ハウール

住宅ローンを完済したのに抵当権抹消登記を行っていない場合どうなる?

住宅ローンを完済すると、金融機関から弁済証書or解除証書が含まれた抵当権抹消のための書類一式が送られてきます。

 

金融機関のほうで抵当権抹消手続きをしてくれるということはありません。

こちらで抵当権抹消登記をしなければいけません。

 

でも、抵当権抹消登記をするのは面倒くさいですよね。

一体、抵当権抹消手続きをしない場合にはどうなるんでしょうか?

 

問題ないと言えば問題ないです

結論から言えば、問題ないと言えば問題ないです。

 

実務上は住宅ローンは完済しているわけですし、抵当権がついているからといって、自分の知らない間に家が競売にかけられてしまうということは起こりえません。

そういった意味で、住宅ローンを完済した後に抵当権抹消登記を行わなくても問題はありません。

 

ただし、家を売りたいのであれば要注意です

ローン完済した後に抵当権抹消登記をしなくても問題ないと言えば問題ないのですが、後々、家を売りたいと思っているのであればちょっと注意です。

 

老後はどこかに住み替えたいという場合には、今住んでいる家を売却すると思います。

そのときに抵当権が抹消されていないことが問題になります。

 

抵当権が付いたままでは家を売ることはできません

家というのは抵当権が付いたまま売ることはできません。

 

いや、法律上は問題ないんですけどね。

抵当権が付いたまま家を売るということは可能です。

 

でも、実際のところ抵当権が付いたままの家を買う人はいません。

 

抵当権がついているということは金融機関によって家を競売にかけられる可能性があるということです。

自分で組んだローンを返済できなくなったのであれば競売にかけられても文句は言えません。

 

でも、抵当権が付いたままの家を購入するということは他人が組んだローンの抵当権が付いているということです。

自分の知らないところで第三者がローン返済できなくなると、自分の家が競売にかけられてしまう可能性があるということです。

 

そんな家は誰も買わないでしょう。

 

ローン完済しているのであれば競売にかけられることなんてないのですが、家を買う側としては抵当権が付いているのはとても気になるでしょう。

なので、家を売るときには必ず抵当権を抹消することを求められます。

 

抵当権抹消のための書類を紛失してしまったら?

家を売ることになったら抵当権抹消すればいいんじゃないかと思うかもしれません。

 

確かにその通りです。

それでまったく問題ありません。

 

でも、抵当権抹消するというときに、抵当権抹消のための書類を紛失してしまっているということがあるんです。

金融機関から送られてきた書類一式をまるまる紛失してしまっていることがあるんですね。

 

住宅ローンを完済してから10数年も経てば紛失してしまっていてもおかしくないのではないでしょうか。

普段はその存在すら忘れているのではないでしょうか。

 

金融機関から送られてきた書類は再発行が可能です

ローン完済時に金融機関から送られてくる書類は紛失してしまっても一部書類の再発行は可能です。

 

ただし、時間がかかる可能性はあります。

場合によっては金融機関そのものが違う組織になっている可能性もありますし。

 

例えば、昔の富士銀行は今はみずほ銀行に組織が変わっています。

 

そういった場合に、抵当権抹消のための書類の再発行をお願いした場合には時間がかかるでしょう。

 

登記済証は再発行不可?

金融機関から送られてくる書類の中には「抵当権設定契約書(登記済証)」も含まれています。

一般的には権利証or登記識別情報とも言われたりしますね。

 

この登記済証は実は再発行不可の書類になります。

金融機関はもちろん法務局にお願いしても再発行はしてくれません。

 

登記済証を紛失してしまったのなら事前通知制度を利用します

登記済証を紛失してしまうと抵当権抹消登記はできないんでしょうか?

そんなことはありません。

 

「事前通知制度」という制度を利用すれば登記済証を紛失してしまっても抵当権抹消登記が可能になります。

事前通知制度を利用するときは、登記済証の添付無しで抵当権抹消登記の申請をします。

 

すると、不動産の所有権者に本人限定受取郵便でハガキが届きます。

「抵当権抹消登記の申請が登記済証の添付無しで申請されているんですが心当たりありますか?この登記の申請の内容は真実ですか?」という確認のためのハガキです。

 

このハガキに同意の署名と押印をして返送すれば登記済証無しでも抵当権抹消登記を行うことができます。

 

ただし、ハガキが発行されてから2週間以内に返送しなければ抵当権抹消登記の申請は無効にされてしまうので注意が必要です。

 

まとめ

住宅ローンを完済したのに抵当権抹消していなくても、問題ないと言えば問題はありません。

 

ただし、家を売却するときには抵当権を抹消しておく必要があります。

家を売る直前に抵当権を抹消してもいいのですが、抵当権を抹消するために必要な書類を紛失してしまう可能性があります。

 

抵当権を抹消するには、金融機関から送られてくる弁済証書or解除証書を含む書類一式が必要になります。

 

金融機関から送られてくる書類の一部は再発行してもらうことができますが、抵当権設定契約書(登記済証)は再発行不可です。

 

事前通知制度を利用しての抵当権抹消登記をおこなうことになります。

手間と時間がかかります。

 

できるのであれば、金融機関から完済の書類一式が送られてきたときに抵当権抹消しておくにこしたことはないと思います。

 

関連記事:抵当権が付いたまま家を売却することはできるんでしょうか?

関連記事:「弁済証書」と「解除証書」ってどんな違いがあるんでしょうか?

関連記事:抵当権抹消登記は自分でできる?

関連記事:「抵当権」と「根抵当権」の違いって何なんでしょうか?

 

投稿者プロフィール

山河直純住宅不動産研究家
一級建築士受験資格保有。建築家が設計した住宅、築40年以上のヴィンテージマンション、ハウスメーカーの住宅などなど、住宅全般をこよなく愛しています。特に狭小住宅好き。

家を高く売りたいなら知っておきたいこと

もし、あなたが家を高く売りたいと思っているのであれば、
これだけは知っておいたほうがいいかもしれません。