農地を仮登記で購入しても問題はないんでしょうか?

農地を購入しようとすると、条件付所有権移転仮登記になることがほとんどです。

 

農地の場合には売買をするのに農業委員会や都道府県知事などの許可が必要になるので条件付きになってしまうんですね。

許可が下りるまでは仮登記ということになります。

 

仮登記で農地を購入してしまっても問題はないんでしょうか?

 

気にするべきポイントは2点です

結論から言えば、住宅地として使うために、市街化区域内の農地を購入するのであれば問題ありません。

住宅街の中にあるような、ポツンと孤立した小さい農地の場合には問題ないということですね。

 

農地を売買するのには基本的には許可が必要なのですが、許可が不要になる例外というのもあります。

許可が不要ということは仮登記で購入しても問題なく本登記に移すことができるということでもあります。

 

農地の売買が難しいと言われているのは許可が下りないことがあるからです。

でも、許可が不要であれば農地の売買はもっと簡単になりますよね。

 

一体、許可が不要になる例外ってどんなものなんでしょうか?

気にするべきポイントは2点です。

 

何のために農地を購入しようとしているのか?

1つめのポイント。

何のために農地を購入しようとしているのかという点です。

 

農地を買う目的は人それぞれです。

農地ということは当然のことながら農地として使うのにものすごく適した土地です。

 

農業を始めたいという人が買うこともあるでしょう。

 

はたまた、家を建てるための土地を探していたら、たまたま気に入った土地が農地だったということもあるかもしれません。

事業を行っている人であれば、駐車場を作るために農地を購入したいという人もいるでしょう。

 

その他にも農地を買うには色々な目的というものがあります。

あなたの場合はどうでしょうか?

 

結論から言えば、農地「以外」として使うつもりであれば第1条件クリアです。

のちほどお話しますが、農地を農地として使うことを目的にしているのであれば要注意です。

 

その農地は市街化区域内にあるのか?それとも市街化調整区域内にあるのか?

2つめのポイント。

その農地が「どこに立地しているのか?」です。

 

具体的に言えば、「市街化区域内に立地しているのか?それとも市街化調整区域内にあるのかどうか?」です。

 

市街化区域内に立地しているなら第2条件クリアです。

 

市街化区域というのは、簡単に言えば、商業施設や住宅地などが密集しているor密集させたい区域のことです。

市街化調整区域というのは、ポツポツと住宅があったりするけれども、基本的には農地や山林として使われているor使っていきたい区域です。

 

基本的には、農地というのは市街化調整区域内にあることが多いです。

農地として使っていきたいのが市街化調整区域ですからね。

 

でも、市街化区域内にも農地があることがあります。

昔から住んでいる地主などが農地として所有していることが結構あります。

 

住宅街の中にポツンと農地があったりもしますよね。

東京都内でも世田谷区や杉並区にはそういった農地が結構あります。

 

許可を取る必要なく、農地の売買をおこないたいと思うなら、そういった「市街化区域」内の農地を選ぶ必要があります。

 

市街化区域内で宅地として転用するつもりなら問題はありません

最初にもお話しましたが、住宅地として使う目的で、市街化区域内の農地を購入するのであれば、農業委員会や都道府県知事などに許可をもらう必要はありません。

 

住宅地としてではなくても、農地でなければどんな目的であっても大丈夫です。

駐車場として使うのでも大丈夫です。

 

ただし、市街化区域内であることは絶対条件になります。

 

ただし、許可は必要ないのですが、農業委員会への届出は必要になります。

「いままで農地として使われていたこの土地を、宅地として使わせていただくことになりました」というお知らせです。

 

市街化区域内の農地であれば、農業委員会はこれを拒否することはできません。

 

市街化調整区域内の場合には要注意です

一方、市街化調整区域内の農地の場合には注意が必要です。

 

市街化調整区域内の農地の場合、どんな目的で農地を買うにしろ、必ず農業委員会か都道府県知事などの許可が必要になります。

 

ちなみに、どんな目的で農地を購入するのかによって許可のもらい先が変わってきます。

 

農地を農地として使うつもりであれば、農業委員会の許可が必要になります。

農地を農地以外として使うつもりであれば、都道府県知事などの許可が必要になります。

 

ただし、都道府県知事に許可をもらうにしても、申請書の提出先は農業委員会になります。

農業委員会のチェックの後に都道府県知事に渡されるという流れになっています。

 

