防火地域や準防火地域には指定されていなくても、その周辺は22条区域に指定されていることが多いです。
東京都内ではほとんどが22条区域だと言ってもいいかもしれません。
そんな22条区域では、外壁に木材を使うことはできるんでしょうか?
外壁を木材にすることは「可能」です
結論から言えば、外壁を木材にするということは「可能」です。
実際のところ、東京都内であっても外壁に木材を使っている家というのは結構あります。
最近では黒く塗装した木材を外壁に使っている家が増えているなあと感じます。
確かにカッコいいですからね。
そういった家を東京都内でも見かけるということは、22条区域であっても外壁を木材にすることは可能ということです。
「無垢材」であっても大丈夫なのか?
ひとくちに「木材」といっても色々とあります。
中でも、何の加工も加えていない木材のことを「無垢材」と呼びます。
もっとも木材としての特徴を感じられるのが無垢材です。
「外壁として使うのであれば無垢材を使いたい!」という人も少なくないと思います。
22条区域では、延焼のおそれのある部分には不燃材を使うことが求められます。
不燃材というのは、火にさらされても20分間は燃えない材料ということです。
不燃材の「上」から無垢材を使うという方法があります
無垢材は不燃材としては使うことができません。
良い無垢材ほどに、良く乾燥しています。
火にさらされたらすぐに燃え始めてしまいます。
まあ、無垢材だからといって、すぐに燃え尽きるということはないですけどね。
木材は燃えると炭化します。
炭化するスピードは1分間で1ミリ弱と言われています。
つまりは、1.4センチの厚みをもつ無垢材が燃え尽きるには14分かかるということですね。
ということは、「厚みを2センチにすれば20分持つんじゃないか?」と思うかもしれません。
でも、不燃材というのは20分間「燃えずに」いられる材料です。
無垢材の場合は燃えてしまうのでだめなんですね。
じゃあどうやって外壁に無垢材を使うのかというと、不燃材と無垢材をセットで使えばいいんです。
外壁を2重構造にするんです。
外壁の内側には不燃材を使い、その上に無垢材を使うということです。
装飾材として無垢材を使うという感じですね。
不燃材を使っているので準防火構造を満たしています。
建築確認申請もこの方法なら通すことができます。
不燃材として認定されている木材なら当然OKです
木材の中には、不燃材として認定されているものもあります。
天然の木材を乾燥させて、薬剤をつかって不燃材にするという加工だってありますし、不燃材として加工されている集成材だってあります。
そういった、不燃材として加工された木材であれば、22条区域であっても問題なく外壁として使うことができます。
集成材を外壁に使うというのはちょっと抵抗があるかもしれませんが、天然の木材を不燃材として加工したものであれば、違和感なく外壁として使えると思います。
延焼ラインにかからないように工夫するという方法もあります
不燃材としての基準を満たすという以外にも、外壁に木材を使う方法があります。
それは、「延焼のおそれのある部分」をコントロールして家を設計するということです。
22条区域だからといって、必ず外壁に不燃材を使わなければいけないというわけではありません。
あくまでも、延焼のおそれのある部分にだけ使う必要があるということです。
ということは、延焼のおそれのない部分には、無垢材であっても使ってもいいということなんです。
とはいえ、家全体を「延焼のおそれのある部分」にかからないようにするというのは無理があります。
なので、部分的に無垢材を使いたい外壁を決めるんです。
例えば、家の正面の外壁だけは無垢材を使いたいとかですね。
家の正面というか、道路側ですね。
道路側の延焼ラインは道路の中心線からになるので、建物を2〜3メートルセットバックさせれば延焼ラインにはかかりません。
そして、大事になってくるのは左右の家側の外壁の処理です。
左右のお隣の家が火事になったとしても、前面の外壁には火がまわらないように設計します。
言ってみれば、前面の外壁を凹ませるようにする感じでしょうか。
そうすれば、火が前面の外壁までまわりこみません。
そういった設計であれば、22条区域であっても、外壁を2重にすることもなく無垢材を使うことができます。
まとめ
というわけで、22条区域に家を建てるときに外壁に木材を使うことはできるのかというお話をしました。
外壁に木材を使うということは問題なくできます。
ただ、延焼のおそれのある部分に使いたい場合には、不燃材と無垢材をセットで使わなければいけません。
無垢材は装飾材として使うということです。
また、不燃材として加工された木材であれば当然ながら問題なく使うことができます。
また、設計を工夫することによって、延焼のおそれのある部分をコントロールして、無垢材を使うという方法もあります。
関連記事:準防火地域で無垢材を使った木造住宅を建てることはできる?
投稿者プロフィール
- 一級建築士受験資格保有。建築家が設計した住宅、築40年以上のヴィンテージマンション、ハウスメーカーの住宅などなど、住宅全般をこよなく愛しています。特に狭小住宅好き。
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