個人でも家の査定をおこなうことができる「不動産査定ソフト」というものがあります。
不動産会社に査定をお願いする前に、自分でも査定ソフトを使って相場を知っておきたいと思うかもしれません。
でも、その必要はないと思います。
結局「勘」が必要です
不動産査定ソフトを使えば「適切な査定額がポンッとでてくるのではないか?」そう思うかもしれません。
でも、実はそうはなりません。
結局のところ「勘」が必要になってきます。
なんで「勘」が必要になってくるんでしょうか?
不動産会社も不動産査定ソフトを使っています
不動産査定ソフトはエクセルを使った無料のものから、クラウドを利用した有料のものまでいくつかあります。
実のところ、不動産会社も不動産査定ソフトを使っているんですね。
特によく使われているのは不動産流通推進センターの「価格査定マニュアル」なんじゃないでしょうか。
年額3000円ほどで利用することができます。
中小の不動産会社で使われることが多いのではないかと思います。
ちなみに、個人でも使えます。
不動産会社は家の査定の依頼を受けると、この査定ソフトに家のデータを入力していきます。
立地や構造や築年数などですね。
ひと通りデータを入力すると、過去の取引事例などと比較して査定額をだしてくれます。
「この査定額ちょっとおかしいんじゃない?」という場合
査定ソフトを使えば査定額がでてきます。
でも「この査定額はちょっとおかしくない?」という場合はどうするんでしょうか?
「なんだか明らかにこの価格じゃあ売れなそうだなあ(高すぎる)」とか「もうちょっと高く売れると思うんだけどなあ」とかですね。
「流通性比率」で査定額を調整します
不動産会社の人は、常日頃からいろいろな不動産に接しています。
その人なりの相場観というものが出来上がっているんですね。
査定ソフトによる査定額が、その相場観とズレていた場合、「流通性比率」をイジることによって査定額を調節するということをおこないます。
例えば、査定額が5000万円だったとします。
でも「いやいや、たぶんもうちょっと高く売れるよ」と思ったなら、流動性比率を「1.10」などに変更します。
そうすると、査定額は5500万円になります。
この、流動性比率というのは不動産査定ソフトが計算してくれるものではありません。
デフォルトでは「1.00」になっています。
その数字を、不動産会社の人がイジることによって査定額を調節します。
「ちょっと売るのに苦戦しそうだなあ」という場合には流動性比率を「0.85」とかに変更する場合もあります。
先程の例で言えば、5000万円の査定額を4250万円に調節することになります。
大事なのは勘の「根拠」です
不動産査定ソフトを使ったとしても、最後には自分で流通性比率を調節する必要があります。
つまりは「勘」が必要になってきます。
もし、あなたが自分で不動産査定ソフトを使ったとしたらどうでしょうか?
査定ソフトがだしてくる査定額に対して、そういった「勘」が働くでしょうか?
なかなか難しいのではないかと思います。
常日頃から不動産の相場をチェックしている人であれば、もしかしたらそういった「勘」が働くかもしれません。
でも、そうではない人のほうが多いのではないかなと思います。
そして、大事なのは勘の「根拠」です。
「なんとなくそう思う」というのが勘です。
でも、その根拠をきちんと明確にできるのであれば、その勘は当たっている可能性が高くなります。
なので、不動産会社から査定書を受け取ったときには、流通性比率を調節した根拠を聞いてみるといいかもしれません。
不動産査定ソフトでは勘の根拠は鍛えられません
不動産の相場観というのは、不動産査定ソフトを使うだけではなかなか鍛えられません。
長い年月をかけて不動産価格の変化を観察してやっと身につくものだと思います。
人口の増減とか、金利の変化や、景気によっても相場は変わってきます。
不動産査定ソフトはそこらへんの変化は考慮にいれられていません。
あくまでも、過去のデータから価格を予測するだけです。
なので、家を売りたいという場合には、自分で不動産査定ソフトを使うという必要はないと思います。
言ってみれば、査定ソフトだけでは足りないということですね。
家を売るとなると、結局のところ不動産会社に仲介手数料を支払う必要があります。
であれば、十分に不動産会社を活用するのがいいと思います。
査定をお願いするだけならタダですしね。
まとめ
というわけで、不動産査定ソフトを使う必要がない理由についてお話しました。
不動産査定ソフトを使うにしても、結局のところは「勘」が必要になってきます。
そして、不動産会社の人も家の査定には不動産査定ソフトを使っていることが多いです。
不動産会社の人は、査定ソフトでだされた査定額に対して、ちょっとした調整を加えます。
査定額が高すぎると思えば、ちょっと低くなるように査定ソフトのパラメーターをいじります。
家の査定で大事なのは、この「勘」なんです。
一般の人がこの勘を持ち合わせていることは考えにくいです。
常日頃から多くの不動産と接しているからこそ身につく「勘」ということです。
不動産査定ソフトを使っても、結局のところは「勘」が必要になってきます。
それであれば、最初から不動産会社に査定をお願いしたほうがいいのではないかなと思います。
そして、勘の根拠について納得いくまで聞いてみるのがいいと思います。
関連記事:家の売却価格の相場を自分で調べるにはどうすればいい?
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投稿者プロフィール
- 一級建築士受験資格保有。建築家が設計した住宅、築40年以上のヴィンテージマンション、ハウスメーカーの住宅などなど、住宅全般をこよなく愛しています。特に狭小住宅好き。
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