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「建築許可申請」と「建築確認申請」にはどんな違いがあるんでしょうか?

家を建てるためには「建築確認申請」をおこなう必要があります。

それとは別に、似たような言葉として「建築許可申請」というものがあります。

 

紛らわしいのですが、この2つの言葉は別々のものを指します。

一体、どんな違いがあるんでしょうか?

 

建築許可申請は「不要」なことがほとんどです

まず、はじめに言っておくと、「建築許可申請」は不要なことがほとんどです。

 

建築家や不動産の建築業の人は日頃から建築確認申請をおこなっています。

家を建てるためには必要な申請だからです。

 

でも、そういった人達でも「建築許可申請」に関わったことがあるという人は少ないのではないでしょうか。

 

山奥でもない限り建築確認申請は必ず「必要」になります

一方、「建築確認申請」というのは必ずといっても良いほどに必要になります。

 

正確には、建築確認申請が不要なこともあります。

都市計画区域外の山奥に家を建てるときとかですね。

 

都市計画区域外に家を建てる場合には建築確認申請というのは必要ありません。

「ここに家を建てます」という届出は必要になりますが、建築確認申請をする必要はありません。

 

でも、家を建てるという人のほとんどは都市計画区域内に建てると思います。

 

道路や線路が通っていて、ガスや水道や電気が整備されているのであれば、間違いなくそこは都市計画区域内です。

家を建てようと思ったら建築確認申請をおこなう必要があります。

 

「建築基準法」に違反していないか確認してもらうのが建築確認申請です

建築確認申請とは何かというと、簡単に言えば、これから建てようと思っている建物が、建築基準法に違反していないかを確認してもらうことです。

 

「これからこんな建物(図面を提出します)を建てようと思っているんですけど、建築基準法に違反していないか確認してもらえますか?」ということです。

審査の結果OKがでれば、「確認済証」というものが発行されて、実際に建築を開始することができます。

 

もし、建てようと思っている建物が建築基準法に違反しているのであれば、確認済証は発行されません。

建築基準法に違反しないように、設計図を修正して、再度、建築確認申請をおこなう必要があります。

 

「市街化調整区域」に家を建てるときに建築許可申請が必要になります

建築許可申請は不要なことがほとんどですが、必要になることもあります。

 

どんな時に必要になるのかというと、市街化調整区域に家を建てようとする時です。

都市計画区域というのは、2つの区域に分けられていることが多いです。

 

「市街化区域」と「市街化調整区域」です。

 

市街化区域というのは、その名の通りに、街をどんどんと発展させていこうとする区域です。

人が多くて賑わっている区域と言えます。

 

一方、市街化調整区域というのは、市街化されるのを抑制しようとする区域です。

街として発展させるのではなくて、農業や林業に適した土地として使っていこうとする区域です。

 

なので、農家や林業に従事している人以外は、基本的には家を建てることを制限されます。

一般人が市街化調整区域に家を建てるためには許可が必要になるんですね。

 

建築許可申請というのは、その許可をもらうための申請なんです。

「市街化調整区域に家を建てたいのですが許可してもらえますか?」ということです。

 

その許可をもらわないことには、建築確認申請をおこなうこともできません。

 

建築許可申請は「拒否」されることも多いです

建築許可申請をおこなうことは自由ですが、基本的には拒否されることが多いです。

 

市街化調整区域は基本的にはこれ以上建物を増やしたくない区域だからですね。

なんらかの理由がない限り、なかなか許可はされません。

 

なので、一般人が市街化調整区域に家を建てるというのは、思っている以上に狭き門になります。

 

どんなときに許可されるのかというと、市街化調整区域なんだけれども、建物が密集している土地の場合とかです。

具体的には、駅や役所の近くに家を建てようとするときです。

 

必ず許可されるというわけではありませんが、許可される可能性はあります。

 

また、親族がその土地に20年以上住んでいる場合にも、許可されることがあります。

「親族が住んでいるのであれば、特別にこの土地に家を建てることを許可しましょう」という感じですね。

 

その他には、市街化調整区域ができる前からそこに建っていた家を中古で購入して、その家を建て替えるということで許可されることもあります。

 

市街化調整区域ができる前から建っている家のことを旧既存宅地と呼んだりします。

1970年あたりよりも前から建っている家がそうです。

 

そういった家に住んでいる人にとっては「急に市街化調整区域に指定しておいて、建て替えるには許可が必要ってどういうこと?」ということになってしまいます。

許可されるのは基本的には農業や林業に従事している人です。

 

そんなわけで、旧既存宅地の建て替えの場合には、特別に許可不要にしたんですね。

 

ただし、許可不要な特例は2001年で廃止されてしまいました。

でも、今は許可が必要なのですが、同じような構造と広さであれば一般人でも建て替えが許可される可能性は高くなっています。

 

まとめ

というわけで、「建築許可申請」と「建築確認申請」の違いについてお話しました。

 

建築許可申請というのは不要なことが多いです。

 

市街化区域で家を建てようと思うのなら、最初から許可されているものとして扱われます。

必要なのは、建築基準法に違反していないか確認してもらう「建築確認申請」だけです。

 

でも、もし市街化調整区域に一般人が家を建てようと思うのなら「建築許可申請」も必要になってきます。

 

関連記事:旧既存宅地を購入して建て替えることは今でも可能でしょうか?

関連記事:市街化調整区域の家や土地を購入することのデメリットとは?

 

投稿者プロフィール

山河直純住宅不動産研究家
一級建築士受験資格保有。建築家が設計した住宅、築40年以上のヴィンテージマンション、ハウスメーカーの住宅などなど、住宅全般をこよなく愛しています。特に狭小住宅好き。

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