市街化調整区域に家を建てるというのは難しいです。
基本的には農業や林業に従事している人でなければ家を建てるということはできません。
でも、すでに建っている中古住宅を購入するということはできます。
市街化調整区域の場合には、購入した中古住宅を建て替えるということも難しいんでしょうか?
その中古住宅の建築は「どうやって」許可されたのか?
市街化調整区域でも中古住宅が売られていることがあります。
すでに建っている建物の場合にはあまり疑問に思わないかもしれませんが、その中古住宅が建てられるのにも許可が必要だったはずです。
市街化調整区域の中古住宅を購入して、建て替えを検討したいという場合には、その中古住宅が「どうやって」建築許可されたのかということを考えることが大切になってきます。
「その人(農家など)だから」こそ建てられたという場合には要注意です
市街化調整区域は基本的には農業や林業のための区域です。
農業や林業に従事する人であれば、家を建てることが認められています。
農家の人が建てる家のことを農家住宅と呼んだりしますが、農家住宅というのは「農家だから」こそ建てられる家ということです。
農家ではない一般人では建築が許可されません。
こういった、「その人だから」建てられる家のことを、「属人性」のある建物と言ったりします。
市街化調整区域の場合には、属人性のある建物というのが結構多いんです。
農家だってそうですし、その土地に20年以上住んでいる人の親族だからこそ建築が許可される家というのもあります。
購入した中古住宅がそういった「属人性」のある建物だった場合にはちょっと注意が必要です。
建て替えのときも「同じ条件」が要求されます
属人性のある建物の場合、基本的には建て替えのときにも同じ条件が要求されます。
農家住宅の場合には、建て替える人も農家である必要があります。
親族であることが条件で建った家であれば、建て替えるときも親族であることが条件になるということですね。
もし、購入した中古住宅が農家住宅だった場合、建て替えるためには、あなたが農家である必要があります。
その人でなくても良いように「用途変更」してもらうことが大切です
建て替えたいと思ったときに、「農家じゃなければ建て替えできません」とか言われたら困ってしまいますよね。
なので、農家住宅を一般人に売る場合には、農家住宅から一般住宅へと用途変更をする必要があります。
農家じゃなければ住めない家から、誰でも住むことができる家に用途変更をする必要があるということですね。
そうすれば、農家住宅を購入した人が一般人であっても、家を建て替えることが可能になります。
一般住宅を一般人が一般住宅として建て替えることになるからです。
市街化調整区域の建て替えで問題になるのは、建て替えると用途が変わるという時なんです。
例えば、農家住宅を一般人が一般住宅に建て替えることはできません。
ちなみに、用途変更をおこなえるのは売主だけです。
そして、売主が農家住宅を一般住宅に用途変更するのには条件があります。
少なくとも10年以上は実際に住んでいるという事実が必要になります。
そして、なんらかの理由でどうしても農家住宅を売らなければいけないという時だけ許可されます。
でも、かなりグレーゾーンですが、用途変更されないまま農家住宅が一般人に売られるということは多いです。
用途変更をおこなわなくても、不動産売買契約をおこなうことはできるし、所有権移転することもできるからです。
農家であることが条件の家に一般人が住むことになるので、都市計画法的には違法なのですが、なかなかそのことは表面化しません。
もし、購入した中古住宅が用途変更されていない農家住宅の場合には要注意です。
「立地」によって許可されている場合には建て替えることが可能かも
市街化調整区域では属人性のある建物が多いですが、「立地」によって建築が許可されているものもあります。
市街化調整区域であっても、一部、建物が密集している場所もあったりします。
駅とかバス停とか役所とか高速のインターチェンジだったり、アクセスの拠点となるような場所は市街化調整区域であっても建物が密集します。
そういった場所であれば家の建築も許可されやすいです。
家の建築が許可された理由が「立地」の場合には、建て替えるときも「立地」が条件になることになります。
家を建て替えるときには20〜30年経つことになるので、立地条件も大きく変わっている可能性はありますが、属人性のある建物に比べれば、建て替えが許可される可能性は高いと言えます。
「市街化調整区域ができる前」から建っている場合も建て替えることが可能かも
ちなみに、市街化調整区域であっても、許可なく建てられた家というのも存在します。
市街化調整区域に指定される前から建っている家です。
だいたい、1970年以前に建てられた家がそうです。
今が2018年なので、築50年近い家がそうですね。
そういった家のことを「旧既存宅地」と呼んだりします。
旧既存宅地の場合には、2001年までは許可なく家の建て替えをおこなうことができました。
2001年以降は許可が必要になったのですが、今でも旧既存宅地であれば許可されることが多いです。
購入した中古住宅が旧既存宅地であれば、建て替えも許可される可能性があります。
まとめ
というわけで、市街化調整区域の場合は家の建て替えも難しいのかというお話をしました。
基本的には、家を建てる時と同じです。
家を建てるときの条件を満たすことができないのであれば、建て替えをおこなうのも難しいと言えます。
市街化調整区域の場合には、農家住宅などの属人性のある建物が多いです。
そういった属人性のある建物を用途変更せずに購入してしまった場合には、一般人は家を建て替えることができません。
一般的には属人性のある建物は、売却する前に、誰でも住めるように一般住宅へと用途変更します。
でも、用途変更されずに売却されるということも少なくありません。
用途変更するのにも色々と条件があるからです。
グレーゾーンですが、用途変更されないままでも売買することができるし所有権移転もできるし、実際に住むということができるからです。
でも、建て替えはできないので気をつけましょう。
属人性のある建物ではなくて、立地によって許可されている建物の場合や、市街化調整区域に指定される前である1970年以前から建っている建物の場合には建て替えも許可されやすいと言えます。
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投稿者プロフィール
- 一級建築士受験資格保有。建築家が設計した住宅、築40年以上のヴィンテージマンション、ハウスメーカーの住宅などなど、住宅全般をこよなく愛しています。特に狭小住宅好き。
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