子どもに家を渡す方法として
「相続」と「生前贈与」があります。
自分が生きているうちに渡しておきたいと思う人もいるでしょう。
子どもに家を渡すなら、
相続と生前贈与、どっちの方がいいんでしょうか?
相続の方が圧倒的にいいです。
結論から言えば、
「相続」の方が圧倒的に良いです。
どちらかといえば、
ではなく、圧倒的にです。
例えば、評価額が5000万円の家の場合。
例えば、
子どもに渡したい家の評価額が、
5000万円だとしましょう。
相続や生前贈与がおこなわれるときに、
課税対象となる評価額が5000万円の場合です。
だいたい、市場価格の8割ぐらいの価格になることが多いです。
相続なら160万円、生前贈与なら2050万円が税額です。
その場合、
相続なら税金は160万円ほどになります。
相続人が1人だと仮定した場合の話です。
相続税というのは、
3000万円の基礎控除と、
相続人1人あたり600万円の基礎控除が認められています。
なので、相続人が1人の場合には、
3600万円を控除できるということです。
5000万円から3600万円を基礎控除すると、
1400万円。
1400万円の場合には、税率が15%です。
210万円になります。
そして、そこからさらに50万円の控除ができます。
そうすると、相続税が160万円になるわけです。
高いと思うでしょうか?
実は、生前贈与の場合にはもっと高くなります。
というよりも、べらぼうに高くなります。
生前贈与の場合には、
税金は2050万円ほどになります。
12倍ほど高くなる計算です。
というのも、生前贈与の場合には、
基礎控除というものが110万円しかありません。
相続税の場合には、3600万円でした。
とても大きな差ですね。
そして、極めつけに、
生前贈与の場合には税率がとても高くなります。
例えば、相続税の場合には税率が15%ですが、
贈与税の場合には、税率は55%になります。
5000万円から110万円を基礎控除すると、
4890万円です。
そこに55%の税率をかけます。
すると、約2690万円になります。
生前贈与の場合、そこから640万円の控除ができます。
すると、2050万円ほどになります。
相続にするか、生前贈与にするか、
考えるまでもないんじゃないでしょうか?
子供に1000万円で家を売るのはどう?
ちなみに、生前贈与ではなく、
売買ならどうかと思うかもしれません。
例えば、子どもに1000万円で家を売るという方法です。
そうすれば、相続税も生前贈与もかからないので、
「大きな節税になるのでは?」
と思うかもしれません。
後日、国税庁から贈与税が請求されることになります。
確かに良いアイデアなのですが、
そんなことは国税庁もお見通しです。
後日、国税庁がやってくることになります。
子どもには売買で家を売ったはずなのに、
国税庁からは贈与税が請求されることになります。
売買で家を子どもに売ったとしても、
相場からかけ離れた価格での売買の場合には、
その差額が贈与として扱われてしまうんですね。
例えば、相続税の評価額が5000万円の家の場合、
1000万円で子どもに売ったのであれば、
その差額の4000万円分の贈与税が請求されます。
1530万円ほどです。
家をまるまる生前贈与するよりは安くなりましたが、
それでもかなりの額ですよね。
売るなら路線価レベルで。
もし、どうしても生前に家を子どもに渡しておきたいという場合には、
生前贈与をするか、
もしくは、路線価レベルの価格で家を子どもに売ることです。
国税庁のホームページを見れば、
相続税路線価というものがチェックできます。
相続税の評価額というのは、
その路線価をもとに計算されます。
だいたい、市場価格の約8割ほどに設定されることが多いです。
なので、評価額が5000万円の家の場合、
市場価格は6250万円ほどになります。
家を売買するなら市場価格でおこなうべきですが、
親子間で売買するのであれば、
課税評価額の5000万円であれば、
問題にならないことが多いです。
後から国税庁がやってきて、
贈与税が請求される可能性は極めて低くなります。
こういった事例は裁判になることも少なくないのですが、
路線価レベルでの売買の場合には、贈与と認められない判決がでています。
まとめ
というわけで、子どもに家を渡したい場合には、
「相続」と「生前贈与」のどちらがいいのかというお話をしました。
相続の方が圧倒的に良いです。
仮に、課税評価額が5000万円の家の場合。
相続なら160万円、
生前贈与なら2050万円の税金がかかります。
売買で1000万円で子どもに家を売るのはどうかとも考えるかもしれません。
極端に安い価格で売ってしまうと、
後から国税庁がやってきて、
贈与税が請求されることになってしまいます。
どうしても売買するのであれば、
路線価レベルで売買しておきましょう。
関連記事:親子間売買で相続税を逃れることができるというのは本当?
投稿者プロフィール
- 一級建築士受験資格保有。建築家が設計した住宅、築40年以上のヴィンテージマンション、ハウスメーカーの住宅などなど、住宅全般をこよなく愛しています。特に狭小住宅好き。
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