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木造住宅を準耐火建築物として建てることはできるんでしょうか?

防火地域や準防火地域で家を建てようと思うと、準耐火建築物として建てなければいけないときがあります。

準耐火建築物というのは、火事になっても45分間は燃えずに崩れ落ちないでいられる建築物です。

 

木造住宅を準耐火建築物として建てるということはできるんでしょうか?

 

木造住宅でも準耐火建築物にできます

結論から言えば、木造住宅でも準耐火建築物にすることができます。

 

準耐火建築物や耐火建築物は、コンクリートで作られることが多いです。

コンクリートというのは石でできているので、基本的に燃えません。

 

コンクリートの中の鉄筋が炎によって溶かされてしまうと、建物が崩れることもありますが、コンクリートそのものは燃えない素材です。

なので、準耐火建築物にはもってこいの素材なんですね。

 

でも、住宅として作るのであれば、「コンクリートよりも木造のほうがいい!」という人も少なくないはずです。

 

木材というのは、火にさらされるとわりと早く燃え始めます。

よく乾いた品質の良い木材ほどに燃えやすくなります。

 

でも、木材を使って準耐火建築物を建てることは可能です。

 

ただし、無垢材は使えません

木材を使って準耐火建築物を建てることは可能なのですが、無垢材を使うということはできません。

 

無垢材というのは、天然の木材で、なにも加工を加えていないもののことを言います。

江戸時代にはすべての住宅が無垢材を使った木造で、しかも、家と家が繋がって建てられていました。

 

長屋ですね。

 

なので、どこかから火がでると、またたく間に、隣の家へと火が燃え広がっていってしまいました。

江戸時代は約300年続きましたが、その間に1798回もの火事が発生したそうです。

 

2ヶ月に1回は起きていた計算ですね。

 

なので、江戸では火消制度というものがあり、その構成員は1万人を超えていたこともあるそうです。

無垢材を使った住宅と、火事は切っても切れない関係にあるということですね。

 

まあ、長屋という構造も大きく影響していますが。

 

とはいえ、木造住宅を建てるのであれば、無垢材を使いたいという人は少なくないと思います。

 

でも、残念ながら準耐火建築物として家を建てたいのであれば、無垢材を使うということはできません。

ただし、のちほどお話しますが、無垢材を絶対に使ってはいけないというわけではありません。

 

無垢材のような見た目をした不燃材も使えません

無垢材は燃えやすいです。

でも、燃えにくく加工した木材もあります。

 

無垢材をものすごく乾燥させて、含水率を低くします。

10%とかそのぐらいですね。

 

そして、カラカラに乾燥した木材に、ホウ酸塩などの薬剤を染み込ませます。

そうすると、火にさらされても燃えにくい木材にすることができます。

 

火にさらされるとホウ酸塩が反応して、木の表面に薄いガラスの膜が張られるんです。

その結果、木材は燃えにくくなります。

 

建築材は、その燃えにくさによってグレードが分かれています。

 

5分間は燃えない材料は難燃材。

10分間は燃えない材料は準不燃材。

20分間は燃えない材料は不燃材。

30分間は燃えない材料は防火材。

45分間以上は燃えない材料は耐火材。

 

無垢材を燃えにくいように加工すると、20分は燃えない材料である不燃材にすることはできます。

でも、準耐火建築物の場合、不燃材でも性能が足りなくて使うことができません。

 

使えるのは耐火材としてつくられた集成材のみ

準耐火建築物で使える木材というのは、耐火材として作られた集成材のみになります。

 

集成材というのは、細かい木材を接着剤などで硬めた木材のことをいいます。

無垢材よりも強度を一定にしやすいということもあって、構造材などに使われることが多いです。

 

当然のことながら、準耐火建築物にもよく使われます。

 

「構造材に集成材を使わなければいけないぐらいなら別に構わないよ」という人もいると思います。

でも、準耐火建築物の場合、集成材を使わなければいけないのは構造材だけではありません。

 

外壁にも45分間燃えない材料を使わなければいけません。

外壁にも木材を使いたいという場合には、集成材を使うことになります。

 

耐火材の上に、装飾として無垢材を使うことはできます

木造住宅を準耐火建築物として建てたいなら、必ず、集成材を使う必要はあります。

ただ、無垢材を絶対使えないというわけではないんです。

 

準耐火建築物としての基準を満たすための材料としては使えませんが、「装飾材」として使うということはできます。

簡単に言えば、集成材で建てた家の表面に、無垢材を貼り付けることはできるということです。

 

壁が2重になってしまいますし、無垢材を使うことによる効果というのはかなり薄れます。

湿気を調節してくれるとか、有害物質が空気中に放出されないとかですね。

 

でも、見た目を無垢材にするということは可能です。

 

どうしても、無垢材を使った感じで準耐火建築物を建てたいという場合には検討してみるといいと思います。

ちなみに、これは準耐火建築物に限らずに、耐火建築物でも、防火構造の場合でも同じです。

 

防火の基準を満たしているのであれば、その上に、装飾材として無垢材を使うということはできます。

 

まとめ

というわけで、木造住宅を準耐火建築物として建てることはできるのかというお話をしました。

 

可能です。

ただし、無垢材を使って建てるということはできません。

 

無垢材のような見た目をした、20分間は燃えないように加工した不燃材であってもだめです。

45分間は燃えないように加工した集成材を使う必要があります。

 

ただし、準耐火建築物としての基準を満たした上で、装飾材として無垢材を使うということはできます。

 

関連記事:準防火地域で無垢材を使った木造住宅を建てることはできる?

関連記事:「省令準耐火」と「準耐火」ってどんな違いがあるんでしょうか?

 

投稿者プロフィール

山河直純住宅不動産研究家
一級建築士受験資格保有。建築家が設計した住宅、築40年以上のヴィンテージマンション、ハウスメーカーの住宅などなど、住宅全般をこよなく愛しています。特に狭小住宅好き。

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