを請求することができません。
利息というのは言ってみれば金利です。
抵当権が登記されている場合、
登記事項証明書には、
金利も記載されることになります。
でも、質権の場合、
利息を請求することができないので、
金利の記載はありません。
住宅ローンでは抵当権が使われることがほとんど。
住宅ローンでは抵当権が使われることがほとんどです。
というよりも、
必ず抵当権が使われると言ったほうがいいでしょうか。
質権だと利息がとれませんからね。
利息は金融機関の大きな収入源です。
数千万円というお金を貸して、
35年かけて数百万円という利息を受け取ります。
それが、金融機関のビジネスモデルです。
質権だと、利息を受取ることができないので、
金融機関のビジネスモデルが成り立たなくなってしまいます。
質権が使われるのはどんな時?
じゃあ、
質権が使われるのはどんな時なんでしょうか?
店舗や工場で使われることがあります。
店舗や工場で質権が使われることがあります。
正確には、
質権が使われていたことがありましたと言うべきでしょうか。
今、質権を登記する人はほぼいないと思います。
でも、昔は、質権を登記することがあったんですね。
金融機関にお金を借りるんじゃなくて、
知人や同業者などにお金を借りる場合、
質権が登記されることがあったのではないかと思います。
質権の場合、不動産を乗っ取ることができます。
質権というのは、
利息を請求することができない代わりに、
その土地や建物を乗っ取ることができます。
専門用語的に言うと、
留置的効力を行使することができます。
所有権が移るというわけではないのですが、
まるで所有者のようにその土地や建物を利用することができるようになるんですね。
店舗や工場を使って、利益を上げることができます。
乗っ取って何をするのかというと、
所有者の代わりにビジネスをおこなうんです。
例えば、クリーニング店を営んでいたとします。
お金の返済が滞った場合には、
質権者は、そのクリーニング店を使ってビジネスをおこなえるようになります。
乗っ取ることができるんです。
そして、そこから得られる利益によって貸したお金を回収するんですね。
でも、運営の手間がかかるので質権が使われることはほとんどありません。
乗っ取ることはできるのですが、
結局のところ、
ビジネスをおこなわなければいけないのは自分です。
クリーニング店を営業するために、
技術者を雇わなければいけません。
場合によっては広告も打たなければいけません。
その他の諸経費もかかります。
質権による権利は、
ただ、
その土地と建物を自由に使えるというだけです。
貸したお金を回収するのは結局自分なので、
結構大変なんですね。
お金が返済されなかったということは、
クリーニング店の経営があまり上手くいかなかったということです。
その状態で、
自分が経営者になったからといって、
上手に利益を上げられるでしょうか?
難しいはずです。
そんなわけで、
今では質権というのはほとんどと言ってもいいほどに使われていないと思います。
おそらく、昔は同業者同士でお金の貸し借りがおこなわれる際に、
質権が設定されることがあったのではないかと思います。
それなら、運営するノウハウを持っていますからね。
土地と建物を自由に使えるメリットがあったのではないかと思います。
まとめ
というわけで、質権と抵当権はどう違うのかお話しました。
決定的な違いは利息です。
質権の場合には利息を請求することができません。
なので、
住宅ローンでは利息を請求することができる、
抵当権が使われることがほとんどです。
じゃあ、質権というのはどういう時に使われるんでしょうか?
店舗や工場で使われることがあります。
質権の場合、利息は請求できませんが、
土地や建物を自由に利用できる権利が得られます。
所有者の代わりに、
その土地と建物を使ってビジネスをしてもいい権利ですね。
そこから得られる利益を自分のものにできます。
でも、自分でビジネスをしなければいけないという手間があるので、
今は質権が使われることはほとんどないと思います。
関連記事:所有権と抵当権って、どっちの方が強いんでしょうか?
投稿者プロフィール
- 一級建築士受験資格保有。建築家が設計した住宅、築40年以上のヴィンテージマンション、ハウスメーカーの住宅などなど、住宅全般をこよなく愛しています。特に狭小住宅好き。
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