土地や不動産を相続するとき、そこに、抵当権が設定されていることがあります。
抵当権が設定されているということは家を担保にお金を借りていたということです。
そんな土地や不動産を相続するときはどうすればいいんでしょうか?
まずは負債が完済されていないか確認しましょう
まず最初にやるべきこと。
それは負債が完済されていないかを確認することです。
不動産登記簿の権利部の乙区を確認すれば抵当権が設定されているかどうかを確認することはできます。
ですが、負債が完済されているかどうかはそれだけでは確認することができません。
必ず抵当権者(金融機関)に問い合わせて負債が残っているのか完済されているのかを確認しましょう。
実際のところ、完済されていることの方が多いのではないかと思います。
住宅ローンを完済したのに抵当権抹消されていないことは多いです
住宅ローンは完済しても自動的には抵当権抹消登記はされません。
住宅ローンを完済すると抵当権者である金融機関から「確かにローンはすべて返済してもらいました」ということを証明する書類一式が送られてきます。
金融機関が抵当権抹消登記をやってくれるわけではありません。
書類だけは用意するから抹消登記はそちらでお願いしますというスタンスなんです。
で、実際のところ抵当権抹消登記をおこなわなくても当面は何も問題が起こりません。
住宅ローンは完済しているので抵当権を行使されることもありませんしね。
なので、抵当権抹消登記をおこなわずにそのままという人も少なくありません。
で、相続のときになって抵当権が抹消されていないことが発覚するんですね。
団信のおかげで債務があなたに相続されることはごく稀です
住宅ローンが完済されていない場合はどうなんでしょうか?
住宅ローンの返済中に亡くなった場合です。
そういった場合、亡くなった人が残した住宅ローンは相続人であるあなたが引き継がなくてはいけないんでしょうか?
これはイエスともノーとも言えます。
亡くなった人が団信(団体信用生命保険)に加入していたかどうかで決まります。
団信に加入している場合、死亡したら住宅ローンが残っている場合でも全額がチャラになります。
保険金で全額が支払われることになっています。
なので、抵当権が設定されていて住宅ローンが残っていたとしても、あなたがその住宅ローンを引き継がなくてはならないということはありません。
大手銀行やフラット35などは団信への加入が強く勧められているのであなたが住宅ローンを引き継ぐ可能性というのはごく稀です。
ただし、もし仮に亡くなった人が団信に加入していない場合は、住宅ローンの支払いは相続人であるあなたに引き継がれます。
2つ以上の抵当権がついていたら要注意です
不動産登記簿をチェックしてみたら2つ以上の抵当権がついていたという場合には要注意です。
住宅ローン以外にもお金を借りている可能性があるということになります。
法律上は抵当権というのはいくつでもつけることができます。
ひとつの不動産に対して100の抵当権があってもいいわけですね。
実際のところ100もの抵当権がつくということはないですけどね。
ついても2つか3つです。
というのも、抵当権には優先順位というものがあるからです。
家を競売にかけて得られたお金は抵当権の優先順位の通りに支払われます。
優先順位1位のA社から1000万円、優先順位2位のB社から500万円を借りていて、2つの抵当権がついているとします。
競売で1200万円で家が売れた場合にはA社に1000万円が支払われて、B社には残りの200万円が支払われます。
B社は300万円分を回収できなくなります。
優先順位が低くなるほどに資金回収できる可能性が低くなっていきます。
そんなわけで抵当権は1つだけついていることが多いのですが、住宅ローンを完済している場合には抵当権の優先順位が2位になることになっても抵当権が設定されることがあります。
だって、住宅ローンを完済しているのであれば実質は優先順位1位とも言えますから。
そんなわけで、2つ以上の抵当権がついている場合には気をつけましょう。
住宅ローン完済後にお金を借りた可能性が高いです。
まだ、そちらの負債はすべて返済できていないかもしれません。
その抵当権がついた不動産を相続するということはその債務もあなたが相続するということになります。
根抵当権の場合も要注意です
抵当権ではなくて根抵当権が設定されている場合も要注意です。
もし、亡くなった人がビジネスをやられていた場合、不動産に根抵当権が設定されている可能性があります。
根抵当権というのは、1回の契約で限度額まではいくらでもお金の貸し借りができるというものです。
根抵当権を設定しておけばお金が必要になったときに自由にお金を借りることができるということですね。
この根抵当権というのは普通の抵当権とかなり毛色が違います。
もし、相続する土地や不動産に根抵当権が付いている場合には早めに司法書士に相談しておきましょう。
負債が残っていたとしても相続税は減額されません
土地や不動産を相続するということは、相続税も支払う必要があるということです。
もし、その土地や不動産に抵当権がついていて負債が残っているのであれば、課税額からその負債分を控除してもよさそうなものです。
でも、控除されないんですね。
つまりは負債が残っていたとしても相続税は減額されないということです。
不動産の課税額が5000万円で、負債の額が5000万円だったとしても、相続税を支払う必要があるということです。
負債があまりにも多い場合には相続放棄という選択肢もあります
もし、抵当権で設定されている負債の額があまりにも多いという場合には相続放棄という選択肢もあります。
遺産のすべてを合わせた額よりも負債の方が大きい場合とかですね。
さきほどもお話しましたが負債の方が大きかったとしてもその不動産に対する相続税は支払わなければなりません。
相続税を支払わなければならない上に負債を負うということです。
そんなのはできれば放棄したいですよね。
ただし、相続放棄するときはひとつ注意点があります。
あなたが相続放棄すると、その相続権は次の相続権者に移行するということです。
親戚家族にその相続権が移行する可能性もあります。
そこらへんは注意しておきましょう。
相続登記と抵当権抹消登記は同時に申請することができます
抵当権が設定されている土地や不動産の相続には注意するべきこともあります。
ただ、ほとんどの場合には住宅ローンの抵当権の抹消し忘れということが多いと思います。
そんな場合には、抵当権が付いているからといってあまり気にする必要はありません。
相続登記する前に抵当権の存在に気がついたのであれば、相続登記と同時に抵当権抹消登記をおこなうこともできますし、相続登記をおこなってからでも抵当権抹消登記をおこなうことはできます。
実際のところは住宅ローンは完済しているんですから。
まとめ
というわけで抵当権が設定されている土地や不動産を相続する場合にはどうするのかというお話をしました。
ほとんどの場合には住宅ローンを完済したのに抵当権を抹消していないだけということが多いです。
相続登記のときに同時に抵当権抹消登記もおこなうことができますので問題ありません。
ただ、2つ以上の抵当権が付いている場合には少し注意が必要です。
もしかしたら返済するべき負債が残っている可能性があります。
あまりにも負債が多い場合には相続放棄を考える必要もあります。
また、根抵当権が設定されている場合も要注意です。
多額の負債が残っていたり根抵当権が設定されている場合には、早めに弁護士や司法書士に相談することをオススメします。
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投稿者プロフィール
- 一級建築士受験資格保有。建築家が設計した住宅、築40年以上のヴィンテージマンション、ハウスメーカーの住宅などなど、住宅全般をこよなく愛しています。特に狭小住宅好き。
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