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「内法面積」と「壁芯面積」はどう違うんでしょうか?

建物の面積というのは、その測り方によって違いがでてきたりします。

同じ建物であっても、測り方によって面積に違いがでてくるということですね。

 

測り方の違う面積として「内法(うちのり)面積」と「壁芯(かべしん)面積」の2つがよく出てきます。

一体どんな違いがあるんでしょうか?

 

内法面積は「目で見たまんま」の面積です

まず最初に内法面積についてです。

簡単に言えば、内法面積というのは「目で見たまんま」の床面積になります。

 

建物というのは床、壁、柱、屋根などから構築されています。

当然のことながら、壁や柱というものにも面積というものがあります。

 

内法面積というのは壁や柱の面積は無視するという面積の測り方なんです。

 

例えば、6畳部屋があるとします。

部屋は壁で囲われていますよね。

 

でも、内法面積を計算するときには、壁の厚みがどれくらいなのかというのは気にしなくてもいいんです。

6畳部屋の空間に存在する床面積、つまりは、目で見たまんまの床面積を測ればそれが内法面積になります。

 

壁芯面積は「目で見たまんま」よりも広くなります

つぎに壁芯面積です。

壁芯面積の場合、内法面積みたいに壁や柱を無視するということはしません。

 

その名の通り、壁の芯がどこにあるのかを調べて、その芯に囲われた部分の面積を計算します。

当然のことながら、目で見たまんまの面積にはなりません。

 

さきほど6畳部屋を例にだしましたが、壁芯面積の場合には壁の厚みがどれくらいあるのかを調べなければ面積を計算することはできません。

 

例えば、厚みが15cmの壁に6畳部屋が囲われているとします。

壁の表面からその中心までは7.5cmになります。

 

なので、6畳部屋の壁芯面積を計算する場合には、内法面積に左右上下それぞれ7.5cmをプラスします。

その面積が壁芯面積になります。

 

当然のことながら内法面積よりも壁芯面積のほうが広くなりますね。

 

「思っていたよりも狭い・・」が起こりやすいのは壁芯面積の場合

家の内覧をしたときに「思っていたよりも狭い・・」と感じたことはないでしょうか?

「延床面積が50平米だったらもっと広いと思ったんだけどな〜」とか。

 

こういうことが起こりやすいのが壁芯面積なんです。

 

もちろん、部屋を広く感じるか狭く感じるかというのは、間取りや吹き抜けの有無や天井高によっても大きく変わってきます。

 

でも、壁芯面積というのは壁の面積も半分含んだ面積です。

床があると思っていた部分が壁になるのですからそれは狭く感じて当然とも言えます。

 

マンションみたいに壁が厚い建物ほどにそのギャップが激しくなります。

 

そして、不動産広告のチラシに掲載される床面積というのは、そのほとんどで壁芯面積が掲載されます。

というのも建築基準法では床面積の測り方として壁芯面積が採用されているからです。

 

建築設計図面に掲載されている床面積をそのまま使うと壁芯面積になるということです。

 

マンションを購入するときは内法面積も知っておくこと

ちなみに、戸建ての住宅の場合にはそれほど気にしなくてもいいかもしれませんが、マンションの購入を検討しているのであれば、壁芯面積だけでなく内法面積も知っておくほうがいいと思います。

 

なぜかというと、マンションの場合には、建築基準法では壁芯面積が採用されていますが、不動産登記法では内法面積が採用されるからです。

 

不動産を購入すると色々と控除や減税措置が受けられたりするのですが、いくつか条件があったりします。

床面積が条件になっていることも多いです。

 

例えば、床面積が50平米以上であることとかですね。

 

この50平米というのは、マンションの場合には内法面積で測られたものを指すんです。

税務に関することには不動産登記法での面積が採用されるんですね。

 

なので、ぜひ、マンションの購入を検討しているのであれば内法面積を知っておきましょう。

 

マンション販売の担当者に聞けば教えてくれるはずですし。

もっと念入りに調べるならばそのマンションの登記事項証明書を調べてみるのがいいです。

 

