防火地域では、耐火建築物か準耐火建築物かのどちらかで建物を建てなけれないけません。
2階建てで100平米以下であれば準耐火建築物として木造の家も建てることができます。
木造なら窓サッシも木製にしたいという人は少なくないと思います。
でも、防火地域では窓サッシには防火窓を使う必要があります。
木製の防火窓というのはあるんでしょうか?
木製の防火窓はあります
結論から言うと、木製の防火窓というのはあります。
木製のサッシメーカーとしては「キマド」や「プロファイルウインドー」などがあります。
すべて木材を使ったサッシや、アルミとの複合サッシなど、色々なタイプがありますが、防火窓も用意されています。
天然の木材を不燃材に加工する技術があります
木材を使った防火窓というと「集成材が使われているのでは?」と思うかもしれません。
集成材というのは木材のチップを接着剤で硬めたようなものなので、不燃材として作ることもわりと簡単です。
準耐火建築物の構造材としてよく使われるのが集成材です。
でも、集成材の場合はやっぱり天然の木材と比べると風合いが劣ります。
サッシに木製のものを使いたいという人は、集成材ではなくて天然の無垢材を使いたいと思うのではないでしょうか?
安心してください。
木製の防火窓であっても、集成材は使われていません。
とはいえ、天然の無垢材でもないですけどね。
天然の木材を加工して不燃材にしたものが使われています。
不燃材というのは、火にさらされても20分間は燃えないものです。
天然の木材をものすごく乾燥させて、そこに、ホウ酸塩などの薬剤を注入します。
そうすると、火にさらされても簡単には燃えない不燃材として使えるようになるんですね。
ただし、網入りガラスになります
木製の防火窓はあります。
ただ、残念なことがひとつだけあります。
それは、網入りガラスになってしまうということです。
木製かどうかに限らずに、防火窓というのは、そのほとんどに網入りガラスが使われます。
2017年に透明なガラスを使った防火窓がYKKAPから登場しましたが、それまでは網入りガラスしか選択肢がありませんでした。
そんなわけで、今現在では木製の防火窓で透明なガラスを使用したものというのはないと思います。
今後、登場するかもしれませんけどね。
防火シャッターをとりつけるなら透明ガラスにできます
木製の防火窓がいいけれども、網入りガラスになってしまうのは困るという場合、防火シャッターをとりつけるという方法があります。
まあ、あまりオススメはできませんけどね。
木製の防火窓が気になっているという人は、少なからず家の外観にこだわる人だと思います。
防火シャッターというのは家の外観に大きな影響を与えてしまいます。
設計を工夫すれば見栄え良く設置することも可能かもしれませんが、そのまま取り付けるだけであれば、ものすごく「シャッター感」が前面にでてしまいます。
ただ、防火シャッターをとりつけさえずれば、その内側のサッシには何を使ってもよくなります。
防火窓である必要がないので、透明ガラスを使った普通の木製のサッシを使うということも可能になります。
設計を工夫して防火窓を使わないという選択肢もあります
木製の防火窓を検討する場合、「木製をとるか?」それとも「透明ガラスをとるか?」という2択になるのですが、実はもうひとつ選択肢があります。
(防火シャッターをとりつけるという選択肢もありますが)
それは、そもそも防火窓を使わなくてもいいようにするという選択肢です。
防火窓というのは、延焼のおそれのある部分に使う必要があります。
都市部で土地が狭い場合には、土地のすべてが延焼のおそれのある部分になることが多いです。
なので、「必ず防火窓を使わないといけないのでは?」と思うかもしれませんが、そんなことはありません。
設計上、延焼のおそれがないのであれば、その部分には防火窓を使わなくてもよくなります。
例えば、防火窓の前に、防火構造の壁があったならどうでしょうか?
お隣が火事になったとしても、炎はその壁に阻まれて窓にはあたりません。
まあ、窓の前に壁を作るというのは極端な例ですが、ともかく、お隣で火事がおきても炎があたらないようになっていれば、その場所には、防火窓ではなくて、普通の窓を使うことができるということです。
透明ガラスを使った木製サッシを使うことができます。
建築家が設計した家などは、そういった工夫がされていることが多いです。
まとめ
というわけで、防火地域でも使える木製のサッシはあるのかというお話をしました。
防火地域でも使える木製の防火窓というのはあります。
製品化されています。
ただ、網入りガラスが使われています。
木製の防火窓にしたいという人にとっては、網入りガラスというのはなかなか受け入れがたいものがあるのではないでしょうか。
木製に限らずに、防火窓には網入りガラスが使われていることがほとんどです。
ただ、2017年にYKKAPから透明ガラスを使った防火窓が発売されました。
なので、透明ガラスを優先させるのであれば、選択肢はあります。
でも、「木製かつ透明ガラスがいい!」という人がほとんどだと思います。
そういった場合、選択肢がないわけではありません。
設計を工夫して、そもそも、防火窓を使わなくてもいいようにするという方法があります。
家のすべての窓をそうすることは難しいですが、リビング・ダイニングの窓だけは、防火窓でなくてもいいようにするということは設計によっては可能になります。
関連記事:準防火地域で無垢材を使った木造住宅を建てることはできる?
関連記事:木造で耐火建築物を建てることって可能なんでしょうか?
投稿者プロフィール
- 一級建築士受験資格保有。建築家が設計した住宅、築40年以上のヴィンテージマンション、ハウスメーカーの住宅などなど、住宅全般をこよなく愛しています。特に狭小住宅好き。
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