市街化区域では用途地域ごとに「建ぺい率」や「容積率」が決められています。
でも、市街化調整区域の大部分は用途地域の指定のない「白地地域」です。
そんな、白地地域でも「建ぺい率」や「容積率」って決められているんでしょうか?
もちろん、決められています
結論から言えば、決められています。
市街化調整区域の白地地域だからって自由に建物を建てられるわけではありません。
例えば、建ぺい率100%とかで家を建てることはできません。
(豆知識ですが、公衆トイレとか交番は建ぺい率100%で建てられます)
言ってみれば、白地地域というのは「白地地域」という1つの用途地域という感じです。
あまり建物を建ててほしくないのが白地地域です
市街化調整区域の白地地域の「建ぺい率」と「容積率」は、そもそも、白地地域というのはどういう場所なのかということを考えると理解しやすいです。
市街化調整区域というのは、市街化を抑制するために指定された区域です。
基本的には建物を建てることが難しい区域になっています。
そんな市街化調整区域であっても、市街化区域のように用途地域が指定されている部分もあります。
建物を建てることが認められている部分ですね。
それ以外の用途地域が指定されていない部分が「白地地域」です。
白地地域に建物を建てられる人はだいたい決まっています。
農林水産業に従事している人です。
例えば、農家ですね。
白地地域であっても、農家であれば農家住宅を建てることができます。
「建ぺい率」と「容積率」も小さめに指定されます
白地地域の建ぺい率と容積率も、用途地域みたいにある程度の幅があります。
建ぺい率は「30%」「40%」「50%」「60%」「70%」のどれかが指定されます。
容積率は「50%」「80%」「100%」「200%」「300%」「400%」のどれかが指定されます。
けれども、上限である建ぺい率「70%」、容積率「400%」が指定されることは稀だと思います。
5〜6階ぐらいの建物が建てられることになってしまいますからね。
農家が5〜6階もある家を建てることは想像しにくいです。
なので、実際のところは、上限ギリギリで指定されることは稀で、大体は、建ぺい率「60%」、容積率「200%」が指定されることが多いです。
白地地域は低層住居専用地域と似ている?
「白地地域」と「低層住居専用地域」というのはちょっと似ています。
低層の住居しか建てられない地域としては同じようなものですからね。
第一種低層住居専用地域の建ぺい率は「30%」「40%」「50%」「60%」です。
そして、容積率は「50%」「60%」「80%」「100%」「150%」「200%」になっています。
白地地域と比べると、建ぺい率、容積率ともに上限が低くなっています。
でも、実際のところ白地地域で指定される建ぺい率と容積率は、低層住居専用地域の上限値と同じになっていることが多いです。
都心に近い白地地域ほど規制がきびしい傾向があります
白地地域は、都心の近くであっても隙間を縫うように存在していたりします。
そんな、都心に近い白地地域は、他の地域に比べて規制がきびしい傾向があります。
例えば、東京都府中市であっても白地地域というのは存在しています。
府中市の白地地域は建ぺい率「30%」、容積率「50%」に指定されています。
総2階建ては建てることができません。
宅地として平均的な広さである100平米を例に上げれば、1階部分は30平米までしか建てることができません。
少し大きめのワンルームマンションと同じぐらいの面積にしか家を建てられない計算になります。
かなり狭いですよね。
延床面積120平米以上の家を建てようと思うなら、240平米以上の土地を購入しなければいけないということですね。
しかも、総2階建てにはできません。
ちなみに、福岡県福岡市でも、白地地域は建ぺい率「40%」、容積率「50%」になっています。
府中市より建ぺい率は高いですが、容積率は同じ50%です。
建ぺい率を上限の40%まで使ってしまうと2階建ての建物を建てるのは難しくなります。
外部リンク:市街化調整区域の建ぺい率と容積率|府中市
外部リンク:市街化調整区域における建ぺい率・容積率等の指定について|福岡市
まとめ
というわけで、市街化調整区域でも「建ぺい率」と「容積率」は決められているのかというお話をしました。
市街化調整区域でも「建ぺい率」と「容積率」は決められています。
白地地域というのは、用途地域の1つの地域みたいなものです。
建ぺい率も容積率も、ある範囲の中から指定されることになります。
白地地域というのは、基本的には建物を建てることが難しい地域です。
建てることができる人は、農家などの限られた人だけになります。
そういった人が家を建てるための「建ぺい率」と「容積率」が指定されることになるので、商業地域のような高めの容積率が指定されるということは稀です。
上限値は400%までの容積率まで指定できることになっていますが、実際のところは第一種低層住居専用地域の上限値と同じ200%が指定されることが多いです。
建ぺい率も第一種低層住居専用地域の上限値と同じ60%が指定されることが多いです。
ただし、都心に近い白地地域ではかなりきびしい建ぺい率と容積率が指定される傾向があります。
関連記事:市街化調整区域の場合、家を建て替えることも難しいんでしょうか?
関連記事:市街化調整区域の家や土地を購入することのデメリットとは?
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投稿者プロフィール
- 一級建築士受験資格保有。建築家が設計した住宅、築40年以上のヴィンテージマンション、ハウスメーカーの住宅などなど、住宅全般をこよなく愛しています。特に狭小住宅好き。
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