「ゼロエネルギー住宅(ZEH・ゼッチ)」って一体どんなものなんでしょうか?
最近、やたらといろんなハウスメーカーがゼロエネ住宅を打ち出してきています。「うちはZEHビルダーに認定されています!」というアピールも多くなってきました。
でも、そもそも、ゼロエネ住宅ってどういうものなんでしょうか?
電力のプラスマイナスがゼロの住宅です。
簡単に言ってしまえば、電力のプラスマイナスがゼロの住宅のことです。消費する電力の量と、生産する電力の量が、一致する住宅と言うこともできます。
「電力を生産?」って思うんじゃないでしょうか。そうなんです。ゼロエネ住宅では屋根に太陽光パネルが設置されるのはデフォルトです。必須です。
「家の屋根で電力を生産しながらも、その電力だけで家の中のすべてをまかなえる」というのがゼロエネ住宅の定義とも言えます。
キモは断熱性能にあります。
ゼロエネ住宅のキモは断熱性能にあります。
もし、太陽光パネルによる電力の生産だけで、家の中で使われるすべての電力をまかなうことができるのであれば、わざわざ「ゼロエネ住宅」なんていう言葉を作り出す必要はありません。屋根に太陽光パネルを設置すればいいだけです。それだけでゼロエネ住宅になります。
でも、実際のところは、太陽光パネルによる電力の生産だけでは、家の中での消費電力をまかなうことができないことがほとんどです。
「じゃあ、どうすればいいのか?」というと、家の断熱性能を高めるしかありません。
断熱性能が高ければ、消費エネルギーが少なくて済みます。
断熱性能が高まれば、電力の消費エネルギーは少なくて済みます。
夏の暑い日には、エアコンをつけますよね。その時には、窓を閉めると思います。窓を開けておくと、エアコンの冷たい空気が外に逃げていってしまうからです。
でも、窓を閉めたとしても、家の壁そのものが熱くなっていたらどうでしょうか?家の内側の壁です。エアコンで室内を冷やしたとしても、また、すぐに室内の温度は上がってしまいます。エアコンで冷やし続けるしかありません。
でも、断熱性能が十分に高い場合、夏の暑い日でも、室内の内壁の温度はほとんど上がりません。1度、エアコンで室内を冷やしてしまえば、しばらくは冷えた状態が続きます。
結果として、電力の消費エネルギーは少なくて済むわけです。冬も同じですね。
太陽光エネルギーでも十分にまかなえることに。
そうなると、太陽光パネルによる電力の生産だけでも、十分に家の中で使われる電力をまかなえるようになります。
ちなみに、ゼロエネ住宅を建てられるハウスメーカーや工務店というのは、決められています。資格制度みたいなものがあるんです。一般社団法人環境共創イニシアチブという団体から「ZEHビルダー」として認めてもらわなければいけません。
これには、当然のことながら技術が要求されます。十分な断熱性能が確保できなければ、ゼロエネ住宅にならないからです。
そんなわけで、ZEHビルダーに認定されたハウスメーカーや工務店は「うちはZEHビルダーに認定されています!」とアピールするわけですね。ある一定の技術水準を満たしているということをアピールできます。
ちなみに、一般社団法人環境共創イニシアチブというのは、なかなか聞き慣れない団体ですが、経済産業省主導のもと動いているようです。
【外部リンク】https://sii.or.jp/meti_zeh31/
いずれ、ゼロエネ住宅が義務化される可能性もあります。
ちなみに、ゼロエネ住宅を義務化しようという動きもあったりするようです。
仮に、すべての住宅がゼロエネ住宅になったのだとしたら、今ほどには発電所も要らなくなるでしょう。原子力発電所を廃炉にすることもできるかもしれません。
そういったことも見越して、ゼロエネ住宅の義務化の動きがあったりするのだと思いますが、実際のところは難しいようです。
というのも、すべてのハウスメーカーや工務店がZEHビルダーとしての水準を満たすわけじゃないからです。人材不足が続いているようなところだと、技術力のある職人を確保することも難しいと思います。場合によっては、素人に毛が生えたような職人ばかりしかいないところもあるかもしれません。
そういったところは、ゼロエネ住宅が義務化されようものなら、仕事ができなくなってしまいます。そんなわけで、ゼロエネ住宅の義務化の動きはあるようですが、実際に義務化される可能性はほとんどないのではないかと思います。
なによりも、「断熱材なんて要らない!無垢でシンプルな家がいいんだ!」という人にとっては迷惑な話になるかもしれないですしね。
まとめ
というわけで、ゼロエネ住宅についてお話しました。
電力のプラスマイナスがゼロの住宅です。太陽光パネルによる発電だけで、家の中の電力がまかなえる住宅です。そのためには、断熱性能がキモになります。断熱性能が十分に高ければ、消費電力は少なくて済みます。
いずれは、ゼロエネ住宅を義務化しようという動きもあるようですが、それは難しいかと思います。
投稿者プロフィール
- 一級建築士受験資格保有。建築家が設計した住宅、築40年以上のヴィンテージマンション、ハウスメーカーの住宅などなど、住宅全般をこよなく愛しています。特に狭小住宅好き。
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