「相続登記」と「所有権移転登記」ってどんな違いがあるんでしょうか?どちらも所有権が移ることには変わりはないようですが、何か違いというのはあるんでしょうか?
別物じゃありません。
相続登記と所有権移転登記というのは、別物じゃありません。相続登記というのは、所有権移転登記の中のひとつの種類みたいなものです。
所有権移転する原因が相続の場合、相続登記と呼ばれます。
不動産を登記する時には、登記原因というものが必要になります。
「一体、何が原因でこの登記をおこなうのですか?」というものです。「原因」という言葉はなんだかとっつきにくいですよね。簡単に言えば、「登記をする理由は何なの?」ということです。
所有権移転登記というのは、一般的には売買によっておこなわれることが多いです。中古住宅を購入したときには、所有権移転登記をおこなうことになります。でなければ、その家が自分のものだということを主張することができなくなってしまいます。売買によっておこなわれる所有権移転登記は、「売買」が原因となる移転登記になります。
一方、相続の場合には、売買のようにお金のやりとりはおこなわれませんよね。ただ、所有権が移転するだけです。そういう場合には、「相続」が原因となる移転登記になります。登記簿にも、登記原因として「相続」と記載されることになります。
相続登記にも3つのパターンがあります。
ちなみに、登記簿には記載はされませんが、相続登記にも3つのパターンがあります。
遺言書による相続登記。
ひとつめは、遺言書による相続登記です。例えば、遺言書に、「特定の誰かに不動産を相続させる」と記載されていた場合、その遺言書をもって、法務局に所有権移転登記に行くことになります。遺言書が原因となる、相続登記になります。
法定相続による相続登記。
ふたつめは、法定相続による相続登記です。特に、遺言書などが用意されていなかった場合、法律で決められた分配方法によって、不動産も相続されることになります。配偶者は1/2を相続し、子どもが2人いるのであれば、それぞれ1/4ずつ相続します。これは、法律によって予め決められていることです。この決まりに従って所有権移転登記をおこなうことを、法定相続による相続登記といいます。
ただ、不動産というのは分割できませんよね。なので、不動産を共有持分として所有することになります。これは、後々、不動産を売却することになったときなどに、問題になることもあります。ひとりは「売りたい」と思っても、もうひとりが「売りたくない」と言えば、売れなくなるからです。
遺産分割協議書による相続登記。
みっつめ。そういったトラブルを避けるために、遺言書がなくとも、特定のだれか1人に不動産を相続させるということが一般的です。相続人同士で話し合って、特定の1人に不動産を相続させます。その話し合いの証拠として、「遺産分割協議書」という書類が作られます。
法務局に所有権移転登記に行くときには、この遺産分割協議書を持っていきます。その場合、遺産分割協議書が登記原因となる相続登記となります。
【関連記事】相続登記には「遺産分割協議書」が必要になるんでしょうか?
まとめ
というわけで、相続登記と所有権移転登記の違いについてお話しました。
相続登記というのは、所有権移転登記の中のひとつの種類です。売買が原因となる所有権移転登記ではなく、相続が原因となる所有権移転登記だということです。登記簿を確認してみると、所有権移転の登記原因が「相続」になっているものを相続登記と呼びます。
また、登記簿には記載されませんが、相続登記にも3つのパターンがあります。遺言書によるもの、法定相続によるもの、遺産分割協議書によるものの3つです。
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- 一級建築士受験資格保有。建築家が設計した住宅、築40年以上のヴィンテージマンション、ハウスメーカーの住宅などなど、住宅全般をこよなく愛しています。特に狭小住宅好き。
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