登記事項証明書に記載されている面積は、マンションの場合には内法面積が採用されていますので。

 

壁芯では50平米以上なのに内法だと50平米以下ということもあります

少し小さめのマンションを購入する場合、床面積が50平米ちょっとということも多いです。

1LDKの場合とかですね。

 

そういったときには特に注意が必要です。

壁芯面積では53平米なのに、内法面積だと49平米だったということが起こりえます。

 

「多少、実際の床面積が狭くなるぐらいならあまり気にしないよ」と思うかもしれませんが、50平米というのは控除や減税を受けるためのボーダーラインになることが多いんです。

 

例えば、住宅ローン減税や登録免許減税などですね。

 

さきほど、マンション販売の担当者に聞いてみれば内法面積も教えてくれるはずとお話しましたが、その担当者が「わからない」と答えた場合にはちょっと気をつけましょう。

もしかしたら内法面積が50平米を切っているかもしれません。

 

もしくは、その担当者が住宅ローン減税などについて一切口にしない場合とかですね。

 

そんな場合には面倒かもしれませんが登記事項証明書を調べてみるのが確実です。

 

住宅ローン減税や登録免許減税が受けられない可能性も

登記事項証明書に記載されている面積が50平米を切っていると、住宅ローン減税や登録免許税の減税が受けられなくなってしまいます。

住宅ローン減税や登録免許税について良く知らないと「だからなに?」って思うかもしれませんが、実は結構大きな差になります。

 

例えば、登録免許税の減税が受けられない場合、新築の場合には約3倍ほど、中古の場合には約6倍ほども登録免許税の額が変わってきます。

登録免許税が8万円で済むところが、50万円になったりもします。

 

かなり大きな差なのではないでしょうか。

 

住宅ローン減税を利用すると、家を購入してから10年間は所得税課税額から控除することができます。

簡単に言えば、支払った所得税の一部を返してもらうことができます。

 

どれくらい返してもらえるかは所得やローンの額にもよるのですが、最大で400万円分を所得税の課税額から控除することができます。

所得税率が20%であれば10年間で約80万円が返ってくるということです。

 

登録免許税の減税と合わせれば130万円もの差がでます。

かなり大きいのではないでしょうか。

 

まとめ

というわけで、「内法面積」と「壁芯面積」の違いについてお話しました。

 

内法面積というのは「目で見たまんま」の面積になります。

壁や柱の部分の面積は含まれません。

 

図面がなくても、現地で床をメジャーで測っていけば内法面積を計算することができます。

 

それに対して壁芯面積というのは、壁や柱の一部も含む面積になります。

壁や柱の中心を繋げていった部分の面積になります。

 

なので、壁の厚みや柱の太さを知らないことには壁芯面積は計算することができません。

 

そして、「思っていたよりも狭い・・」ということが起こりやすいのは壁芯面積です。

壁や柱の半分ぐらいが床面積に含まれてしまうからですね。

 

特に、壁が厚いマンションなどではそういうことが起こりやすいです。

 

ちなみに、不動産のチラシなどに採用される面積は「壁芯面積」であることがほとんどです。

 

そして、ひとつ注意しておきたいのは、マンションの場合には不動産登記上は「内法面積」が採用されるという点です。

 

マンションの場合は部屋と部屋を仕切る壁そのものが共有部分になります。

壁芯面積を採用すると共有部分も専有部分として計算することになってしまいます。

なので、マンションの場合だけは登記上は内法面積を採用するんですね。

 

壁芯面積では50平米以上あるのに、内法面積では50平米以下ということも多いにあります。

住宅ローン減税や登録免許税の減税が受けられなくなったりするので、マンションを購入するときには気をつけましょう。

 

関連記事:登録免許税を安く(減税)することができる「住宅用家屋証明書」とは?

 

投稿者プロフィール

山河直純住宅不動産研究家
一級建築士受験資格保有。建築家が設計した住宅、築40年以上のヴィンテージマンション、ハウスメーカーの住宅などなど、住宅全般をこよなく愛しています。特に狭小住宅好き。

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