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不燃化特区ならリフォームの場合でも助成金を貰えるんでしょうか?

東京都内では一部の木造住宅密集地域(木密地域)は不燃化特区として指定されています。

「木密地域不燃化10年プロジェクト」によってです。

 

不燃化特区の場合は、家を建て替えるときに行政から助成金がでるのですが、リフォームをするという場合でも助成金ってでるんでしょうか?

 

リフォームでも助成金は貰えます

結論から言えば、不燃化特区であればリフォームであっても助成金がでます。

建て替えでなければ助成金がでないということはありません。

 

というのも、不燃化特区の目的は、火事が起きたとしても火事が燃え広がらないようにすることだからです。

 

木密地域に建つ多くの木造住宅は築年数が古いものが多いです。

当然のことながら耐火建築物や準耐火建築物として建てられてはいません。

 

防火構造ですらありません。

 

防火構造というのは、お隣の家が火事になったとしても、巻き添えにならないための構造です。

例えば、外壁や軒裏に、30分火にさらされても燃えない材料を使います。

 

その間に消火されれば、火事が周辺の家に燃え広がってしまうということはありません。

 

でも、何の防火対策もされていない普通の木造住宅の場合、お隣の火にさらされれば、わりと簡単に火が燃え移ってしまいます。

江戸時代の長屋ほどではありませんが、木密地域というのは、1度火事が起これば、火事が周辺に燃え広がってしまう可能性があるという問題点を抱えています。

 

その問題を解決するために不燃化特区というものが指定されました。

なので、リフォームであっても、外壁と軒裏を防火構造にしてもらえるのならそれは歓迎されることなんです。

 

例えば、杉並区であれば最大100万円まで助成金がでます

不燃化特区というのは、山手線の外側から環状7号線の間に密集しています。

例えば、杉並区や世田谷区などですね。

 

道も狭いところが多くて、木造住宅が密集しています。

火事がおきても消防車がなかなかたどり着けない場所といのも結構あります。

 

ちなみに、杉並区では、リフォームをすると最大100万円の助成金がでます。

建て替えて耐火建築物にする場合であれば250万円ほどになるようです。

 

多いでしょうか?

少ないでしょうか?

 

どちらにしてもリフォームするつもりだったとか、建て替えるつもりだったというのであればいいかもしれませんね。

 

建て替えるとなると1000万円〜2000万円ほどかかりますが、250万円の助成金を貰えるならいいですよね。

リフォームの場合だって、100万円の助成金を貰えるならいいですね。

 

ただし、工事費用が500万円を超えている必要があります

リフォームをすると最大100万円の助成金をもらえる可能性がありますが、工事費用が500万円を超えている必要があります。

100万円のリフォームをして、100万円の助成金をもらうということはできません。

 

それができるのであれば、一部であってもリフォームをするという人が増えると思うんですけどね。

 

500万円のリフォームって結構な規模です。

家の屋根や外壁すべてを防火構造に変えたとしても500万円かからない可能性が高いのではないでしょうか?

 

助成金がでるからといってリフォームや建て替えをする人は稀です

助成金をもらうには最低でも500万円を使う必要があります。

そんなわけで、助成金がでるからといってリフォームや建て替えをするという人は稀です。

 

木密地域に住んでいる人って昔からそこに住んでいる高齢者の方が多いです。

子ども達は成人して他の場所に住んでいるということが多いです。

 

そんなわけで、わざわざ500万円以上をかけて不燃化のためにリフォームをしたり建て替えをしようという人は少なくなっています。

「家がダメになるまで、このままの状態で住み続けたい」という人がほとんどなのではないでしょうか。

 

実際のところ、不燃化はほとんど進んでいません

木密地域を歩いてみたことってありますか?

 

実は、木密地域不燃化10年プロジェクトというのは2021年までのプロジェクトです。

それまでに、木密地域の不燃化を目指しましょうというものでした。

 

今は2019年です。

残りあと1〜2年です。

 

なので、本来であれば不燃化は結構進んでいるはずなんです。

 

でも、実際のところは不燃化というのはほとんど進んでいません。

不燃化特区の道ってすごく狭いことが多いです。

 

幅2メートルとかですね。

車がすれ違うことができません。

 

建築基準法では道路の幅は4メートル以上と決められています。

 

もし、前面道路が2メートルしかない土地で家を建て替えようとする場合、道路の幅が4メートルになるように、土地の一部を道路として使わなければいけません。

すべての家が建て替えられると、自然と道路の幅が4メートルになるようにするためです。

 

ですが、どうでしょうか。

木密地域を歩いてみると、いまだに道路幅がとても狭いところがたくさんあります。

 

不燃化はあまり進んでいないということですね。

 

まとめ

というわけで、不燃化特区ならリフォームの場合でも助成金をもらえるかどうかというお話をしました。

 

リフォームでも助成金をもらうことができます。

杉並区の場合には最大100万円もらえる可能性があります。

 

ただ、助成金をもらうためには工事費用が500万円を超えている必要があります。

工事費用が100万円のリフォームをして、100万円の助成金をもらうということはできないんですね。

 

そんなこともあって、助成金がでるからといってリフォームや建て替えをするという人はあまりいません。

木密地域不燃化10年プロジェクトはあまり進んでいないということです。

 

関連記事:「耐火構造」と「防火構造」ってどんな違いがあるんでしょうか?

 

投稿者プロフィール

山河直純住宅不動産研究家
一級建築士受験資格保有。建築家が設計した住宅、築40年以上のヴィンテージマンション、ハウスメーカーの住宅などなど、住宅全般をこよなく愛しています。特に狭小住宅好き。

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