建築確認の図面に記載されている床面積と、登記事項証明書(不動産登記簿)に記載されている床面積というのは、基本的にちょっとズレていることが多いです。
例えば、建築確認の図面だと100平米なのに、登記事項証明書では102平米になってるとかですね。それはなぜなんでしょうか?
建築基準法と登記法の違いです。
「建築基準法」と「登記法」の違いです。建築確認というのは、建築基準法に則っているのかをチェックするためのものです。建てようとしている建物が、建築基準法に違反していないかをチェックするものです。
一方、登記法というのは、法務局にて管理されている登記事項証明書を作成するために規定されているものです。建築基準法で計算した床面積を、そのまま登記事項証明書に記載することはできません。
登記法による計算方法で床面積を計算しなければいけません。
床面積に含まれる基準が違う?
実は、建築基準法と登記法では、床面積に含まれる基準というのがちょっと違うんです。
建築基準法の場合、玄関ポーチやベランダは床面積に含まれません。
建築基準法の場合、玄関ポーチやベランダというのは床面積には含まれません。まあ、玄関ポーチやベランダのサイズにもよりますけどね。一般的なサイズであれば、床面積には含まれません。
また、ガレージ、地下室、天井高が1.4メートル未満のロフトなども、基本的には床面積には含まれません。ロフトが床面積に含まれないという話は聞いたことがあるんじゃないでしょうか?
賃貸物件でも、ロフト部分は床面積に含まれていなかったりします。ロフトがあるワンルームは、表示されている床面積よりも体感的には広く感じることが多いので人気があったりします。
一方、登記法では床面積に含まれることがあります。
一方、登記法では、玄関ポーチやベランダなども床面積に含まれることがあります。登記法で床面積に含まれる基準というのは、ザックリといえば、3面を壁で囲まれていて、天井高が1.5メートル以上あることです。
もし、玄関ポーチの3面が壁で囲まれているのであれば、建築基準法では床面積に含まれなくても、登記法では含まれることになるんです。
これは、ベランダであってもガレージであっても同じです。反対に、ロフトの場合、例えば、天井高が1.45メートルとかいう場合だと、建築基準法では床面積に含まれるけど、登記法では含まれないといったことがあります。
マンションの場合は特に違います。
そして、マンションの場合には特に床面積が変わってきます。
建築基準法では「壁芯面積」、登記法では「内法面積」です。
建築基準法では「壁芯面積」が採用されるのですが、登記法では「内法面積」が採用されるからです。
壁芯面積というのは、壁や柱の中心を基準にして、床面積を計算する方法です。なので、壁の半分や柱の一部も床面積に含まれることになります。
一方、内法面積というのは、壁は無いものとして計算されます。言ってみれば、目で見えている部分がそのまま内法面積になります。壁の部分の面積はカウントされません。
当然のことながら、壁芯面積よりも内法面積の方が小さくなります。
関連記事:「内法面積」と「壁芯面積」はどう違うんでしょうか?
50平米ちょっとのマンションの場合には要注意。
50平米ちょっとのマンションの場合には、注意が必要なことがあります。というのも、住宅ローン減税や登録免許税の減税などを利用するには、床面積が50平米以上であることという条件があるからです。
そして、この床面積というのは登記事項証明書で50平米以上ということなんですね。マンションの場合、建築基準法での床面積よりも、登記法の床面積の方が小さくなることがほとんどです。
なので、建築基準法では52平米なんだけれども、登記法では49平米ということが結構あるんですね。こうなると、住宅ローン減税や登録免許税の減税などは利用できなくなってしまいます。
もし、マンションを購入して、そういった減税を利用したいという場合には、必ず購入前に、登記法での床面積を確認しておきましょう。
関連記事:中古住宅でも、住宅ローン減税は受けられるんでしょうか?
関連記事:登録免許税を安く(減税)することができる「住宅用家屋証明書」とは?
まとめ
というわけで、建築確認と登記事項証明書では、なぜ床面積が違うのかというお話をしました。
建築基準法と登記法の違いです。建築基準法では玄関ポーチやベランダなどは床面積に含まれません。一方、登記法では含まれることもあります。
また、マンションの場合には、壁芯面積と内法面積という違いもあります。建築基準法では壁芯面積が採用されますが、登記法では内法面積が採用されます。マンションの場合、登記法での床面積のほうが小さくなることがほとんどです。
投稿者プロフィール
- 一級建築士受験資格保有。建築家が設計した住宅、築40年以上のヴィンテージマンション、ハウスメーカーの住宅などなど、住宅全般をこよなく愛しています。特に狭小住宅好き。
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