許可が下りなくて仮登記を本登記に移せない可能性が結構あります

基本的に、市街化調整区域というのは住宅地として使われることは望まれていません。

むしろ、住宅地をどんどん少なくしていって農地や山林などの自然豊かな区域にしていくことが望まれています。

 

なので、市街化調整区域内の農地を購入して住宅地として使いたいと都道府県知事に申請したとしても、基本的には却下される可能性が高いです。

 

市街化調整区域内の農地って土地の値段も安いですし、自然豊かな場所であることも多いです。

そういった立地に家を建てたいという場合には、市街化調整区域内の農地はとても魅力的に映るかもしれません。

 

でも、住宅地として使うことの許可をもらうことはとても難しいんですね。

なにか特別な理由がない限り難しいです。

 

また、市街化調整区域内の農地を住宅地として使いたい場合には都道府県知事の許可が必要なのですが、農業委員会によって却下されることもあります。

 

というのも、許可の申請窓口は農業委員会になっています。

そして、農業委員会から都道府県知事に申請書が渡されることになっているのですが、農業委員会が「この申請書は都道府県知事に渡す必要もない」と判断することもあるんですね。

 

そして、申請は却下されます。

法律的には少しグレーゾーンだと思うのですが、実際のところ、そういった事例も起こっています。

 

農地を農地として使う許可をもらうのは結構ハードルが高いです

ちなみに、農地を農地として使うために買いたいという場合には、市街化調整区域にしろ、市街化区域内にしろ、農業委員会の許可が必要になってきます。

 

この許可をもらうのが結構大変です。

ハードルが高いです。

 

というのも、農地を農地として使うということの「本気度」が求められるからです。

 

「この人は農地を農地として使うために買いたいと言っているけれども、本気なのかな?ちゃんとやっていけるのかな?」ということですね。

 

農地を買ってもらうのはいいけれども、大変だからといって途中で農作放棄でもされたら困るわけです。

農地も荒れてしまいますし、当然のことながら農作物も採れません。

 

少なくとも5000平米の土地が必要です

農地を農地として使うことの条件はいくつかあるのですが、もっとも具体的なのは農地の広さなのではないでしょうか?

あまりにも小さい農地の場合、許可は下りないと考えたほうがいいです。

 

具体的に言えば、最低でも5000平米ぐらいの農地が必要になってきます。

 

5000平米と言われてもあまりピンとこないかもしれませんが、陸上の400メートルトラックが約10000平米なので、その内側半分ぐらいの面積になります。

サッカーコートは約7000平米なのでサッカーコートよりも少し小さめぐらいでしょうか。

 

そこそこ大きいですね。

少なくとも市街化区域内でそれぐらい広い農地はなかなかお目にかかることはできません。

 

なので、本気で農家をやりたいという場合には市街化調整区域内の農地を買うことになることが多いです。

 

ちなみに、農家としてやっていくつもりなのであれば、市街化調整区域内であっても家を建てることは可能です。

購入した農地のうち200平米までなら家を建てたり農業を営むのに必要なその他施設を建ててもOKなんですね。

 

まとめ

というわけで、農地を仮登記で購入しても大丈夫なのかというお話をしました。

 

住宅地として使うために市街化区域内の小さな農地を購入する分には仮登記でも問題ありません。

農業委員会への届出だけで特に許可をもらう必要がないからです。

 

ちなみに市街化区域内の農地であれば、住宅地以外として使う場合でも大丈夫です。

例えば、事務所とか駐車場でも大丈夫です。

 

農地として使うのでなければ大丈夫です。

 

でも、市街化調整区域内の農地を仮登記で購入しようとしているのであれば注意が必要です。

仮登記で購入したはいいけれども許可が下りないという可能性が結構あるからです。

 

どうしても、その農地を買いたいという場合には、事前に農業委員会などに相談したほうがいいと思います。

農家として農地を購入したいという場合にも、色々と条件があるので事前に農業委員会に相談したほうがいいかもしれません。

 

関連記事:相続した不動産に「請求権仮登記」がはいっていたらどうする?

関連記事:農地を宅地として使う(農地転用)には農業委員会の許可が必要?

 

投稿者プロフィール

山河直純
山河直純住宅不動産研究家
一級建築士受験資格保有。建築家が設計した住宅、築40年以上のヴィンテージマンション、ハウスメーカーの住宅などなど、住宅全般をこよなく愛しています。特に狭小住宅好き。

家を高く売りたいなら知っておきたいこと

もし、あなたが家を高く売りたいと思っているのであれば、
これだけは知っておいたほうがいいかもしれません。