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建築主事(特定行政庁)と指定確認検査機関の違いってなんなんでしょうか?

建築確認申請は「行政」と「民間」どちらに申請しても良いことになっています。

 

1998年に建築基準法が改正されるまでは建築主事がいる特定行政庁でしか建築確認申請はおこなえませんでしたが、改正された後は、民間の指定確認検査機関でも建築確認申請がおこなえるようになりました。

 

どちらに申請すればいいのか迷うという人もいるのではないでしょうか。

建築主事と指定確認検査機関って一体どう違うんでしょうか?

 

「公務員」と「会社員」というのが大きな違い

大きな違いは、建築主事は「公務員」であり、指定確認検査機関の中の人は「会社員」であるということなのではないでしょうか?

 

ちなみに、建築主事というのは人そのもののことを指します。

建築主事という組織があるわけではなくて、建築主事がいる行政組織のことを特定行政庁と呼びます。

 

25万人以上人口のいる都道府県や市区町村には必ず建築主事を置かなければいけないという決まりがあります。

25万人以下の人口しかいないところでも建築主事がいることもありますけどね。

 

一方、指定確認検査機関は株式会社であることが多いです。

中には一般財団法人や一般社団法人の指定確認検査機関もありますが、株式会社のほうが多いです。

 

利益を出さなければ食べていけないのはどちらか?

公務員と会社員の違いを知るには、「利益を出さなければ食べていけないのはどちらか?」ということを考えると良く分かります。

 

株式会社の目的というのは基本的には利益をあげていくことです。

営利目的の組織ということですね。

 

公務員というのは、基本的には利益をあげなくても食べていくことができます。

給料は税金からでていますからね。

 

仮に、月に1件も確認申請の依頼がなかったとしても、給料が支払われないということはありません。

 

ところが、会社員の場合には、月に1件も確認申請の依頼がなかったとしたら大問題になります。

だって、給料は確認申請の手数料でまかなわれるんですから。

 

会社は社員に給料を支払えなくなって倒産してしまいます。

 

8割以上の確認申請は「指定確認検査機関」でおこなわれています

株式会社である指定確認検査機関は、より多くの確認申請の依頼を受ける必要があります。

利益を上げなければいけませんから。

 

指定確認検査機関って、1998年以来、その数がどんどんと増えています。

つまりは、ライバルも結構いるということです。

 

そんな中、確認申請の依頼を受けるには他社(もちろん行政も含めた)と差別化しなければいけません。

 

例えば、審査スピードを早くしたり、あまり良くはないのですが審査基準を少し緩くしてみたり(2005年の耐震偽装問題は指定確認検査機関で審査がおこなわれていました)、丁寧な応対をしてみたりと、他社と差別化することでより多くの確認申請の依頼が来るようにしています。

 

ちなみに、指定確認検査機関の手数料は、行政に比べてかなり高めです。

3倍ぐらい違うこともあるんじゃないでしょうか?

 

それでも、「行政よりも民間に確認申請したほうが良い」と思わせる努力をしているということですね。

 

結果的には、今では8割以上の確認申請は「指定確認検査機関」でおこなわれているようです。

もしかしたら8割よりも、もっと多いかもしれません。

 

建築主事は確認申請を受けたくない?

8割以上の確認申請が指定確認検査機関でおこなわれるようになったのは、もちろん、指定確認検査機関の営業努力というのもあると思います。

 

でも、そもそも、建築主事はあまり確認申請の依頼を受けたくないという姿勢も影響していると思います。

建築主事の仕事というのは、確認申請の審査だけではないからです。

 

例えば、違反建築への対応などは指定確認検査機関ではおこなえません。

建築主事だけがおこなえる仕事です。

 

なので、建築主事としては、指定確認検査機関でもおこなえる確認申請の審査の仕事はそちらに任せて、建築主事だけがおこなえる仕事に専念したいというのが本当のところなんですね。

 

1998年に確認申請の審査が民間に開放されたのもそういった理由があります。

 

指定確認検査機関の責任は建築主事が負う?

8割以上の確認申請は指定確認検査機関でおこなわれるようになったのですが、その検査の責任は、特定行政庁が負っています。

指定確認検査機関の検査ミスでなにか損害があったときには特定行政庁が損害賠償をするということですね。

 

実際、最高裁でそういった判決が下されています。

 

建築主事の仕事を減らすという目的もあって、指定確認検査機関ができました。

でも、指定確認検査機関の責任を行政が負うとなると話がちょっと変わってきます。

 

結局のところ、指定確認検査機関の仕事を建築主事がチェックしなければいけなくなるからです。

 

建築主事が確認申請をあまり受けたがらないのはそういったことも関係していると思います。

自分で確認申請の審査もしつつ、指定確認検査機関のチェックもおこなうのは大変ですから。

 

それなら、指定確認検査機関のチェックに専念したほうがいいと思うのかもしれません。

 

まとめ

というわけで、建築主事(特定行政庁)と指定確認検査機関の違いについてお話しました。

 

大きな違いは、建築主事は「公務員」で、指定確認検査機関の中の人は「会社員」だということです。

公務員であれば、確認申請の依頼がなくても給料がでますが、会社員の場合には確認申請の依頼がなければ会社が倒産してしまいます。

 

そんなこともあって、指定確認検査機関は建築主事に比べて融通を効かせてくれることが多いです。

 

審査スピードを早くしてくれたり、スケジュール調整してくれたりとかですね。

でも、残念ながら手数料は行政に比べてかなり高めです。

 

なので、コスト優先であれば、行政に確認申請をおこなって、スピード優先であれば、民間に確認申請をおこなうという使い分けが良いのかもしれません。

 

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投稿者プロフィール

山河直純住宅不動産研究家
一級建築士受験資格保有。建築家が設計した住宅、築40年以上のヴィンテージマンション、ハウスメーカーの住宅などなど、住宅全般をこよなく愛しています。特に狭小住宅好き。

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