既存住宅売買瑕疵保険、加入できないことが意外と多い?
既存住宅売買瑕疵保険(以下、瑕疵保険)というのは、
加入してから最長5年間、保証を受けられるものです。
瑕疵保険に加入している住宅を購入すると、
耐震性能を満たさなかったり、雨漏りしたときに保証金をもらえます。
買主にとってメリットがあると高く売れる可能性があるため、
加入を検討している売主もいるのではないでしょうか?
でも、中古住宅の場合、
加入できないことが意外と多いと言われたりします。
本当なんでしょうか?
意外と多いです。
意外と多いんです。
瑕疵保険は主に、
構造部と雨漏りに対して保証するものです。
なので、瑕疵保険に加入するための検査の時には、
当然のことながらそこらへんがよくチェックされます。
この中で、
構造部のチェックに通らない中古住宅というのは結構多いんですね。
新耐震基準だからといって加入できるとは限らない。
1981年以前に建てられた旧耐震基準の住宅であれば、
加入することはほとんどムリだと考えてもいいと思います。
でも、1981年以降に建てられた新耐震基準の住宅でも、
検査に通らないことがあるんですね。
構造部をチェックするのは、
耐震性をチェックするためです。
床下の土台、壁の量、壁の配置バランス、天井裏などをチェックします。
瑕疵保険に加入するための検査ではありませんが、
耐震性能をチェックするための検査として、
耐震診断があります。
この耐震診断。
新耐震基準の住宅であっても、
約8割ほどの住宅で問題有りと診断されるようです。
もっと具体的に言えば、
約8割ほどの住宅は、
震度7の地震がおこったら倒壊の可能性があるということなんです。
新耐震基準であってもです。
外部リンク:木造戸建て住宅の89%が耐震性を満たさず|不動産ジャパン
築20年以上だと経年劣化も進んでいます。
今が2019年。
新耐震基準は1981年以降ですから、
築37年とかでもギリギリ新耐震基準になりますね。
築37年だと、新築時は耐震基準を満たしていたとしても、
経年劣化によって耐震力も落ちているであろうことは容易に想像できます。
築37年までいかずとも、
築20年以上経った住宅の場合、
新築時に比べて耐震性能は落ちていそうです。
そんなこともあり、
新耐震基準であっても、
瑕疵保険に加入できないことが意外とあるんですね。
買主に、住宅ローン減税のために加入して欲しいと言われたら?
ちなみに、
買主に「瑕疵保険に加入して欲しい」と言われることもあるかもしれません。
特に、
築20年以上の中古住宅の場合、
普通の中古住宅だと、
住宅ローン減税を利用することができません。
住宅ローン減税というのは、
ローン残債の1%が毎年10年間にわたり還ってくる制度です。
中古住宅の場合、
最大200万円が還ってくる可能性があります。
大きいですよね。
築20年以上の中古住宅であっても、
瑕疵保険に加入しているのであれば、
住宅ローン減税が利用できるようになります。
なので、売主に対して瑕疵保険の加入を要求してくる買主もいます。
耐震基準適合証明書でも住宅ローン減税は使えます。
そういう場合には、
「耐震基準適合証明書」の存在を買主に教えてあげるのがいいです。
というのも、耐震基準適合証明書でも住宅ローン減税は使えるようになるからです。
必ずしも瑕疵保険に加入していなければいけないというわけじゃないんですね。
買主が耐震基準適合証明書を取得するということも可能です。
そして、
耐震基準適合証明書の場合、
買主側で取得するということが可能です。
瑕疵保険の場合には、売主しか加入できません。
でも、耐震基準適合証明書の場合、
2014年から買主側でも取得することが可能になりました。
中古住宅を購入後に耐震改修をおこなうことによって、
耐震基準適合証明書が取得できるようになったんですね。
それで、住宅ローン減税も利用できるようになります。
まとめ
というわけで、
瑕疵保険に加入できないことは意外と多いのかというお話をしました。
意外と多いです。
旧耐震基準の場合はほとんどムリですし、
新耐震基準でも検査に通らないことが結構あります。
でも、築20年以上の戸建ての場合、
住宅ローン減税を利用したい買主から、
瑕疵保険への加入を要求されることがあります。
そんな場合には、耐震基準適合証明書の存在を教えてあげましょう。
耐震基準適合証明書でも住宅ローン減税が利用できますし、
買主側での取得も可能です。
関連記事:耐震基準適合証明書は「買主」と「売主」のどちらが申請するもの?
投稿者プロフィール
- 一級建築士受験資格保有。建築家が設計した住宅、築40年以上のヴィンテージマンション、ハウスメーカーの住宅などなど、住宅全般をこよなく愛しています。特に狭小住宅好き。
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