新しい家に住み替えたいのであれば、今住んでいる家を売らなければいけません。
なんらかの理由で今住んでいる家を売らなければいけないという人もいるかもしれません。
ほとんどの人は家を買うときに住宅ローンを組みます。
家を売りたいと思ったときにはローン返済中であるということがほとんどです。
ローン返済中に家を売却することってできるんでしょうか?
ローン返済中でも家を売却することはできます
結論から言えば、ローン返済中でも問題なく家を売却することができます。
ローン返済中は家を売れないということであれば、ほとんどの人は家を売るということができなくなってしまいます。
世の中には数多くの中古住宅がでまわっています。
最近は特に中古住宅の数が増えてきました。
日本でもスクラップ&ビルド型(取り壊しては新しい家を建てること)からフロー型(すでに建っている家を活用する)に移行しつつあります。
中古住宅を購入してリノベーションして住むという人も増えてきています。
そんな、世の中にでまわっている中古住宅のすべてがローン完済済みなのでしょうか?
そんなことはありません。
ローン返済中でも家を売却することはできます。
ただし、ローンの残りを「一括返済」する必要があります
ローン返済中でも家を売却することは可能ですが、ひとつだけ条件があります。
何だと思いますか?
それは、ローン残債を「一括」して返済する必要があるということです。
分割しての返済ではだめなんです。
必ず一括して返済する必要があります。
例えば、ローン残債が2000万円だとしたら、家を売るときにはお金を借りている金融機関に2000万円を一括して返済しなければいけないということです。
「2000万円もの大金を一括して返済なんてできないよ!」と思うかもしれません。
もちろん、手元にはそんな現金はないかもしれません。
でも、家が2500万円で売れるのであれば問題なく一括返済することができます。
問題が起こるのはローン残債が2000万円なのに家が2000万円以下でしか売れないというときです。
詳しくはのちほどお話します。
なぜ「一括返済」する必要があるんでしょうか?
人によってはこう思うのではないでしょうか?
「なんで一括返済しなければいけないの?家を売ることになっても、それまで通りに月々やボーナスの返済ではいけないの?」だめなんです。
必ず一括返済しなければいけません。
なぜなのかは、金融機関があなたにお金を貸してくれる理由を考えると理解することができます。
金融機関はあなたの家を「担保」にお金を貸しています
家を買うとき、ほとんどの人は金融機関からお金を借ります。
住宅ローンを組みます。
金融機関は無条件であなたにお金を貸してくれるんでしょうか?
もし、あなたが途中でローンを返済できなくなったとしたらどうなるんでしょうか?
お金を貸すということは返済されないリスクをともないます。
そのリスクを軽減するために金融機関はある方法をとります。
あなたが購入する家を「担保」にとるんです。
担保というのはこういうことです。
「もし、あなたがローンの返済ができなくなったとしたら、あなたの家を強制的に売却して融資したお金を回収させてもらいます」
「担保」を売るなら「一括返済」して欲しいということ
金融機関は家という担保があるからこそお金を貸してくれます。
その担保である家を売却しようと思うのであれば金融機関はどう思うでしょうか?
「家という担保があるからお金を貸しているんだ。家を売るというのであれば貸したお金を一括して返して欲しい。」と思うのではないでしょうか。
いままで通りに月々の分割で返してもいいじゃないかと思うかもしれません。
でも、金融機関からしてみれば担保がない状態でお金を貸していることになってしまいます。
もし、家を売ったあとにローンの返済ができなくなってしまったら、金融機関は貸したお金を回収することが困難になってしまいます。
だからこそ、家を売却するのであれば「一括」して返済して欲しいということになるんですね。
一括返済できない場合はどうなる?
家を売却するとまとまったお金が手にはいります。
そのお金を使ってローンの一括返済をするのですが、場合によっては一括返済できない場合があります。
ローン残債のほうが家の売値よりも多くなってしまう場合です。
例えば、ローン残債が2000万円なのに家が1500万円でしか売れない場合。
500万円以上の手持ちの現金がない場合、金融機関に一括してローン返済することができません。
もし、一括返済できないのであれば、家を売ることはできません。
それでも家を売りたいという場合はどうすればいいんでしょうか?
住み替えのための売却であれば住み替えローンを活用します
住み替えのために家を売却したいという人は多いです。
住み替えの場合には、新しい家を購入することになるので、その新しい家を担保に新たなローンを組むことができます。
家を売却してもローンを一括返済できない場合、その差額も含めた新しいローンを組むことができます。
そういったローンのことを住み替えローンと呼んだりします。
例えば、新しい家の価格が5000万円、ローン残高が3000万円、家の売値が2800万円の場合。
ローンを一括返済するには200万円足りません。
その足りないお金を新しい家を購入するためのお金とまとめて借りることができるのが住み替えローンです。
新しい家を購入するためのお金5000万円と、ローンを一括返済するために必要な200万円の、合計5200万円を借りることができます。
とにかく家を手放したい場合には任意売却という方法があります
住み替えローンを利用することができるのは収入に余裕がある人です。
今抱えているローンの返済にも困っている場合、住み替えローンを利用することはできません。
そうなると、自己資金で家の売値とローン残債の差額を用意しなければ家を売ることはできません。
例えば、家の売値が1500万円でローン残債が1800万円の場合、差額の300万円を現金で用意しなければ家を売ることはできません。
でも、300万円を現金で用意するどころか月々のローンの支払いも大変という人もいるでしょう。
「今はなんとかなっているけれども、今後、ローンの支払いを滞納しかねない。。」
そんなときは任意売却という方法を検討してみるのもありです。
ローンの支払いを数ヶ月滞納すると、あなたの家は競売にかけられてしまうことになります。
金融機関に抵当権を行使されてほぼ強制的に競売にかけられてしまいます。
競売になることを回避するためのひとつの方法として任意売却というものがあります。
本来は家を売却するなら一括返済しなければなりませんが、任意売却の場合は足りない分は分割での返済も許可してもらえる可能性があります。
まとめ
というわけで、ローン返済中に家を売却することはできるのかどうかというお話をしました。
ローン返済中でも問題なく家を売却することができます。
ただし、ローン残債を一括返済できることが条件です。家を売ったお金を返済にまわすことができるので、多くの場合は一括返済することができます。
ただ、場合によっては一括返済できないこともあります。
特に、頭金0円で家を購入している場合、家の売値よりもローン残債のほうが高くなってしまう傾向があります。
住み替えによる家の売却の場合には一括返済することができなくても住み替えローンを利用することで家を売却ることが可能です。
収入の変動などで住宅ローンを返済し続けていくことが難しいかもしれない場合は、任意売却という方法を検討してみてもいいかもしれません。
関連記事:任意売却をするべきはどんな人?
関連記事:抵当権が付いたまま家を売却することはできるんでしょうか?
投稿者プロフィール
- 一級建築士受験資格保有。建築家が設計した住宅、築40年以上のヴィンテージマンション、ハウスメーカーの住宅などなど、住宅全般をこよなく愛しています。特に狭小住宅好き。
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